教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

宝仙学園小学校 授業レポート No.3(2018年6月11日)

 2018年6月11日に、宝仙学園小学校で授業を見学させていただきました。宝仙学園小学校は、ICTを活用した授業を積極的に行っている学校です。今年度に入ってからは、新しくMy Lab.(マイラボ)という教室も完成し、これからもICT活用がどんどん進んでいきそうな学校です。


 加藤先生の国語の時間に引き続き、同じ5年竹組の理科の授業を見学しました。担当されていたのは、吉金佳能 先生です。吉金先生の授業は、以前にも見学させていただいたことがありますが、子どもたちにプロジェクトをしてもらう設計にして、プロジェクトを達成するようにがんばる過程で、理科の知識・技能が身につくように授業が設計されています。

 今回の理科の授業のタイトルとして書かれていたのは、「ザ・電磁石」。ホワイトボードには、「最強の電磁石つくろうゼ!」と書かれていました。
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 グループごとに自作の電磁石を作って、乾電池1個で、いくつのクリップをつけられるかを競う電磁石コンテストです。
 吉金先生は、「挑戦の記録を残しましょう。結果が大事だけど、過程も大事です」と子どもたちに伝えます。「こうやったら電磁石が強くなるんじゃないか?」と仮説をたて、自分たちで電磁石を作ってみて、その結果がどうだったのかを記録し、また仮説を考える、というPDCAをまわすトレーニングになります。
 もうひとつ、吉金先生は、「仮に結果が0個だったとしても、1回であきらめてはいけない。何度かやることが大事です」と言います。銅線のヤスリがけがだめだったかもしれない、とか、いろいろなことを疑う事が大事だ、と言います。

 電磁石のポイントは、「巻き数とアンペア」だと吉金先生は教えてくれました。また、鉄心の太さによっても、変わってきます。これらの要素を試行錯誤しながら自作の電磁石を作るために、“宝仙ゴールド”という名前の理科室内通貨を用意して、U字ネジ、極太ネジ、U字ネジ大など、さまざまなパーツを購入し、自作の電磁石を作っていきます。
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 強い電磁石を作るためにはどうすればいいのか、iPadを使って検索するのもOKになっています。吉金先生は子どもたちに対して、「情報収集も大事ですよ」と言っていました。プロジェクトを達成するために、教室にある教科書などの情報だけでなく、外部にある情報も含めてどんどんアクセスし、調べて考えて仮説をたて、実践してみる。プロジェクト学習の楽しさがここにはあると感じました。
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 授業中、各グループで、宝仙ゴールドをボーナスでもらうことができる「宝仙ゴールド獲得イベント」も行われていました。各グループの代表がGoogleフォームで作った小テストに挑戦し、正解すると宝仙ゴールドをもらうことができるようになっていました。先生が配布するプリントに書かれているQRコードをカメラで読み取ると問題が表示され、採点も自動化されています。スコアを先生に見せて宝仙ゴールドと交換していました。こうしたゲーミフィケーション的な仕掛けも本当におもしろいと思います。
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 MetaMoji ClassRoomを使って、自作電磁石の結果を記録していきます。吉金先生が言ったように、挑戦の過程を記録していくことで、前にやった方法から何を残し、何を変えるべきなのか、ということも考えられると思います。特に、吉金先生のこうした実験は、何時間かに渡って行われるので、デジタルで記録が残り、次回の授業でまたすぐに見ることができるというのは大切なことだと思いました。
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 授業の最後には、Rikastagramというロイロノート・スクールを使った個人の振り返りも行われていました。今日の学びを言葉と写真で振り返るものです。「4つしかクリップを持ち上げることができなかったから…」とクリップで数字の4を作って撮影している子もいました。クリップが4つしか持ち上がらなかった失敗も、こうして楽しめるというのは、それはそれで大切なメンタリティだと思います。
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 吉金先生は、「理科でいちばん大事なのは実験。その時間を増やしたい、またより濃いものにしたくてICTを使っている」とおっしゃいます。そのため、ICTを使って記録をとったりすることもそうですし、実験はなるべく2時間続けてになるように時間割上の工夫もされています。
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 このコンテストは、毎年同一ルールで2012年から開催しているそうで、2018年度の今回が7回目になるそうです。理科室には、歴代記録TOP3が貼ってあります。すべて昨年度の5年生が打ち立てた記録になっていました。2018年度の5年生が先輩たちの記録を打ち破れたのか、とても楽しみです。
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(為田)