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おせっかいな問題集ATLS(アトラス)を提供するforEst CEO後藤匠さん インタビュー No.1

 デジタル問題集ATLS(アトラス)を提供する株式会社forEst(フォレスト)の代表取締役CEOの後藤匠さんのインタビューをお届けします。ATLSは「Adaptive Training Learning System」の略で、これまでの勉強方法とICTテクノロジーの融合を目指している自主学習支援アプリです。今回は、ATLSを使ってどのように勉強するのかについてレポートします。
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おせっかいな問題集ATLSでどう勉強するのか?

 「おせっかいな問題集ATLS」は、出版社さんが出している問題集をデジタル版にしているサービスです。タブレット端末を使って高校生がこれまでと同じような感覚で勉強できるように設計されています。このことについて後藤さんは、「サービスとして大事にしているのは“なめらかである”、それをすごく大事にしています。何に対して“なめらか”か?これまでの勉強に対して、なめらか。これまでの勉強の仕方と変わらないじゃないですか、と言われるようなサービスにしたい」と言っていました。

 ATLSを使った学習について後藤さんは、「シンプルにこれまでの勉強と同じですよ」と言います。ATLSは問題と解説をタブレットの中に収録していて、生徒はATLSで出される問題をノートに解きます。そして、ATLSで解説を読んで自己採点して、成果をATLSに記録します。
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 ATLSを起動してログインすると、自分の持っている問題集を一覧できます。ATLSの画面に並ぶ問題集と教材は、ライセンス提携している出版社さんのものです。啓林館や浜島書店など、たくさんの出版社の問題集や教材を利用することができます。その中から問題集をタップすると、目次が表示されます。「どこまでやったっけ…」と見て、どこを勉強するかを選びます。
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 ATLSで問題を表示します。ATLSでは、すべての問題の左上にボタンがついています。生徒は、解きたい問題の左上のボタンを押して学習を始めます。
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 すると、問題が切り取られた状態で表示され、左上に表示されているストップウォッチが自動的にスタートします。この問題を見て、生徒はノートに問題を解き、終わったらストップウォッチを止めて、下の「解説を見る」を押して解説を表示します。そして、解説を読みながら自己採点で○×をつけます。自己採点の結果をATLSに記録していきます。
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 「“タブレットに文字を書けないんですか?”とか“自動採点しないんですか?”とよく訊かれるのですが、それでは僕はダメだと思っています」と後藤さんは言います。
 タブレットに文字を手書きさせない第一の理由は、高校生が受けるテストが、紙とペンを使ってするものだから、それに慣れてほしいということ。また、タブレットへの手書きの書き味も、まだ紙ほどの書き味はないと思っているそうです。第二の理由は、高校数学となると、問題を解くスペースがタブレットでは足りなくなってしまうためです。
 自動採点ではなく、自己採点をしてもらう理由は、問題の特徴のためです。高校数学になると、解答の仕方が複雑になり、証明問題などを解くようにもなります。それを自動採点できるように無理やり四択問題にしたり、自動採点が可能な形に置き換えたりしてしまうと、もともと持っているコンテンツの良さが失われたり、出題意図が変わってしまいます。それではコンテンツの良さを活かしていることにはならないと後藤さんは言います。

 ATLSで勉強したときに問題を解いたノートもなくなってしまうのはもったいないので、ノート連携できるようになっています。ATLSでノートを撮影して学習履歴と紐づけておくことができます。
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ATLSはどうおせっかいをするのか?また、それができる仕組みは?

 ATLSで問題を選び、解き、自己採点をして、その結果を記録していくと、学習履歴がたまっていきます。そして、次の問題へ進むときに、さっき解いた問題に似た類似問題を出題するようになっています。このとき、問題集の枠を飛び越えて、他の問題集からも出題されます。
 出版社も問題集も横断して、類似問題を出題するレコメンデーションシステムをATLSはもっています。類似問題を出題するレコメンデーションシステムは、「同じ単元の別問題を出題する」というのではありません。
 それぞれの問題にさまざまな属性をつけていて、その属性を使って類似問題を出題しています。
 ATLSでは問題を間違えると、より簡単な類似問題が推薦され、逆に正解した場合はより難しい類似問題が推薦されるようになっています。同じトピックの問題をいろいろと解くことができるので、応用力がついてきます。

 ATLSでの勉強には、ゴール地点はありません。ひたすら類似問題が出題されて、「今日はここまで」と満足したらそこで終了する、というふうになっています。「次に何をすべきか」というのをATLSが指示するのではなく、生徒が「こういう問題を解きたいな」と思ったタイミングで、それに適した問題をあらかじめ準備しておく、ATLSはあくまでも学習を生徒の自主性に任せるといった立ち位置のデジタル問題集であり、ここも「おせっかいな問題集」と名付けた理由だと感じました。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp

https://atls.for-e-study.com/landing/atls.for-e-study.com



(為田)