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おせっかいな問題集ATLS(アトラス)を提供するforEst CEO後藤匠さん インタビュー No.4

 デジタル問題集ATLS(アトラス)を提供する株式会社forEst(フォレスト)の代表取締役CEOの後藤匠さんのインタビューをお届けします。ATLSは「Adaptive Training Learning System」の略で、これまでの勉強方法とICTテクノロジーの融合を目指している自主学習支援アプリです。今回は、ATLSが勉強の仕方をどのように変えていくのかについてレポートします。

ATLSは勉強の仕方をどう変えるか?

 ATLSに学習履歴が集まってくると、「間違いっぱなしの問題ばかり集めてきて下さい」とか、「この問題って6日前にはどうやって解いたんだっけ?」とノートを見返して、「あ、こうやって解いたんだ。じゃあこれを反省しても一回やってみましょう」というようなことも可能になります。自分の学習の履歴を見ることができることで、そうした学習の方法を生徒が自分でもできるようになってきます。
 間違えたことのある問題というのはよくありますけど、間違いっぱなしで放置したものをなんとかする、というドリルは意外とありません。これはノートでやると意外と大変なんです。デジタルで学習履歴を管理し、さらに間違えたことのある問題や間違いっぱなしの問題を簡単に探すことができ、かつ間違えたときのノートも参照できるからこそできるようになる勉強の仕方だと思います。
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 ATLSは、どうやって勉強してきたかを見ることができる、振り返りの機能もあります。これは、後藤さん自身が高校3年生の時に、勉強していたけど偏差値が全然伸びなかった時期があり、そのときには「勉強してるはずなのに…」と落ち込んだこともあったそうです。でも実はそうではなくて、偏差値はあくまでも相対評価なので、母集団全体の学力が上がってると上がらないんです。だから、学力が上がってないように見えて、実はその子の学力は上がってきているということはあるはずです。偏差値の向上という意味では見えていないけど、少なくとも「自分がやってきた勉強は積み上がっているんだよ」ということを見せてあげたい、と後藤さんは言います。
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 また、ATLSでは、「場合の数の中で、円順列を使っている問題はありますか?」というような問題を探すこともできます。
 それぞれの問題は東大生と東工大生の協力の下forEst社内で仕分けしています。
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 将来的にこれで何ができるかといえば、どういう知識によって構成されている問題を、「誰が」「いつ」「どれぐらいの時間をかけて」解いて、「正解した/不正解した」というのが、全ユーザー分記録されることになります。
 同じ問題をたくさんのユーザーが解くことも多いので、問題ごとにいろんな生徒がいろいろな解き方をしているのが見えるようになってきているそうです。
 そこから「この問題を間違えるユーザーは、どれくらいの学力なのか」ということも分析できるようになってくると、苦手分野の分析であるとかそういうのができるようになってくる。合格実績とかも集まってくると、東大に合格している人たちっていうのはこれぐらいの問題を解いているって言うのも見えるようになります。「その単元ごとのレベルによって、“君は偏差値は高いかもしれないけれど、学力の絶対値としては志望校合格のレベルにはまだこれくらい足りてないですよ”っていうふうなことがわかるようになってくるはずだ」と後藤さんは言います。

 No.5に続きます。
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(為田)