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Adobe Education Forum 2018 イベントレポート No.1 (2018年7月23日)

 2018年7月23日に東京大学 伊藤国際学術研究センターで開催された、Adobe Education Forum 2018に参加してきました。今回のフォーラムのテーマは、「AI時代を生きる力 ~企業が求める創造的な学校教育とは」でした。
 今回は、開会の挨拶、基調講演、最新調査報告の部分をレポートします。
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開会の挨拶「世界を動かすデジタル体験を」

 開会の挨拶は、アドビ システムズ 株式会社(以下、アドビ)代表取締役社長のジェームズ・マクリディ氏による開会の挨拶では、アドビのミッション「世界を動かすデジタル体験を」が紹介されました。
 現代、そしてこれからの時代は、スマホでのストリーミング、インタラクティブなネット広告など、多くのデジタル体験に子どもたちは触れていきます。そして、子どもたちのデジタル体験が彼らの考え方やコミュニケーションを変えていきます。そうした変容が、エンターテイメント、仕事の仕方など、世界との繋がり方も変えていく、というのがメッセージだったように思います。
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 アドビは、「創造する力」を次世代に育むために教育に力を入れていて、2018年6月からは、小中高校向けユーザー指定ライセンスの提供を開始しました。このライセンスは1ユーザー 年間500円以下で利用することができます。このサービスは、アドビの「次世代のクリエイターになるべき若者たちが、教室でデジタルツールを当たり前のものとして使ってもらいたい」という思いの現れだと思います。
 「アドビといえばPhotoshopIllustrator」というふうに、やや難しいクリエイティブツールというイメージを持っている人も多いと思いますが、マクリディ氏は「特別な人向けのツールであってはならないと思っている」と言います。アドビ製品は、クリエイターだけが使う特別なツールではなく、多くの人が表現のツールとしてどんどん使えるようになっていくのだと思います。
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基調講演「個性重視が生み出す大学教育力」

 続いて、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が登場し、「個性重視が生み出す大学教育力」というテーマで基調講演をされました。開会の挨拶の中で触れられていた」小中高校向けユーザー指定ライセンス」の価格を引用して、「月500円で、創造力が育てられる、国を変えられる」と言っていました。デフレ安定志向になってきている日本では、消極的な決定が次々と続いているが、新しい考え方をもって、世界にエンゲージして社会を変えよう、という層も生まれつつあるのではないか、とモーリーさんは言います。

 モーリーさんの講演はテレビで見るよりもずっとハイペースで、話題豊富な楽しい講演でした。自身も日本で高校まで卒業されているので、日本の学校教育についての話も非常におもしろかったです。
 最先端のツールを使える環境を整え、考え方もリセットし、ディベートなども行う。そのうえで、いたずらなどもOKにする、そういうのびのびした教育は日本のどこで実現するのか、という問題提起をされました。
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アドビ最新調査報告「創造性重視の新卒採用」

 続いて、2018年7月13日に発表されたアドビの最新調査「創造性重視の新卒採用」について、アドビ システムズ 株式会社 マーケティング本部 副社長の秋田夏実 氏により報告がされました。
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 「新卒採用で企業が重視するスキルについて」では、就職人気企業(n=137)とそれ以外の企業(n=399)を対象に、新卒採用の現場において、“想像的問題解決能力”をどの程度重視しているのかを調査しています。
  創造的問題解決能力を構成する「6つのスキル」は以下のものです。

  • 課題発見能力
  • 課題解決方法の発想力/着想力
  • 情報分析能力
  • デジタルリテラシー
  • クリエイティビティ/創造性
  • プレゼンテーションスキル

 いずれも非常に重要なスキルなので、「重視する」という答えが多いのですが、この中にある「デジタルリテラシー」については、基本ソフトの習熟だけでなく、動画編集や写真加工などのスキルも必要とされているそうです。動画や写真などの社内での内製化、ぱっと作って外に出していくということをやりたいという思いを表している数字ではないか、とコメントされていました。
 これらのスキルは、新卒に求められていますが、期待するレベルを満たしているということはないようで、学校でもっとこうしたスキルを身につけてから入社してほしい、という要望もあるようです。
 すべてを学校のカリキュラムの中で行うことは難しいかもしれませんが、モーリーさんの基調講演でも触れられていたように、「最先端のツールを使える環境を整え」て、それを自由に使えるような環境を用意することは、中高生のデジタルリテラシーを高めていく一つの方法なのではないかと思います。
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 No.2に続きます。
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(為田)