教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』×教育ICT ひとり読書会 No.1「第1章 教えることを学ぶ」

 ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。ナンシー・アトウェルは、リーディング・ワークショップとライティング・ワークショップを核とした国語の授業を展開している先生です。
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 この本を読もうと思った理由は大きく分けて2つです。ひとつには、SNS上で繋がりのある多くの先生方が読んでいるのを見たからです。リスペクトする先生方の目利きであれば、これは読んでみなければ、と思いました。
askoma.info


 もうひとつの理由は、「ライティング・ワークショップ」での「書くこと」が、教育ICTと非常に相性の良い活動なのではないかと思っているからです。僕自身、大学に入ってPCとインターネットを使うようになり、タッチタイピングを大学1年生でマスターしてからは、書き方は大きく変わったように思います(その前段階としての考え方もそれに伴い変わったと思います)。
 学校教育で、みっちりと「書くこと」を実施している学校は残念ながら日本ではまだ多くないですが、教育の情報化を背景として、「書く作業」はICTでサポートしてもっともっと児童生徒にしてもらいたいと思っています。そのためのヒントがあるのではないか、と思いました。

 じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。
 まずは第1章「教えることを学ぶ」から。

 この、「自分が書き手としていかに多くの選択をしているか」がわかったのに、生徒には選択をさせていない、というのはおもしろいと思いました。学校の先生たちも文章をデジタルで考えたり、いろいろなものをネットで調べたりしながら書いているのではないでしょうか。だったら、教室で子どもたちが何か書くときに同じことをできるようにしてあげたいな、と思いました。
 そのために、タッチタイピングが必要なのであればすべきだし、ワープロソフトの簡単な使い方も教えるべきでしょう。どちらも、最初は大変ですが、そのあとは「書きたい!」というモチベーションで引っ張っていけるのではないでしょうか。
 また、最近は音声入力もだいぶできるようになっているので、「手で文字を書くのが嫌い」「タイピングが苦手」という子にもいろいろと対応できるようになりつつあります。「文章を書くのが嫌い」と「書けない」というのは違う場合もあると思うのです。そうした問題を乗り越えられないかな、と思います。

 このあたりの記述も、クラウドを使うことでより効果的になるように思います。

 アトウェルのライティング・ワークショップにおいては、「譲り渡す=hand over」という言葉が使われています。何を書いてもいい、どう書いてもいい、ではなく、そこに教師が柔軟性と目的をもって関わることが大切なのです。クラウドでの書く作業+教室でのカンファランスでどんな活動になるのかを考えていきたいです。

 アトウェルは、ライティング・ワークショップだけでなく、リーディング・ワークショップも行っています。リーディングによって語彙や表現などを学ぶし、知識や興味関心を広げていくこともできます。この2つがどう関わっているか、というのも注目して読み進めたいです。


 アトウェルが設立した学校「教師と生徒のための学習センター(Center for Teaching and Learning)」では、生徒だけでなく教師も学べるそうです。この学校では、すべての学年でライティング/リーディング・ワークショップで国語を教えているそうです。
http://c-t-l.org/c-t-l.org

 【追記】あすこま先生による、学校見学記をご紹介いただきましたので、リンクします。
askoma.info


 この後、ワークショップについての解説を読めるので、さらに読み進めていきます。No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)