教育ICTリサーチ ブログ

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『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』×教育ICT ひとり読書会 No.2「第2章 ワークショップの準備」

 ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。

 今回は、第2章「ワークショップの準備」です。アトウェルの授業のコアとなる、ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップの準備が書かれています。準備の背景には、「それがなぜ必要なのか」という思想が現れています。

生徒との膨大なやり取りを可能にするための準備の工夫の積み重ね

 授業については、準備が本当に大切だと思っています。配布するワークシート、記録するための用紙、教師で提示するものなど、さまざまな準備が必要なのは、教室で教えたことがある人ならば、誰でもすぐにわかることです。

 アトウェルの行っているライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップは、すぐに成果が出るものではなく、生徒たちが「練習、練習、練習あるのみ」というふうにするための工夫の積み重ねがすごいです。

 Twitterであすこま先生からコメントをいただきましたが、やはりここは時間がかかる部分であるそうです。ICTで記録を残すことは簡単でも、「記録すること」は目的ではなく、「記録してレビューすること」が目的なので、何らかの工夫が必要だと思います。Googleフォーム→スプレッドシートに書き出す方法をちょっと試作してみようと思っています。

アトウェルの授業時間など

 アトウェルの授業についての情報も書かれています。月曜日から木曜日まで、85分を1つのまとまりとして、7年生と8年生の合併クラスだそうです。

 授業計画も書かれています。ただ「どうぞ読みなさい/書きなさい」には当然ですがなっていません。それぞれが「今日の予定」を言うというところがすごいです。また、週末に書き手としての勢いを失わせないために、1時間書くことになっているのもすごい。ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップは、国語の授業への付け足しではなく、「国語の授業そのもの」だからこそ、時間をかけてしっかり行っているのです。



書くことを教えるための工夫

 アトウェルが積み上げてきた、書くことを教えるための工夫として、興味深かったのは、文法学習についての話です。



ライティング・ワークショップとICTの関わり

 アトウェルのライティング・ワークショップでは、PCを使って文章を書くことはどのように扱われているのでしょうか。

 毎授業の積み重ねがある。紙で行っている部分もあります。このあたりはデジタルでよりパワーアップできそう。教室にいなくても、いつでも振り返りができるようにしておくことも可能になります。



ライティング・ワークショップの進め方

 ライティング・ワークショップも、「自由に書きましょう」という時間ではありません。アトウェルが、生徒たちのことを把握したうえで、どのようなことをするのかというベースは作って、時間を渡している感じです。

 最後の「各プロセスに関する語彙を教えて補強する」というのは、「もう一度書き直す」を「下書き第2稿に入るのね」というふうに言い換えることだそうです。こうした部分は、授業でこそやる意味があると思いました。



ピア・カンファランスの工夫

 クラスメイトから意見を聴くピア・カンファランスについても、ただ「読み合いましょう」というふうにはなっていません。



リーディング・ワークショップで期待すること/ルール

 アトウェルの学校「教師と生徒のための学習センター(Center for Teaching and Learning)」のサイトで、生徒がおすすめしている本を見ることができます。こうして、生徒たちが薦めたい本を見られるようにもなっています。

ライティング・ワークショップで期待すること/ルール



まとめ

 膨大な量になってしまって、すでに読書メモじゃなくなっているぞ…。人によってピックアップする部分は違うと思いますが、僕は個人的には「文章を書けること、特に論理的に書けること、人に伝わるように書けること」を子どもたちにできるようになってほしいと思っています。
 そのためには、推敲をできるようにしていくことが大切だと思っています。これは、デジタルで行うほうが圧倒的に効率がいいし、効果も高いのではないかと感じているので、情報端末を一人1台もってほしい、と思っているのです。こうした観点から、ライティング・ワークショップの準備のところはとても参考になりました。ダブルスペースで印刷させて、全体との関連を見ていく、とかは実際に仕事でしていることだし、授業内に落とし込むとこうなるのか、と勉強になりました。

 第3章は、いよいよ「ワークショップ開始」です。楽しみに読み進めたいと思います。
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(為田)