教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』×教育ICT ひとり読書会 No.4「第4章 書き手を育てるミニ・レッスン」

 ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。

 今回は、第4章「書き手を育てるミニ・レッスン」です。ライティング・ワークショップの中で時間をとって行うミニ・レッスンについて紹介されています。

ミニ・レッスンで「どうやって書くか」を教える

 ライティング・ワークショップの中で行うミニ・レッスンは、ちょっとした授業の枕というものではなく、非常に重要な場として設計されています。

 ライティング・ワークショップでは、一人ひとりが自分の作品を書くことになるので、クラス全員に対して「知識を譲り渡す」ことや、生徒たちに知っておいてもらいたいことなどは、ミニ・レッスンのなかで伝えることになります。

ミニ・レッスンで扱うテーマ

 アトウェルがミニ・レッスンのなかで扱っているテーマが、非常におもしろいと思いました。

 京都教育大学附属桃山小学校の授業で、情報活用能力について、「こういうやり方があるよ」というのをまとめて、使ったら正の字でチェックしていくやり方を見たことがあるのですが、それと近い感じにしてもおもしろそうだと思いました(ちょっと粒度が違うので、そのままは無理ですけどね)。



書くことの過程を見せる

 ライティング・ワークショップの最初に、「書くこと」とはどういうことかを明確に伝えるそうです。ただ原稿用紙を渡して書き始める、というのではなく、また最初に1マス空けましょう、みたいな形式だけを教えるのではなく、何について書くか決めたり、下書きしたり、書き直したり…といういろいろな過程を見せるのはとてもいいと思いました。

 教師がまさにその過程をどのように行っているのかを見せる、というところがありましたが、これはGoogleドキュメントの変更履歴が見られるようにしておくことで、擬似的に見せることができるかもしれないと思いました。何度も何度も書き直している様子が追体験できて、かつ「どうしてそういうふうに書き直したのか」みたいなものを先生が言葉で言ったり、ドキュメントにコメントで残しておいたり、というようなことは、デジタルで強いところかもしれません。

 ただ、文章になる前に、もっと自由に発想を広げるという過程があり、そこはやはり文章になる前の部分だったりするので、ノートアプリが必要かもしれません。紙に書いてスキャンして取り込んだり、ペンとタブレットで行うというのも可能かもしれませんが…。わざわざ使うというふうになってしまって、かえって「書く過程」に集中できないかもしれないな、と思いました。



書くことを楽しませる

 とはいえ、書こうとしない生徒もいるのではないか?ということについてもアトウェルは書いています。じっくり時間をかけて、「書くこと」を学んだことは、僕自身はないな、と自分自身の学校生活を思い出しています。メモ書きで断片でもいいから、そこに「それで?の法則」を使ったりしながら、少しずつ少しずつでも表現をすることの楽しさを知る、というのは、これから取り組むカリキュラムの中に入れていければと思いました。ワークシート作成のときや、ワークシートを書くときの発問やファシリテーションのときに組み入れたいと思いました。




まとめ

 文章を書く力があるということは、考える力があるというのと近いようにも思うので、ぜひ実践してみたいと思いました。

 次は第5章「読み手を育てるミニ・レッスン」です。
blog.ict-in-education.jp


(為田)