教育ICTリサーチ ブログ

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総務省「『次世代学校ICT環境』の整備に向けた実証」中間報告会@小金井市立前原小学校 レポート No.1(2018年10月17日)

 2018年10月17日に小金井市立前原小学校において行われた、総務省「『次世代学校ICT環境』の整備に向けた実証」中間報告会に参加してきました。前原小学校は、総務省「『次世代学校ICT環境』の整備に向けた実証事業」の実証団体である小金井市のモデル校として、ICTを“ど真ん中においた”授業実践に取り組んでいます。
 当日は、5時間目に授業公開が行われました。この授業公開については、5つの見所が前原小学校からは示されていました。

  1. 全学年・全17学級での授業公開(基本、各学級担任が教室で授業します! 一部の教員だけではありません)
  2. ICT等、先端技術をど真ん中においた授業展開(従来授業の指導展開にAdd ONしたICT活用ではありません)
  3. 通信システム&情報端末のインフラ化による「学び」の激変(一人一台の情報端末の日常化の事実をご覧ください)
  4. 4年生以上の子どもたちの文字入力(タイピング)の実態(1学期末の調査結果ー6年生:17.9,5年生:14.2,4年生:11.9,全国:5.9文字/1min)
  5. 学習ポータル活用によるシングルサインインの絶対的利便性(まなびポケットとChromebookの最高のマリアージュ

 これらの授業のなかから、6年生の小薗広幸先生が教える、社会の授業を見学させていただきました。テーマは、「明治維新から自由民権運動」でした。最初に小薗先生が黒板に児童に調べ始めてもらっている謎を書き、どのようなことを調べているのかをクラスで共有しました。その後でグループに分かれて、それぞれの担当する謎について調べ始めます。
 小薗先生は、「ここが大切、というところをみんなに伝えられるように。調べた結果をそのままコピペするのはだめですよ」と児童に伝えていました。情報を収集するだけでなく、それをどのように編集するのか、というところを目指している授業でした。
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 児童は一人1台、Chromebookを使っています。テーマごとにグループになって、一人ひとりがそれぞれにテーマについて調べていきます。ただ単に調べ学習を一人ずつ端末をもって行っているというのではなく、スクールタクト(schoolTakt)を使っているからこそできる、グループ学習がされていたように思います。
 例えば、「憲法、○条まで貼っておいたから読んで」とグループのメンバーに声をかけている児童がいました。こうしたコラボレーションは、なかなか紙のノートを使ってだとやりにくいものです。グループのメンバーに自分のノートをいつでも見せられるからこそできる学習だと思います。
 そうして見てもらったノートに「いいね」をつけられることも、コメントをもらうこともあります。コメントをつけずに、直接その場でコメントを伝える様子も見られました。例えば、グループのメンバーが書いたノートを見て、「“基本になる決まり”って書いてあるけど、何が基本になる決まりなの?」という質問が出るグループもありました。

 こうしたやりとりが、教室のあちこちで行われていました。こうしたやりとりがどんどん教室で出てくることこそが、アクティブ・ラーニングなのだと思います。もちろんこうしたやりとりは、ICTを使わなくても授業の中で実施することができるものですが、ICTを使う方がずっと効率的に、かつ教室の広い範囲で実施することができると思います。
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 Chromebookとスクールタクトがあるからと言って、すべてがデジタルになっているかというと、そんなことはありません。ノートを使う児童もいます。挙手をして意見を述べるという場面もありました。
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 最初7人~8人のグループに分けて調べていたのですが、その後で小薗先生は、3人~4人のグループに分けて、それぞれのページを見てもらって発表をしてもらっていました。人の発表を聴いて、追記するべきものがあるかのチェックも行っていました。

 また、スクールタクトでは、発言マップで児童同士で誰が誰に対してコメントしたかを可視化することもできます。授業後の分科会でコメントがありましたが、この発言マップを使うことで、先生が行う児童の見とりをより確かにすることができるのではないかと思います。
 すべてをオンラインで終わらせるのではなく、オンラインとオフラインを行ったり来たりしながら児童は学ぶし、先生は教える、そうした形が前原小学校には積み上がってきているように思いました。

 No.2に続きます。
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(為田)