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Studyplus for School Award 2018 レポート No.2(2018年11月14日)

 2018年11月14日に開催された、Studyplus for School Award 2018に参加しました。このイベントは、Studyplus for Schoolを活用している教育関係者を招いてのパネルディスカッションや、事例報告、表彰などを行うもので、2018年のテーマは、「Education After Internet〜教育の未来〜」でした。

 続いて、ゲストトーク「自立学習のこれまでとこれから」が行われました。登壇者は、安藤大作 氏(全国学習塾協会 会長)、小牧聖 氏(進学塾MUGEN 代表)、スタディプラス株式会社COOの宮坂直さんの3人でした。安藤さんと小牧さんは、それぞれ10年規模で自立学習に取り組んでいらっしゃるそうで、今回の「自立学習のこれまでとこれから」というテーマにピッタリなのではないでしょうか。

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 以下、やりとりのなかで興味深かった部分のメモを貼っていきます。最初は、「自立学習に感じること」というテーマでした。自立学習の定義などについての話は、Studypluus for Schoolというシステムを使うときの話だけではなく、より大きな文脈で考えても非常に示唆に富む内容だと思いました。

  • 自立学習は手段か、目的か。映像授業を見てもらうようにするための自立学習=手段。自分で計画して学習できるようにする=目的。(宮坂さん)
  • Studyplus for School は、高1、高2向け。高3になると、自立して自分で勉強するようになるので、Studyplusを中心にモチベーション管理できるようになる。(小牧さん)
  • 人によって自立学習の定義が違う。演習させるから自立学習、というような広告もあったりする。言葉自体がまだ定まっていないように思う。心がけているのは、「いかに主体的にするか」。管理監督するものとは違うと思う。(小牧さん)
  • 政府は、「民間教育に期待している、一方で、民間教育は生産性が低いから何とかすべき」という認識。かつては、言われたことを黙ってやればよかった、いい学校、いい企業に入ればよかった。10年後、20年後、この国を支える人材はフォロワーではなく、イノベーターであるべき。自分のそれぞれ得意なところ、夢中になれるところを探すべき。学校にはなかなか期待できないので、民間に期待している。結論として、EdTechを導入しましょう、として500億円の予算をつけた。自立というスタイルは、これからのモデルになっていくのではないか?(安藤さん)

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 また、Studyplus for Schoolを導入して生徒たちの様子を見ているからこその視点や事例についても紹介してくれました。先生に必要なスキルについての話も出てきます。

  • この流れだと、映像授業を自分で見れば、それが自立学習だ、という誤解が生まれるかもしれない。映像授業を見ればいいという話ではない。そうすると、まずは生徒の心に火がつかないと、推進力が生まれないのではないか。(宮坂さん)
  • 本人が目標をどう決めるかというところが、いちばん大切なこと。目標を決めることをサポートすることが大事。やらせていくものではなくて、自分で選択するというところ、自分で決めるというところがキーになると思う。EdTechがツールとして入ることで、いろんなことが見える化できる。ただのデータとして見ているのではなく、データの中にある心を汲むようなところが、先生の側には必要なのだと思っていいる。(小牧さん)
  • 高2の子が、Studyplusをつけるのをめんどくさがっていたが、友達が薦めたので、つけた。朝、バスを待つ間に8分間英語の勉強をした、という履歴がついて、ソレに気づいたスタッフがコメントをしたら、そのときから彼は変わり始めた。この8分間がどういうものなのか、と背景を想像する力が、先生には必要だと思う。(小牧さん)
  • 自分で決めたことややりたいことといった目標に対して自ら行動できる、自立した人間にならないと、将来飯を食えない、ということ。Studyplusをやると面談が省力できます、そのために入力してください、と説明をしても、「また作業が増えるじゃないか」となる。Studyplusをやることがゴールではなくて、自立人材を育てなければならない。時代が変わってきているから。Studyplusを使いこなして、自立できるようにならなければならない。テクノロジーの導入は、食わず嫌いをやめれば入れられるけど、効果を最大化するためには、夢や志のようなきわめて人間的なところが出てくる。フォロワーであるのではなく、自分の人生のイノベーターにならなければならない。そのためのツールがStudyplusになる、ということ。(安藤さん)
  • 通常の塾であれば、カリキュラムができる子にとっては足かせになるかもしれない。Studyplusによって、人と人の間で育つような環境ができる。管理という感覚で使うと、しんどくなる状況が、生徒にも先生にも起こるのではないだろうか。(小牧さん)

 宮坂さんが、「学習管理が、冷たい印象があるのではないか?という質問がありました」と言って話題を展開していきました。“管理”という言葉にそうした雰囲気を感じるという人はたしかにいるかも知れないと思いました。このあたりも、実際のユーザーである先生/生徒たちの様子を見ていらっしゃるからこそのコメントを聞くことができました。

  • Studyplusは学習管理ツールという売り方をしてきたが、来年度からはトータルコミュニケーションツールという伝え方にしていく。(宮坂さん)
  • Studyplusの持つ2つの役割(宮坂さん):
    1. 自己肯定感が低い子に寄り添う自立学習
    2. 自立学習ができている子には、より勉強が進むような環境を与える。
  • 価値観としても、保護者は「もう大企業に入ればいいという時代ではない」と、自立を求めている層が増えてきていると思う。(安藤さん)
  • 進学塾MUGENではStudyplusを使って子どもたちのやる気を引き出すことができて、Most Motivational 大賞を昨年受賞した。それは、Studyplusを管理ツールとしてではなく、コミュニケーションツールとして捉えていたから。ICTの発達によって、N高のような新しい学校も出てきている。だが、人の間、場で子どもたちは学んでいくのは変わらない。(小牧さん)
  • みんなで同じことを勉強する一斉指導ではなくて、『ワンピース』のように仲間と励まし合うような、そんな一斉授業に戻ってくるのではないだろうか。Studyplusは管理ツールというよりは、褒めるツールくらいに思っている。相手の状況がわからないと褒められない。(安藤さん)
  • 機械が無機質だ、というのは大人の感覚かもしれない。子どもたちは、デジタルでのコミュニケーションを無機質に思っていない。話しにくいことを話せるツールだったりもしている。(宮坂さん)
  • 自立学習をどのように広げるか。教室全体で、たくさんのスタッフのみなさんが、血の通ったコミュニケーションをEdTechを使ってどうやって広げていくか。(宮坂さん)
  • 自立学習への切り替えは、スタッフからの「自分たちがやってきた集団指導で足りなかったところがたくさんあった」という自己批判から始まった。徹底的にそこで討論をしたので、なぜ自立学習かということを根っこで共有している。また、卒業生がスタッフとして返ってきていることもある。自立学習は、人に依存しないことなので、視座の置き方さえきちんと身につけば、成績も上がるし、広がっていくと思っている。(小牧さん)
  • 職員への研修も、そういった方向性で行っている。人間力を上げるところを大事にしている。(小牧さん)

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 No.3に続きます。
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(為田)