教育ICTリサーチ ブログ

ICTを教育にどう活用できるか、現場目線でリサーチします。

子どもたちが読書する機会を増やす「スクール イー ライブラリー(School e-Library)」

 2018年10月18日に、eライブラリー有限責任事業組合(東京都千代田区/組合員 岩手教科図書株式会社 職務執行者 玉山哲)は、小中高等学校向けの電子書籍サービス「スクール イー ライブラリー(School e-Library)」(商標登録出願中)を2019年4月より開始すると発表しました。
prtimes.jp

 「School e-Library」は、岩波書店偕成社、学研プラス、河出書房新社講談社集英社フレーベル館ポプラ社の出版社8社と、学校教科書や教材を中心に事業を行っている教科書供給会社の有志企業29社が集まって開発した、電子書籍の定額制読書サービスです。
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 学校には図書室があり、たくさんの子どもたちが日々利用しています。休み時間や放課後に自分が好きな本を借りることはもちろん、授業でいえば、社会科や総合的な学習の時間での調べ学習、国語科の物語文の学習中に行う並行読書など、多様な場面で利活用されています。朝の活動として全校で読書時間を設けている学校も数多いと思います。語彙を増やす、感性や想像力を高めるなど、子どもたちが豊かに読書することの良さは言うまでもありません。
 そこで国は平成13年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」を成立させ、毎年4月23日を「子ども読書の日」と定めました。平成30年4月には第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」を公開し、2022年度までの子どもたちの読書活動推進に関する基本方針と具体的方策を明らかにしています。こうした情報は、文部科学省の「子ども読書の情報館」というホームページで見ることができるようになっています。
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www.kodomodokusyo.go.jp

 とはいえ、授業で図書室を活用しようとしたときの課題もあります。例えば、国語科で並行読書を取り入れようとしても同じ作者の著書が人数分そろっていない、などです。図書室のスペースは限られていて一般図書館のように閉架書庫がありませんので、蔵書は子どもたちの目に触れる範囲しか置くことができません。また、予算も限られているので、同じ本を40冊も買うことはできませんし、良質な児童用図書の新刊も次々と取り入れることはできません。

 「School e-Library」は、こうした課題の解決策の一つを提供してくれるのではないかと期待しています。

  • 常時少しずつ入れ替わる1000冊の本が読書可能
  • 一つの学校に28,800円/年で41IDを提供(児童生徒40名+先生)
  • 利用対象は全国の小中高等学校

 上記のような特徴をもつとのことですので、人気がある本や教科書に掲載されている著者の作品をクラスの全員が一斉に読むことができるようになりそうです。また、有料でのライセンス追加も可能とのことですので児童数に合わせた効率的な蔵書整備ができそうです。
 学校に対して、全国、県別、市町村別、エリア別、学校別、学年別、男女別の統計データが基本契約で提供されるので、図書を購入する際の選書作業に役立てることができます。
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 調べてみると「School e-Library」は「PUBLUS Lite for Browser」(株式会社ACCESS)というブラウザベースの電子テキスト配信システムを採用していることが分かりました。
プレスリリース:小中高等学校向け電子書籍サービス「スクール イー ライブラリー」に、電子テキスト配信システム「PUBLUS(R) Lite for Browser」が採用

 インターネットへの接続が必須となるため、現状では主にPC室での利用が想定されますが、校内の通信環境やタブレット等の機器の整備が進めば、教室での活発な利用が考えられます。低価格な「School e-Library」の導入を検討することを通して子どもたち一人一台のタブレットといったICT環境の整備が進むという両輪の関係が生まれるかもしれません。

 「School e-Library」の存在を知って導入を検討する自治体や実際に導入した学校からは内容や環境に対する質問や要望が出てくることが考えられます。例えば「調べ学習でも利用できるように、提供される約1000冊の中に百科事典が含まれているとよい」「高学年向けの本に挑戦したい低学年児童用にルビのありなしが選べたらよい」「このシリーズは1年間入れ替えなしで提供してほしい」「司書教諭や図書館司書の要望を取り入れて入れ替えをしてほしい」などです。2018年12月から無料テストサービスが始まっているとのことですので、利活用している学校現場からの声がすでに集まってきているかもしれません。
 「近年、読解力や表現力の低下が問われておりますが、読書する機会を増やすこと、読書したくなる本を作ることを目指し、全国の児童や生徒の「力」がつくことを応援します。」という「School e-Library」。今後も注目していきたいと思います。

(佐藤)