教育ICTリサーチ ブログ

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『「学校」をつくり直す』 ひとり読書会 No.1 「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」

 苫野一徳『「学校」をつくり直す』を読みました。帯には、「義務教育は、このままでいいのか?」と大きく書かれています。線を引きながらページを進めていったのですが、たくさんの先生方に読んでもらいたいと思う部分がたくさんあったので、メモをまとめることにしました。
 また、先生向けの研修講師をするときに伝える内容の裏側に苫野先生の考えを少し潜ませて、先生方に少しずつ伝えることもしていこうと思っています。自分にできることをがんばってやっていこうと思います。

「学校」をつくり直す (河出新書)

「学校」をつくり直す (河出新書)

「学校」をつくり直す (河出新書)

「学校」をつくり直す (河出新書)

 自分が仕事としてメインに取り組んでいるICTに絡んだところを中心に、「おっ!」とメモしたことをトピックごとにまとめます。

 まずは、そもそも「学校はどうあるべきか?」ということについてです。苫野先生のメインメッセージは、この国の教育システムは変わらなければならない、というものです。今までのシステムはどういうものだったのか、ということから。

 公教育が始まって、約150年。学校教育はこれまで、ずっと変わらず、基本的に次のようなシステムによって運営されてきました。すなわち、「みんなで同じことを、同じペースで、同質性の高い学級の中で、教科ごとの出来合いの答えを、子どもたちに一斉に勉強させる」というシステムです。
 ところがこのシステムが、今いたるところで限界を迎えているのです。(p.18)

 そして、この限界を迎えているシステムをどう変えていくのかを、苫野先生は書いています。

 これらすべての問題を克服するためのアイデアとして、わたしは「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」を提唱しています。これはわたしのオリジナルと言うよりは、この100年以上におよぶ先進的な教育学研究と実践が蓄積してきた知見の本質を、わたしなりに言葉にしたものです。(p.102)

 「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」というキーワードについて詳しく書かれているところ(p.102-106)についてもまとめました。

  • 学びの「個別化」
    • 子どもたち一人ひとりの学びのペースや、合った学びのあり方、また、いつ誰とどこで何をすればよいかといったことなどを、それぞれの子どもに最も合った仕方で個別化すること。
  • 学びの「協同化」
    • 「個別化」は下手をすると単なる「孤立化」になってしまう。それを防ぐために、「協同化」を融合する必要がある。
    • 必要に応じて、人の力を借りたり、また人に力を貸せたりする、「ゆるやかな協同性」に支えられながら学び進められる環境を整える。
  • 学びの「プロジェクト化」
    • カリキュラムの中核を「プロジェクト」あるいは「探究」へと転換。
    • 出来合いの問いと答えばかり学ぶ学びではなく、「自分(たち)なりの問いを立て、自分(たち)なりの仕方で、自分(たち)なりの答えにたどり着く」、そんな「探究型の学び」。
    • 子どもたちの「探究」を駆動するために、学校での学びを「プロジェクト化」していく必要がある。
      • プロジェクトの類型1:「課題解決型プロジェクト」=課題の解決策を考えたり、実際に実行したりするプロジェクト。
      • プロジェクトの類型2:「知的発見型プロジェクト」=知的な発見を目指すプロジェクト。
      • プロジェクトの類型3:「創造型プロジェクト」=小屋を建てたりドキュメンタリー映画を作ったり、ものづくりをするプロジェクト。
    • 上記の3つのタイプのプロジェクトは、探究の過程で自然に融合していく。

 ここで書かれている、個別化・協同化については、ICTが大きく力を発揮できる部分ではないかと思っています。テクノロジー(EdTech)がどのように教育の変えていく可能性があるのかについても書かれていました。

 今やわたしたちは、小学校から高校までのすべてのカリキュラムを、その気になればすべてインターネットで学べる時代に生きています。EdTech(EducationとTechnologyを合成した新語)は今後さらに進化し、AIが一人ひとりの子どもたちの進度やレベルや向き不向きや興味・関心等に応じて、学びを個別最適化し、最も効果的な方法でサポートできるようになるでしょう。子どもたちは、自分に合った教え方をしてくれる先生をオンライン上で見つけ出すことができるようになります。あまり合わない先生の授業を一方的に受ける動機や合理性は、どんどんなくなっていってしまうでしょう。
(略)
 要するに、同質性の高い子どもたちがひとところに集まって、先生の一方的な授業を受けるのがメインの時代は、すでに終わりを迎えつつあるのです。(p.116-117)

 実際に、苫野先生も関係している、経済産業省の「未来の教室」実証事業の中でも、学びの個別最適化に関わる実証事業として、「EdTech教科書・ドリル「新やるKey」の公教育導入実証」(凸版印刷株式会社)と「教科学習(授業)の効率化と応用とのサイクルの実証(AI教材「Qubena」の公教育への導入実証)」(株式会社COMPASS)が採択されていて、成果が報告されています。

www.learning-innovation.go.jp

www.learning-innovation.go.jp

 これらの成果を、今後どのように横展開していくか、また、それがただの「個別化」になるのでなく、「協同化」と融合していくように学校をサポートする必要があると思っています。

 No.2に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)