教育ICTリサーチ ブログ

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『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』 ひとり読書会 No.6「第3章 認知科学から見た学びと創造性 今井むつみ×井庭崇」

 井庭崇『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』をじっくり読んで、Twitterハッシュタグ#クリエイティブ・ラーニング 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。

 今回は、「第3章 認知科学から見た学びと創造性 今井むつみ × 井庭崇」のところからメモをまとめます。今井先生の授業は、SFCで履修して、考えたこともなかったことを知ることができて、衝撃的だったのを覚えています。授業後に質問に行ったら、研究室に呼んでもらって、「こういうのも読んだらいいよ」とたくさん教えていただきました(先生は絶対覚えていないけど、こちらは覚えています。本当にありがたかった)。今でも、著書の何冊かは手にとって何度も読み直したりしています。

 このあたりの今井先生の言葉は、本当に重要だと思っています。断片的に意味もわからず覚えている知識は意味がない。ただ、持っている知識は、次の知識を得るのに使われるのです。
 学校教育によって与えられる体系的な知識は、こうして知識を増やし続けていく人の土台になるのだと思っています。

 知識を一つ一つ増やして、たくさんもって(=覚えて)いることが大事なのではなく、知識が増えるごとに全体がつくり変えられるというのは、とてもおもしろいと思います。
 言葉を覚える過程は、学習をデザインするのに、とても良いお手本になるのではないかなと思った。この感じは、教科学習にも、プログラミングにも、同じことが言えそうな感じがします。こういう、知識を増やす→全体を再構成する、というふうな流れを組み込んだ授業って、どんな単元とかがやりやすいのだろうか、と考えてみたい。言語や数学など、道具として使う教科には向いているような感じがします。一方で、歴史などの教科学習で、ここまで組み入れるとどういう授業になるのだろう、と考えるのもおもしろそうです。

 この今井先生の言葉は、本当にそのとおりだと思う。これを学ぶためにプログラミングって、本当にいい教材だと思う。もちろん、普通の教科でもできると思うけど、「やってみる」→「できなかった」→「直してみた」→「できた!」というサイクルを、材料とかの心配もなく、あまり時間もかからず、すぐに結果が見える形で返ってくるのは、プログラミングの強みだと思います。プログラミング的思考をアンプラグドでやっても、この「つくり直し」「デバック」によって得られるような効果は見えてこないように思いました。

 井庭先生と今井先生の対話、知識の役割やデバッグの思想など、とても学び多いものでした。

 No.7に続きます。
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(為田)