教育ICTリサーチ ブログ

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「新しい「学び」のPerspectiveセミナー ~ICTを活用した学級経営~」 イベントレポート No.2(2019年6月20日)

 2019年6月20日に、NTTコミュニケーションズ本社で開催された、「新しい「学び」のPerspectiveセミナー ~ICTを活用した学級経営~」に参加してきました。講師として、前・小金井市立前原小学校 校長で、2019年4月から合同会社MAZDA Incredible Labを立ち上げた、松田孝 代表が、自身がされてきた学校経営のなかから、まなびポケットとChromebookを活用した活動についてプレゼンテーションをされました。
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小金井市はなぜChromebookを導入するか

 SNSで先生の悲痛な叫びを見かけた。「導入したのに活用がされていない」「起動からログインまで20分かかる。使いたくない」などを松田先生は例として挙げましたが、本当にこうした例はまだまだ日本中にたくさんあるように思います。松田先生の前任校であった、小金井市立前原小学校がモデル校となって、小金井市では、ICT環境を整備していくそうです。
 導入する機器は、Chromebookです。Chromebookの良さとしては、安定性、快適性、低価格などが挙げられていました。
 Chromebookは電源を入れればすぐに起動し、バッテリーも長時間もちます(これは学校では重要です)。Googleの提供するG Suite for Educationを使うことで、さまざまなアプリも無料で利用でき、かつ無制限のストレージも活用できます。Chromebookを動かすChromeOSは、自動アップデートされるので、学校で先生や支援員の方がアップデートをする必要がありません。また、データが端末に保存されるのではなく、すべてクラウド上に保存されるので、データのセキュリティ的にも安全になります。USBで持ち帰って紛失などということもなくなりますし、クラウドを使うことでどこからでもデータにアクセスできるようになるので、働き方改革にも繋がります。
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edu.google.com

 小金井市では、今後5年間毎年5000万円の予算で約600台ずつChromebookを導入していくそうです。低価格なChromebookを選ぶことで、導入できる端末数を大きく増やすことができます。一人1台、いつでも使える環境にすることは、学びの形を大きく変えることが前原小学校で実証しているので、台数を増やして子どもたちに使ってもらう、というモデルです。
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 松田先生は、校長先生として朝会でICTを使って自作の動画を子どもたちに見せていたそうです。そうすることが、子どもたちへの「ICTを使っていく」というメッセージになりますし、同様に教員へのメッセージにもなるからだそうです。
 松田先生は、「デジタルテクノロジーをど真ん中に置いて学校を変えていく」ということをいいます。教室の机の配置も、Chromebookなどを使いやすいような配置にしていましたし、Google Homeを教室にも置いていたそうです。教えている内容と連動して、例えば動物の鳴き声を出してもらったり、外国籍の子のために同時通訳をしてもらったり、そうした教室での活動に使う場面がたくさんあるようになっていました。

 もうひとつ、Chromebookは普通のノートPCのようにキーボードがついています。小学校であれば、タブレットの方が操作が簡単でいいのではないか、という声もあります。しかし、松田先生は、キーボードの必要性を主張します。ICT活用の大前提として、タイピング能力があるからです。
 文部科学省による情報活用能力調査(2015)においては、小学校5年生のタイピング入力の平均速度が1分間に5.9文字(10秒に1文字)であったことが報告されている。この調査では、半分は1分間に5文字も入力できていませんでした。使っていないからしかたないと言っていられる状態ではありません。
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 2024年からCBTが導入されれば、タイピング能力を高めなければなりません。そう考えれば、タイピング能力は、子どもたちのキャリア形成&選択に大きく役立つ武器になります。この点からも、キーボードがついている機器を配備する必要がある、と松田先生は言います。
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 No.3に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)