教育ICTリサーチ ブログ

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戸田市教育委員会 「プレゼンテーション研修会」レポート(2019年8月8日)

 2019年8月8日に、戸田市立教育センターにて「プレゼンテーション研修会」の講師をさせていただきました。テーマは「プレゼンテーション力を子どもたちにつけるために」でした。
 参加されたのは、戸田市内の小中学校から、毎年1月に開催される「児童生徒プレゼンテーション大会」の担当をされている先生方でしたので、僕が実際に小学校や中学校の授業でプレゼンテーションを作る授業を行うときに、子どもたちに伝えていることを紹介しようと思いました。

プレゼンテーションに必要な3つのもの

 プレゼンテーションは、これからの時代に自己実現をするために、必要なスキルだと思っています。プレゼンテーションのスキルを紹介する書籍などもたくさん出ていますが、授業の中でそのすべてを説明するのは難しいので、特に授業で子どもたちに伝えていることを3つだけ紹介しました。
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  1. 明確なメッセージ
    • 聞き手に何をいちばん伝えたいのか
  2. 論理
    • 主観ではなく、客観で伝える
  3. 「相手のため」の工夫
    • 文字だけではなく、図や表を入れて相手にわかりやすく伝える

 特に、重要なのは、最初の「明確なメッセージ」です。何が伝えたいのかということがわからなければ、今のプレゼンテーションが成功なのか失敗なのかを評価することができません。とにかく、何を伝えたいのかを、プレゼンテーションをする側が明確に言葉にできなければいけないと思います。
 その他、プレゼンテーションを聴いた後に、どんな感想を持ってもらいたいか、ということも、僕は子どもたちに質問するようにしています。「新しいことを知ってもらって、驚いてほしい」のか、「一緒にやらなきゃ!と危機感を持ってほしい」のか、それによってもプレゼンテーションは変わってきます。

プレゼンテーションを学芸会みたいにしないために

 学校で行われているさまざまなプレゼンテーションを見せてもらう機会がありますが、メッセージや論理ではなく、どちらかというとエンターテイメントの方に寄っているプレゼンテーションを見る機会が多いように思います。例えば、アニメーションのおもしろさや、イラストのおもしろさや、発表者間のセリフのやりとりのおもしろさや、そうしたところに力を入れているケースです。
 これは、プレゼンテーションではなく、学芸会的になってしまっているように思います。「おもしろい」かどうかではなく、メッセージが伝わるか、ということが問題なのですが、そこを取り違えているケースが多いのです。

 今回の研修会のなかで、先生方とディスカッションをさせていただいて思ったのは、教室でプレゼンテーションを作るときに「メッセージは何か」「論理性があるか」「相手にわかりやすいものになっているか」という部分についてのフィードバックがあまりされていないからではないか、と思い当たりました。
 先生からのフィードバックがなければ、子どもたちはクラスメイトからの「笑い」というフィードバックだけを得るようになります。そのため、エンターテイメント方向に進んでいってしまうのではないか、と思いました。
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 僕は、長い目で見ると、エンターテイメント性が強い学芸会のようなプレゼンテーションは、あまり良くないのではないかと思っています。大人になって、そうしたエンターテイメント性が強いプレゼンテーションを行うことがほとんどないからです(もちろん、メッセージを伝える手段として、エンターテイメントを選んでいるケースはあるかもしれませんが)。

子どもたちへのフィードバックとして、「文章が変わって、メッセージがわかりやすくなった!」とか「表が入って、すごい実感できるようになった!」というような、「プレゼンテーション伝わるようになった!」というフィードバックをもっと多くすることで、エンターテイメントに行く動機よりも大きな動機にできる可能性があるのかな、と先生方と話していて思いました。

まとめ

 メッセージをしっかり伝えるために、何度も何度もスライドを直したり、写真や図表などを入れたり、そうした工夫を短時間で何度もできるのは、ICTがあるからこそだと思います。戸田市においては、ICT機器の活用も進んでいますので、こうした「メッセージが何か」というところにしっかりフォーカスした形でのプレゼンテーション指導を行う土壌はできていると思っています。
 学校で中間発表などを行ったりするのであれば、ぜひゲストティーチャーに呼んでほしいと思います。

 来年1月に行われるプレゼンテーション大会での、児童生徒のプレゼンテーションを楽しみに見させていただこうと思います。

(為田)