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工学院大学附属中学校・高等学校 図書館訪問レポート No.1(2019年10月4日)

 2019年10月4日に、工学院大学附属中学校・高等学校の図書館を訪問し、有山裕美子 先生にお話を伺いました。図書館は広く、テーブル・椅子だけでなくホワイトボードも設置されていて、毎日授業で使われているそうです。工学院大学附属中学校・高等学校では、中学生はiPadを一人1台、高校生もBYODで情報端末を持っています。図書館に情報端末を持ち込むことで、ネットからの情報だけでなく、本からの情報も合わせて授業の中で使いながらグループ学習などが可能になっています。
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 工学院大学附属中学校・高等学校では、2019年5月に電子図書館を導入しました。生徒たちは、一人ずつIDとパスワードを持ち、電子図書館を利用することができます。QRコードが書かれたカードを配布しているので、中学生は自分のiPadのカメラでQRコードを読み込むことで簡単に電子図書館にアクセスできます。
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 電子図書館では5冊まで2週間、電子書籍を借りることができて、ブラウザで読みことができます。電子書籍ならば何冊借りても荷物が重くなることはありません。返却は、2週間の貸出期間が終われば自動的に返却されるようになっています。
 電子図書館ならばログインさえすれば図書館へ来なくてもいいので、授業を受けている教室にいながらにして、参考書籍を電子図書館で借り、内容を読むということも可能になります。完全閉校期間の夏休み中でも、生徒は電子図書館電子書籍を借りることもできます。
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 工学院大学附属中学校・高等学校で電子図書館を導入したきっかけとしては、「洋書を入れたい」「授業で使いたい」という英語科からの要望だったそうです。洋書をブラウザで読めるようにしておけば、スキマ時間に電子書籍で読書するなどの活動を授業に取り入れることができます。また、電子書籍だとオーディオ読み上げ機能もあるので、ネイティブの英語に触れることもできます。

 生徒たちの利便性ということだけでなく、新たな教材を授業に活用できるようにするという観点からも、電子図書館の成果が出ていると思います。
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 しかし、電子書籍だから何人も同時に読める、というわけではあありません。現状は、紙の書籍と同じように誰かが借りていたらその書籍は読めない、という仕組みになっているそうです。
 ただ、これに関しては、技術的にはまったく問題ないだろうと思われるので、電子図書館での電子書籍の流通量が増えてくれば、今後実現されるかもしれません。そうなると学校の授業で使う本を、紙の書籍で何十冊と用意をしなくてよくなるので、電子図書館導入の大きなメリットになると思います。

 こうして、すでに流通している電子書籍を生徒たちがアクセスしやすように電子図書館で提供をしている工学院大学附属中学校・高等学校ですが、生徒たちに電子書籍の「読み手」になってもらうだけでなく、「書き手」「作り手」になってもらうような授業も実施しています。No.2ではそうした活動についてレポートします。

 No.2に続きます。
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(為田)