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Edvation × Summit 2019 イベントレポート No.2 「これからのSTEAM教育」(2019年11月4日)

 2019年11月4日に、紀尾井カンファレンス・麹町中学校を会場にして開催されたEdvation × Summit 2019に参加してきました。参加したパネルディスカッションなどから、自分用のメモとコメントを公開したいと思います。何かの参考になればと思います。

 パネルディスカッション「これからのSTEAM教育」に参加しました。登壇されていたのは、中島さち子 さん(steAm, Inc.代表、ジャズピアニスト / 数学者)、井上 祐巳梨さん(株式会社Barbara Pool 代表取締役 / STEAM JAPAN)、加茂フミヨシ さん(ギタリスト / ギネス世界記録樹立者)、木村健太 先生(広尾学園中学校・高等学校 医進・サイエンスコース統括長)の4人でした。
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 以下、自分で気になった部分のメモを公開したいと思います。

自己紹介~STEAM教育への取り組み

 まずは、パネリストの皆さまの自己紹介のところでの多様なバックグラウンドを知ることができました。

  • 2006年に経済産業省が発表した「社会人基礎力」は、「人生100年時代の社会人基礎力」へとアップデートされた。(加茂さん)
  • スポーツの中にもSTEAMはある。テクノロジーで頭の中にある音楽を顕在化することも可能に。つくっていく楽しさをプログラミングや算数を使って顕在化する。(中島さん)
  • サイト「算数、数学の自由研究」には、楽しい研究がたくさん。(中島さん)
  • 同志社女子大学 上田信行 先生と共に、Playful STEAMS。
    • Playfulness:ワクワク。楽しさの中に学びがある。
    • Possibilities:可能性を信じる。
    • 「Can I?」→「How can I?」→「How can we?」(上田先生)と進める。人と協働する力。
  • 木村先生
  • 広尾学園で身につけてほしいのは、学問を楽しむこと。「共有」もキーワード。一人1台のPCを持ち、外ともつながっている。(木村先生)
  • 広尾学園 医進・サイエンスコースの3本の柱は、「本物に触れる」「本質を捉える」「本気で取り組む」。(木村先生)
    • 高校1年生で研修テーマをもつ。先生を超えるテーマを許す。
    • 世界の誰も答えを知らない問題へどうアプローチするか。「このやりがいと方法を学んでほしい」
    • 学び方を学ぶ。最先端には英語の論文があることも多い。だから、どんどん英語で論文を読んでいく。

 最後に、木村先生が、HP Project Zで、「モーツァルトに新曲を書かせよう」というプロジェクトに取り組んだことを紹介してくれましたが、サイトにはドキュメントの映像やインタビュー、プロジェクトのタイムライン(進行案)も掲載されていますので、ぜひ見てみてください。
www.techdevicetv.com

 この流れで、STEAM教育のポイントについても述べられていました。どんどん、ミックスさせ、「創造していく」「クリエイティブになっていく」ことが求められているのだと感じました。

  • STEAMはSだけ、Eだけ、ではなくて、ミックスさせるのが大事(加茂さん)
  • 問題解決は、ぜんぜん違う分野からのアイデアなこともある(中島さん)
  • 学びのSTEAM化。生徒たちがワクワクする感覚が大事(木村先生)

STEAM教育での「変化」について

 日本の教育は、STEAM教育が入ってくることによって、どう変わっていくのかについてのコメントです。

  • 頭がいい=記憶、ではない。マービン・ミンスキーは「これからエンターテインメント以外に人間がやることはない」と言っている(参考:避けられない未来とAIによる技術的特異点の真実とは | GLOBIS 知見録)。中身自体が楽しいことが大事。(加茂さん)
  • みんなが何かをつくれるようになった時代。STEAMをきっかけにして、学校を越えて一緒につくるようになると、社会構造も変わっていくと思う。(中島さん)
  • 感覚がひろがる。ものの見方が多様になっていく。当たり前だと思っていたことの本質を捉え直していく。(中島さん)
  • いろんな分野において、all Japanの体制ができる。外と連携していくツールは揃ってきている。生徒たちも社会を作るメンバーとして認識されるようになるのが楽しみ。(木村先生)

STEAMをどう教えるの?

 最後に、「STEAMをどう教えるのか?」ということについて、実践者であるパネリストの3人からのコメントです。

  • 教えるというより、一緒にやるほうがいいと思う。生徒たちはチームを作るが、先生たちもチームに入っていく。大人も共に楽しむ。(木村先生)
  • 子どもの頃にワクワクしている人を見ると、惹きつけられた経験がある。答えがあるわけではないので、みんなで試していく環境を作る(中島さん)
  • PBLが多いが、カリキュラム的なものは少なくなる?「こういうのがあるのか!」と見つけられるものが出てくる。経産省のSTEAMライブラリーがそういうものに?(中島さん)
  • 先生は「先に生まれた人」というだけでなく、「先を見て生きている」人であるべき。大人も学び直し、分野横断していく。教えられている側にも、学びなおしていることが伝わる。(加茂さん)

 子どもたちと一緒につくっていく、取り組む、ということが大事なのだと改めて感じます。こうした観点から、プログラミング教育はどうなのかを評価もしてみたいと思いました。木村先生が、「学校は生徒と一緒に未来をつくる場所であり、今の社会に適応させる場所ではない。」と言っていました。また、中島さんは、「今は激動の時代。STEAMが無味乾燥な言葉にならないようにしなくてはいけない。失敗、弱さ、そういうことも認め、受け入れられることも大事。」と言っていました。こうした価値観がベースに持ちつつ、未来をつくる場を増やしていきたいと感じました。

 No.3に続きます。
blog.ict-in-education.jp


(為田)