2019年11月5日に、紀尾井カンファレンス・麹町中学校を会場にして開催されたEdvation × Summit 2019に参加してきました。参加した講演から、自分用のメモとコメントを公開したいと思います。何かの参考になればと思います。
講演「先端技術・ビッグデータ×教育」に参加しました。「公正に個別最適化された学びの実現」が求められている中、大きな可能性を持つ先端技術や教育ビッグデータを活用するにはどのようにしていくのか。現状と今後の展望についての講演でした。個人的に印象に残った部分をメモとして公開します。(あまりまとまっていなくてすみません…)
文部科学省の「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」の中に、教育ビッグデータの利活用の全体イメージが描かれています。
- ポータビリティ(相互運用性)
- 誰でもが使えるようになるか、というのが重要。
- どこかの自治体・事業者ベースの特定のデータになるのではなく、流通するように。
- 役に立つのか?
- 「集めたけど役に立たなかったね」となったり、「わかっていたことが証明されたね」という程度だったり。
- 国際的にも通用する?
- データ形式については、国際標準がある。国際的に共有もできる。
- データ内容は教育制度や文化に依存するため、各国で標準を規定している。日本では、独自の校務系・学習系のデータ標準を策定。
- 日本では学習指導要領があるので、それを「学習指導要領コード」としてまとめ。
- 出して終わりでなく、技術の進展によって、改訂を繰り返していく示し方をしたいと考えている。
- スタディログは、技術面としてどうするのか、仕組み面でどうするのか、という2つの面がある。
- 「安全性」と「ポータビリティ」と「どのように役に立つか」という3つの観点がクリアできるような設計であるべき。
教育データの活用による教育の質の向上については、以下のような点が紹介されていました。現場で学習者・指導者にとって役立つかがポイントとなります。現状では、実地に必要そうなデータを特定して引っ張ってきている状態だが、これからはビッグデータで容易にとれるようになってくるので、それを組み合わせて教育の質の向上に結びつけていく方向となるそうです。
- 学習指導の充実
- 児童生徒の学習理解度や成績、アンケート結果などを集約し可視化して、教員が個に応じた指導や授業改善に活用したり、児童生徒自身が学習の振り返りに活用する
- 生徒指導の充実
- 児童生徒の学校生活の状況や生活指導の記録を一元的に可視化して、教員が児童生徒の抱える生活上の課題を早期発見する手助けしたり、学校全体で共有して、組織的な支援をする
- 保護者への情報提供
- 保護者面談などの際に、個々の児童生徒に関する情報を集約・可視化して保護者に示して、具体的な説明をする
- 学校経営の充実
- 自校内に蓄積された多様な情報を分析し、学校経営計画の検討やカリキュラム・マネジメントなどに活用する
また、OECD・Education2030プロジェクトが紹介されました。エージェンシー(Agency)については、キーワードとして勉強したいと思いました。
最後に、「教育データの分析に関する論点」が紹介されました。
- 現状
- 大規模なデータを分析し、効果的なフィードバックのために教育データを活用することが難しい
- 論点
- 分析構造の考え方(狙いを定める or 定めない)
- データの粒度と分析内容の最適化
- 教育現場へフィードバックできる仕組み
算数のアダプティブ・ラーニングシステムの開発などに参加してきて、この現状はまさしくそうで、「どう活用するか」はまだまだこれからだと思っています。現場へのフィードバックがかかり、先生方や学習者のためになるような仕組みを作ることに関わっていきたいと感じました。
(為田)