教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

書籍ご紹介:『誰でもできる! オンライン学級のつくり方』

 成城学園初等学校の秋山貴俊 先生 編著の『誰でもできる! オンライン学級のつくり方』を献本いただきました。たくさんの事例が具体的に紹介されているのがいいと思います。これを読んで、「うちの学校だったら…」「うちのクラスだったら…」とカスタマイズして使っていく先生が増えていけばいいなと思います。

誰でもできる! オンライン学級のつくり方

誰でもできる! オンライン学級のつくり方

 
 タイトルにある「オンライン学級のつくり方」というところが、「授業のつくり方」ではないところがポイントだと思います。学級はただの「授業を受ける場所」ではなく、先生と子どもたち、子どもたちと子どもたち、先生と保護者、さまざまな存在が交わる場だと思います。休校となって教室という場が使えなくなり、オンラインに場を移したときに何ができるのか、ということを知っておくことは非常に重要です。

 また、「3つの準備で安心をつかもう!」というSTEPが紹介されています(p.18-19)。そこで挙げられているのは、以下の3つの準備です。

  1. 模擬授業と研修で自信をつけよう!
  2. 丁寧な説明で保護者の信頼と安心を得よう!
  3. ポータルサイトで情報伝達をシンプルかつスピーディに!

 すでにオンラインで学びの場を作っている学校には、当たり前のことばかりですが、実際にはこのSTEPにこれから取り組む学校もたくさんあると思います。まずは先生方が使ってみることだと思います。Zoomでも、schoolTaktやロイロノート・スクールでも、YouTubeでも、先生方が自分で使ってみて、どういうところが便利なのか、どういうところが不足なのか、知ってこそ子どもたちと一緒に使うことができると思います。
 これからオンラインに学びの場を拡張しようとする先生方の、最初の一歩として、多くの人に読まれるといいな、と思います。

(為田)

2021年の行動指針「Help Schools/Education Become Future Ready」

 2021年となりました。2020年は、新型コロナウイルス感染予防の休校措置が2月からスタートし、そこからGIGAスクール構想による小中学校の一人1台体制を前倒しで整備するという、急展開の1年間でした。
 全国各地で行う予定だった研修の多くはオンラインに変更されたり、キャンセルされたりもしました。急激にオンライン会議が多くなり、印鑑不要で書類のやり取りが行われることも多くなりました。そもそも、リモートワークがこんなに普及ということも、まったく考えていませんでした。学校も、企業も、仕事のしかたが大きく変わった1年だったと思います。
 そうして日々大変な思いをしていた2020年ですが、だんだんと「これまで通りの学校の形」「これまで通りの授業の形」へと戻っていく学校が多かったように思います。公教育という大きなシステムに、一人1台の個人情報端末を実装していくのは、そう簡単ではないな、と思った1年でもありました。GIGAスクール構想をはじめ、学校をアップデートしていくためには、ハード面でもソフト面でも、関わる人たちのマインドセットの面でも、この2021年が勝負どころだな、と感じています。

 そんななかで、正月にテレビでよく見た、ソフトバンクの5G ドラえもんのCMが非常にドキリとさせるものだったと思います。堺雅人さんが演じている、未来ののび太くんが「せっかくいろいろできるのに可能性を制限しないでほしな」と言うのですが、このセリフが耳に痛いです。
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 2020年、授業をオンラインで配信したり、家庭とのコミュニケーションをオンラインで実施したり、いろいろと試行錯誤してきて、「可能性」を感じることもできたのだから、これを制限するのではなく、学校に実装できるように、学校をお手伝いしていきたいと思います。
 弊社フューチャーインスティテュートで掲げている行動指針「Help Schools/Education Become Future Ready」の、最初の「Help」のところを明確に、それぞれの学校にとっていい形でICTを活用できるように、お手伝いをしていきたいと思います。また、学校で用いるシステムやコンテンツを制作している企業の皆様とも、一緒に学校をHelpしていければと思っています。
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 2021年をスタートにして、ここ3年くらいでお役に立てないのであれば、うちの会社としてどうなんだ?というくらいの気持ちでいます。会社の存在意義のひとつの尺度は、「社会に必要とされているか」だと思っています。弊社で言えば、「学校に関わるさまざまな人たちに、必要とされているか」ということです。そのために何ができるか、考え、行動を続けていきたいと思っています。

(為田)

2020年ふりかえり

 いよいよ2020年も終わりということで、ふりかえりをしたいと思います。2020年の教育ICTリサーチブログは、この記事を入れて410本の記事を書きました(2019年は375本だったので、少し増えました)。書いた記事のなかから、いくつか紹介していきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症対策の休校期間

 2020年2月末に、佐賀県立致遠館高校の授業を参観させていただいた夜、先生方との懇親会をしているときに記者会見が行われて、休校への動きが急速に進んでいったのでした。
 その後は、何かできることはないだろうか、とStay Homeしながら全国の先生方にご協力をいただいて、「休校×ICTでできたこと」というエントリーを全部で34本、書きました。何ができるだろう、とモヤモヤしていた日々でした。

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共著『学校アップデート』の発売

 東北大学の堀田龍也 先生と東北学院大学の稲垣忠 先生と宮城教育大学の安藤明伸 先生とご一緒させていただき、弊社フューチャーインスティテュートの為田と佐藤が執筆した書籍『学校アップデート ―― 情報化に対応した整備のための手引き』が2020年4月30日に発売されました。読んでいただいた皆さんから、読書感想文を募って公開もしました。
 この本を通じて、「うちの学校に研修講師をお願いできないですか?」というオファーをいただいたり、はじめてお会いした先生から「これ、読みました」と言っていただいたり、世界を広げてくれた1冊でした。

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仕事はオンラインばかりになりましたが、悪いことばかりではなかった

 コロナのために授業を参観させていただくために学校へ伺う回数は減りました。決まっていた研修も、残念ながらオンラインの形式になってしまったものも多くなりました。でも一方で、「オンラインだからこそ、校内研修の位置づけにして、教職員みんなで見ました」「質問はチャットの方がやりやすい。リアルタイムで答えていただいてありがとうございました」という声もいただきました。

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 今年度からスタートしたプロジェクトは、日本国内でもまったくリアルで合わないまま、ZoomとSlackでプロジェクトが進行しているものもあります(はじめてお会いしたのは夏から秋にかけてで、「あ、はじめましてでしたっけ…」という感じでした)。

2020年、ありがとうございました。2021年もよろしくお願いします。

 1年前の今頃、こんなふうな年の瀬を迎えることになるとはまったく想像もしていませんでした。悪いことばかりでなく、この機会にと言ってはいけないかもしれませんが、いい方向に変わってきたと思うこともたくさんあります。
 子どもたちにとって、学校にとって、教育にとって、今よりも少しでも良い状況を作れるように、2021年もできることをしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

書籍ご紹介:『コロナの時代の暮らしのヒント』

 井庭崇先生の『コロナの時代の暮らしのヒント』を読みました。井庭先生の『クリエイティブ・ラーニング』は、自分のなかでとても重要な本で、教育をどうアップデートしていくのかを考えるときにときどき読み直しています。

コロナの時代の暮らしのヒント

コロナの時代の暮らしのヒント

  • 作者:崇, 井庭
  • 発売日: 2020/09/29
  • メディア: 単行本

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 そんな井庭先生が、コロナ禍での大変な状況の暮らしのなかで、「こんなふうにしてみたらいいんじゃない?」と提案をしてくれる本です。井庭先生の目線はいつも優しくて、とてもオープンです。
 全部で32個のヒントが書かれています。自分のなかで好きだったものをメモしておきます。

  • 4 《ゆるやかなつながり》も大切にする
    • ZoomやビデオLINE通話で、みんなで目的も落とし所もなく、何気ない会話をする。
    • TwitterFacebookなどで非同期にゆるやかにつながることが、心的な距離を縮めたり、よい関係性を築くことにつながったり、強い絆を生んだりする。
  • 13 どの未来が来ても大丈夫なように、《未来を織り込む》
    • シナリオ・プランニングの手法を使って、4つの未来シナリオを書いてみる。どの未来シナリオもあり得ることと想定して《未来を織り込む》
    • 感染状況も経済状態も、自分ではコントロールできない環境要因なので、どう転んでも自分が適応していけるように準備をする。
    • 「学校のオンライン授業化についても同様です。「短期的なやり過ごし」ではなく、長期的な視野での新しい教育スタイルの構築だと思って取り組むべきでしょう。新型コロナの件が収束したあとでも意味があるように、オンライン授業を開発・実験・洗練させていく」(p.101)
  • 16 できなくなったことではなく、《できることリスト》を書いてみて、前向きに暮らす
    • できることをブレインストーミング的に書き出していく。意外とたくさんある。
    • 「失われたもの」から「自分ができること」にフォーカスを移すだけで、人は元気になれる。
  • 23 万が一のことを考え、自分の《活動の足あと》を仲間・家族と共有して、《チームごと》にしておく
    • 「最近、僕は、書きかけの本の原稿や論文、重要なファイルを、ごく近い仲間・家族と共有するようにしました。共有のドロップボックスに、「念のための書きかけファイル共有」のフォルダをつくり、万が一のときには引き継いでもらえるように、ファイルのコピーを置きました。」(p.176)
  • 30 すべてがオンラインに乗っているからこそ、絶好の《学びのチャンス》だと捉え、飛び込んでみる
    • 地理的な制約・条件に囚われずに、いろいろな学びのチャンスを捕まえにいける。
    • ウェビナーであれば、参加しているだけならば何かをしながら耳だけ、という参加もできる。
    • 家族と一緒に聴くこともできる。

 最後の「30 すべてがオンラインに乗っているからこそ、絶好の《学びのチャンス》だと捉え、飛び込んでみる」に関しては、ウェビナーに関しては、参加者としても登壇者としても運営としても、2020年はいくつも参加しましたが、むしろオンラインになったからこそよかった、ということはたくさんあります。学校の先生方はお忙しくて、地理的・時間的制約があるのでなかなかお会いできなかった方とも、オンラインでお話できたりしました。リアルでやるよりもオンラインでやるほうが、参加者が多いこともしばしばありました。これも、「16 できなくなったことではなく、《できることリスト》を書いてみて、前向きに暮らす」に繋がっていく感じがします。
 やれなくなったこともたくさんありますが、それをどうこう言っていてもしかたなく、この状況で、何ができるのか、を考えていくしかないと思っています。

 32個のヒントのなかには、学校の先生方の仕事にも参考になりそうなこと、子どもたち自身ができることもたくさんあると思いました。子どもたちの学びを、「今までどおりできなくてかわいそう」にするのではなく、「今だからこその新しい学び」に変えていけるようにしていきたいと思います。

◆ ◆ ◆
 
 宇野常寛さんの「遅いインターネット会議」にもゲストで登場していましたが、この対談もとてもよかったです。おすすめです。
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書籍ご紹介:『「問う力」が最強の思考ツールである』

 僕は毎週、小学校のアフタースクールで1年生から3年生に向けて授業をしていて、いろいろな活動をしているのですが、「どう問うか」「発問のときにどんな言葉を使うか」「どんな雰囲気で問うか」というのは本当に大事だな、と感じます。
 僕はschoolTaktを使って授業をすることが多いですが、授業支援ツールをいくら使っても、結局は、子どもたちにどんな答えをしてほしいな、ということを踏まえて「どう問うか」が大事で、その想定と比較して子どもたちがどんな答えを書いてくれているのか、というのが大事だなと感じています。そんななか、「問う」ということについて書かれた本を手にとるようになり、勉強をしています。今回読んだ、井澤友郭さんの著書『「問う力」が最強の思考ツールである』はその1冊です。

「問う力」が最強の思考ツールである

「問う力」が最強の思考ツールである

  • 作者:井澤 友郭
  • 発売日: 2020/08/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 井澤さんは、問いを3つに分けています(p.34)。それぞれに役割や活動への結びつきが変わってくるな、と思いました。ワークシートを作るときにも、参考になる分類だと思いました。授業へバランス良く組み込んでいきたいと思います。

  • 1人称の問い=自分自身への問い
    • 思考
    • 判断
    • 内省
    • ストレートな分析
  • 2人称の問い=一人の相手への問い
    • 感情をより深く知る
    • 信頼関係
    • 行動、判断、支援
  • 3人称の問い=複数の相手への問い
    • 同時に的確な問いを投げかける

 自分自身が授業で使っているスキルとしては、3人称の問いが多いのですが、そのなかでも一人ずつが自分ごととして考えてもらうようにワークシートを作るには2人称の問いが大事だと思いますし、自分ごととして考えるその過程はまさに子どもたちが1人称の問いを自問自答して思考ツールとして使えるようになることが大事になります。

 授業支援ツールをいくら使っても、目の前にいる子どもたちを前にして、先生方がどういう「問い」をするかを考えていかなければならないところだと思います。そのための参考になる本だと思いました。

(為田)

授業で使えるかも:Google Japan Blog「2020 年 Google 検索ランキング発表」

 Google Japan Blogで、2020年のGoogle検索ランキングが発表されていました。単純なキーワード検索回数というのではなく、急上昇したキーワードは何か、「○○とは」で検索されたキーワードは何かなど、いろいろな面からGoogle検索の結果を見ることができます。
japan.googleblog.com

 また、動画でまとめたものもあり、こちらのなかで「なぜ~~」というのが多く検索された2020年だった、ということが述べられていました。
www.youtube.com

 「検索する」ということが一般的になってくることで、検索キーワードのランキングを見ることで2020年という年がどんな年だったのかを思い返すことができるようになっているのだな、と感じます。

 ちなみに、Googleトレンドのページで、これまでの各年のランキングも見ることができます。
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 一方で、たくさんの人に検索はされていないけれども、これまでには全然検索されていなかったキーワード、あるいは毎年少ないながらも変わらずに検索され続けているキーワード、という切り口もできるだろうし、検索キーワードをきっかけとして現代社会を考える授業もできそうかな、と感じました。

(為田)

やってみた:Spotifyが2020年をまとめてくれた

 2019年からSpotifyサブスクリプションサービスを利用していて、音楽についてはずっとSpotifyを使っています。コロナ禍で家にいる時間が増えて、仕事をしながらも音楽をかけている時間もふえています。

 12月に入ってすぐに、Spotifyが2020年をまとめてくれました。昨年もこれについては書いているので、今年も書こうと思います。こうして読み返してみると、2019年のまとめと2020年のまとめはけっこう違う。どんどんサービスが変わっていく様子を体感できるのは本当におもしろいです。

 いちばん再生回数が多かったのは、YOASOBI「群青」でした。これも記事で書いてますから。本当に何度も何度も聴きました。ブルボンのアルフォートとのコラボビデオが好きで、何度も何度も見てもいます。公式ミュージックビデオも12月に出ました。
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www.youtube.com

www.youtube.com

 その他、どんな曲をたくさん聴いたかがランキングでわかり、かつプレイリストとして作成されるのは、とてもいいなと思います。
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 さらに、2020年の秋からは、PodcastSpotifyで聴くようにしました。理由は、アプリを切り替えるのが面倒だったことと、PCとAndroidiPhoneと3つの機器での再生位置の同期ができるようにしたかったこと、でした。これでほぼすべての音声コンテンツをSpotifyで聴くようになりました。
 いちばん聴いたPodcastはCOTEN RADIOでした。33エピソード。歴史のおもしろさを再発見させてくれるPodcastだと思います。アメリカ、オスマン帝国カエサルとおもしろかったなあ。
 情報収集のためにPodcastをたくさん聴くようになったので、フォローしているコンテンツも増えました。日本語と英語と両方、歩いている間(本が読めない間)はほぼPodcastを聴いています。2021年は全然違うランキングになるかなあ…。
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 曲のカテゴリーについてもまとめてくれています。僕が最もよく聴いた楽曲の年代は1990年代だそうです。
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 いちばん聴いているのは、The Black Crowes「Hard to Handle」ですね。これも僕にとっての気合を入れるときのパワーソングなので、再生回数多いんだと思います。
www.youtube.com

 僕は高校入学が1991年4月、大学入学が1994年4月なので、いちばん音楽を聴いていた時代が1990年代だと思います。CD買って、歌詞カード見ながら聴いて…という感じに。そうすると、Spotifyのようにどんな音楽でも聴けるサービスを使うようになると、この頃のアルバムばかり思い出して検索して聴いている気がします。なかなか新しいアーティストが増えないな…と思っています。そのなかで、アーティスト別で5位に入った星野源さんは、すごいですね。
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 こうして自分ではなんとなくしか把握していない、ぼんやりと思っていたことが、きちんと数字として出てくるのがとてもおもしろいです。
 デジタルサービスを使っていると、同じようにデータをさまざまに見ることができるようになっていくと思います。ヘルスケアデータも、日経の歩数計アプリも、2020年は僕にいろいろな気づきを与えてくれました。学習ツールも、いろいろと自分で試してみた1年でした。スタディ・ログは学習者にどんな影響を与えるのか、というのを自分で体験したいと思っています。

(為田)