一昨年、ブラジルでの教育カンファレンスに参加させてもらったときに、おみやげにクリッカーをもらった。先生が教室で発問して、手元のクリッカーで「Yes」「No」を簡単にボタンを押して、集計が教室内でリアルタイムにできる、というもの。ああ、こういうのを使って授業中にアンケートをとるのかあ、と思いました。(テレビ番組で観覧者のアンケートをとるのと同じ感じですね)
最近の授業支援システムでも、こうした機能が入っているのを見かけます。YesとNoだけを選べる機能もあれば、選択肢をこちらで用意して集計する機能もあります。
いろいろな使い方をされているかと思いますが、「今日の勉強がわかった人?」と発問して、「Yes」と「No」を訊くだけだったらもったいないな、と思います。正直、それだったらわざわざ手元のタブレットに視線を落とさせてタップしてもらうよりも、挙手してもらえばいいな、と僕だったら教室にいて思うだろうし、そもそも黒板の前で授業をしていて、机間巡視をしていたら、だいたいどれくらいわかっているか、っていうのは把握できているし。
そうすると、どんなふうにアンケート機能を使うかな、と考えてみます。アンケート機能を使うことの良さは「誰がどんな答えをしたかがわからない」という点だと思います。だから、価値観が現れるような発問に対して、アンケート機能を使うといいかな、と感じました。たとえば公民であるとか道徳であるとか、そういった科目では有効ではないかと思います。
まもなく衆議院が解散され、来月には選挙が行われますので、模擬選挙を授業中に行うときなどにも、アンケートは使えるかもしれないと思います。そういった事例がないかと思い、簡単に検索をかけてみましたが、見つかりません。
選挙管理委員会が教材を作って、教育委員会が入れているシステム上で実施をすれば、良い教材になるのではないかと思います。地方選挙などでの争点などをまとめて、その自治体で学ぶ児童生徒たちはどんな問題意識を持っているのかがわかります。また、そうした学習をしていることが家庭に伝わることで、投票率の向上にも間接的につながるのではないかと思います。
学校という場に政治をどれくらい持ち込めるのか、というのは繊細な問題だとは思いますが、リアルタイムに教室での発問を考え、それを教科学習とどのように結びつけるのか、というのは先生方の授業設計力によって可能になるのではないかと思います。
こうした使い方の事例、海外も含めて探してみようと思います。もし、知っていらっしゃる方は、ぜひ教えていただければと思います。
教育ICTリサーチでは、ICTの利活用について目的ベースで考えるということをしていますが、こうしたアンケート機能の使い方は、今まではプリントを配って書かせて集めて集計して、というのが大変だったものを簡単にその時間内に集計し、すぐに授業の中で使うことができるようにします。こうした使い方は我々の類型のなかでは、「目的-6.教材拡充」となります。これまでは教えにくかったことが、ICTを使うことによって、教えやすくなる。授業設計のなかでどんなふうにICTを使おうか、先生方が作った事例が増えていくことで、より使い方の幅が広がっていけばいいな、と思います。
ICT利活用の9類型の詳細については、以下のエントリーを参照してください。
ICT利活用の目的 9類型(2014年8月版) - 教育ICTリサーチ ブログ