12月1日に、ニッショーホールで開催された、東京都教育庁主催のICT教育フォーラムに参加してきました。
プログラムは以下のようなものでした。
基調講演はオンラインゲームとネット依存について
基調講演は、ネット依存についての話。とくに、オンラインゲームについて焦点をあてて、「飽きるまで放っておこう」というのは通用しない、というようなことが説明されました。オンラインゲームの中で、一緒にプレイするグループとの付き合いも出てきて、だんだんオンライン上にコミュニティを持っていき、シャキ的に孤立する子もいる、と。ゲーム内で多くの時間を過ごせば、ネットの中ではものすごく強いキャラクターになれるので、そこから「ネットでの万能感とのギャップ」が生れるが、それが社会的孤立を深めることになる、ということが説明されました。
オンラインゲームやネット依存については、保護者世代や先生世代(僕自身も含めて)も、自分たちがファミコンとかで遊んでいたゲームとはまったく違う、終わりのないゲームになっている、という説明がされていました。
こうした新しい知識をきちんと伝える、というのはとても良かったな、と思いました。
悪い面ばかりでなく、良い面も取り上げてほしい
その後、パネルディスカッションでした。ネット依存の話を承けてのパネルディスカッションでしたので、「PCは一家に一台。大学生になると自分のPCを持つようになる」から、ネット依存のリスクを応用になる?というような話でした。
ネット依存の問題も、確かに大変な問題だとは思うけれど、こうした悪い面とか怖い面ばかりでなくて、「どんなことができるようになるのか」という面からも、もっとメッセージを発しても良かったのかな、と思いました。
例えばネットを通じてプロフェッショナルとのやりとりができている学校があったり、遠く離れた場所に住む高校生と悩みを共有するプロジェクトがあったり、一緒に課題を解決したり。海外へ引っ越したクラスメイトとさまざまなネットワークで繋がれたり、というような、「今までにできなかったこと」も良いケースとして出せばいいと思います。
仕事の仕方もこれからはネットとコンピュータ(ICT)を使って、どんどん変わっていくでしょう。そうした時代を見据えて、「どう児童・生徒がICTを使うのか、いい面も悪い面も伝える」というメッセージの方が、良かったのではないかな、と思いました。あらゆる道具には、いい面も悪い面もあるわけで、両方伝えた方がフェアだと思うのです。
模擬授業もメッセージを乗せてほしい
最後に模擬授業もありました。実は、昨年もこのICT教育フォーラムに参加して、いろいろな模擬授業を見ました。
模擬授業も、東京都教育委員会として、「ICTを使ってこんな授業をできるようになります」というメッセージになるところなので、もうちょっとピンポイントにICTを使う効果を絞り込んで、模擬授業をすればいいのにもったいないな、と思いました。
東京都教育委員会の「学習コンテンツ活用システム」
と、いろいろと「もうちょっとこうすればいいのに…」と思った点を書いてきたのですが、では東京都教育委員会がICT導入について否定的かというとそんなことはありません。自治体の規模も多く、学校の数も生徒の数も先生の数も多いので、いろいろとリスクもあるので、こうした形になっているのだろうと思います。
ですが、今回のフォーラムでナレーションでも入っていましたが、デジタル教材を4000を超えて持っていて、先生方に使ってもらえるようにしている自治体は、僕が知るかぎりはありません。
「学習コンテンツ活用システム」のサイトに行けば、科目別に先生方が作ってきた教材を見ることができます。
https://contents.ict.kyoiku.metro.tokyo.jp/
https://contents.ict.kyoiku.metro.tokyo.jp/
実は、我々も、この教材作成プロジェクトに参加をしていました。指導主事の先生方と、「こういうアニメーションでは教えにくい」「説明がわかりにくい」など、一つ一つ、「どう教えるのか」という点に気をつけて作っています。こうした教材を、自習に使っているケースもあれば、提示教材として使っているケースもあるかと思います。このICT教育フォーラムが「さまざまな使い方ができるのだ」という強いメッセージを伝えるイベントになればいいな、と感じました。
来年も行きます!