教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

教育ICT、どの使い方が効果あると思う?文部科学省の実証研究「学びのイノベーション事業の取り組み」

 文部科学省の実証研究「学びのイノベーション事業の取り組み」のまとめをYouTubeで見ることができます。一斉学習、個別学習、協働学習の3つに分けて、それぞれでどんなふうにICTを使うのかを実際の教室の映像を使ってまとめています。
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 1本ずつの紹介動画は3分弱ですから、タイトルだけざーっと見て、気になったところから何本かだけでも見てみてください。ぜひ、たくさんの先生方に見ていただきたいと思うのですが、「あ、これいいかも!」と思ったら、それをどんなふうに授業で使ってみたいかを考えてみてください。そしてよろしければ、コメントか何かで教えてください。

「いいところを探しながら」見て

 僕は、教育ICTのイベントなどで話をさせてもらうときには必ず言うのですが、ぜひ「いいところを探しながら」見てください。ダメ出しばっかりしていても前には進みません。100点満点はたしかにとれていないかもしれませんが、今が60点で、それを70点にできる使い方なのならばやってみたらいいではないですか。減点分の30点ばかり気にするのはやめましょう(もちろん、それにいくらお金がかかっているの?という点はありますけどね)。

 全部まとめて見るのもいいのでしょうが、なかなか時間がないということもあるかと思いますので、設定されている使い方ごとに分けて、コメントをつけてみました。全体を見られる再生リストはいちばん下にリンクしておきます。

一斉学習

A1 教師による教材の提示

 飛び箱をしている様子を撮影して、重ねて見せて違うところを説明したり、図や写真を大きく表示させたり、授業の理解を促進させるためにどう使うか、というのを紹介しています。書画カメラ(実物投影機)を使うだけでも、手元にある小さなものを見せたり、今まで見せられなかったものを見せられたり、ということが実現できるので有効だと思います。
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個別学習

B1 個に応じる学習

 一人ひとりが、自分にあった形で学んでいる様子が紹介されています。「一人ひとりが、自分にあった形で学べる」というのもICT(デジタル)の大きな特徴です。ドリルを一人ずつ違った問題を出題する、というようなことは、「やろうと思えば今でもできる」ことですが、先生方の負担は非常に大きくなります。そういった部分は、このようにデジタルで行えばいいと思います。
 また、英語の音声認識機能を使っての練習も、一人ひとりの発音を先生が聞いてチェックしていく、ということは現実的ではありませんから、デジタルで行うことで学習効果が上がるのではないかと思います。
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B2 調査活動

 調べたいことがあるときに、わざわざ図書室に行ったりするのではなくて、教室でその場でインターネットで調べることができるようになる、という事例として紹介されています。
 僕としては、タブレットを教室外にどんどん持って行って、そこで見つけたものを写真で撮影したり、インタビューした様子を動画で撮影して教室でみんなで話しあったり、という、フィールドワークに出て行ったり、「C1 発表や話し合い」などと連携して用いることで、より広がりが出るのではないかな、と思いました。
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B3 思考を深める

 図形の問題など、何度も何度も描くことで、公式や定理の理解を深めてもらう、という事例が紹介されています。
 ここでは紹介されていませんが、国語科の先生方の中には、文章の推敲作業をさせるのに、手描きよりもワードプロセッシングのソフトを使って、何度も書き直しをしてみてどちらの表現がいいか、思考を深めてもらっている、という先生もいらっしゃいますので、そうした観点もプラスして見ていただくといいかもしれません。
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B4 表現・制作

 表現については、「何が学習目標なのか」ということによっては、必ずしもICTでなくてもいいかもしれないな、と思いながら事例を見ていました。実験の様子を撮影して、それをレポートに入れる、というのは、実際にいくつかの学校で実践している様子を見て、観察を何度もすることができたりしますので(実験は見逃すことも多いですから…)、非常に効果的だと思いました。
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B5 家庭学習

 過程で資料作成の続きをさせる事例が紹介されていますが、これはちょっともったいなくて、「家庭でしかできない」ことと絡めたら、もっとわかりやすかったなあ、と思いました。家庭にあるものを題材とした何かが課題として出ているとか、だと見え方が違うように思いました。
 そうした意味では、家で予習をするために動画を見る(反転学習)的な紹介事例の方が分かりやすいと思いました。授業にすんなり入れるように準備を家庭でしてくる、というような使い方をすると、授業がどう変わるだろうか、ということを考えながら見てみるといいと思います。
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協働学習

C1 発表や話し合い

 資料を作成してクラス全体に発表します。また、友だちの作品を見て、感想を書き込んだりということもします。以前小学校を訪問させていただいたときに、児童が描いた絵の下に自分で作品紹介の画用紙が貼ってあって、そこにクラスメイトがポストイットに感想を書いて貼ってあったことがありました。それを見て、自分の作品にクラス全体から感想をもらうっていうのは、学びのきっかけになることだと思ったのですが、これはけっこう大変だなあ、と思ったのですが、ICTで感想をまとめることで、より簡単に実現ができるように思いました。
 また、合唱の様子を撮影してみんなで動画を見て、改善点を考える、というのもとてもいい使い方だと思います。グループだけでなくて、A1 教師による教材の提示、のところでも紹介されているように、一人の様子(動作など)を撮影して見直す、というのとも重なってくるところだと思います。
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C2 協働での意見整理

 お互いの意見を共有しやすくなりますし、意見整理がやりやすくなります。グループでディスカッションをしているところで、みんなで頭をひっ付け合って画面を見せ、いろいろと話し合っているのがいいと思います。電子黒板で全グループの意見を見比べられる、というのも黒板に書いてもらったりすると時間がかかってしまうことなので、ICTでできるといいと思います。
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C3 協働制作

 グループごとに話し合って写真などを入れたりもします。クレイアニメを作ったりという事例もあります。クレイアニメなんかは、グループごとにどんどん写真を撮って、ちゃんと見えるか確認して、撮影して…。という活動なので、ICTがないと大変ですね。一緒に創ることで、グループの中で「僕は○○が得意」みたいなのが出てきて、チームで動くということが学べそうな気がします。
 クラス全員でカルタを作る事例も紹介されていますが、これも友だちの作品を参考にして表現を工夫することができるのがいいことだと思います。僕はICTの効果の大きな部分は、試行錯誤をするコストをすごく下げてくれることだと思っています。だから、「ちょっと直してみようかな?」とか、「こうやってみたらどんなふうかな?」とかを学習活動に入れ込めるといいな、と思っています(このあたりは、B3 思考を深める、のところにも重なってきますね。
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C4 学校の壁を越えた学習

 テレビ会議システムを利用して、学校の壁を越えて授業を行っている様子が紹介されています。日本国内だけでなく、海外の学校ともつなぐことができますので、外国語活動などでも活用できるかと思います。
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特別支援学校(病弱)での取り組み

 ICTの教育現場での導入という意味では、特別支援学校はかなり積極的です。それは、「今はできない」という状況をICTが明確に解決してくれることが多いからだと思います。離れている教室を結んでの授業や、なかなかできない授業(実験など)を、ICTを使って行える、というのは大きな利点です。
 校種が違う、というので見ないのはもったいないので、ぜひ見てみてください!活用のヒントになりそうな気がします。
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再生リストで見るなら、こちら

 全部まとめて見るのはこちらからどうぞ。2014年12月に公開されて、再生回数1,412回はちょっと少なすぎるので、ぜひぜひ、見てみましょう!
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