ただの数字に実感を持たせるための表現
Huffington Postで取り上げられていた、「第二次世界大戦の犠牲者数をグラフにすると、その規模の大きさが一目でわかる」というのを実際に見てみました。
70年前に終戦を迎えた第二次世界大戦では、何千万もの人々の命が犠牲になった。しかし「何千万人」という数字は規模が大きすぎて、抽象的なものとしてとらえてしまいがちだ。
その犠牲者数を様々な角度から分析し、さらにグラフなどを使って視覚化したのが、映像作家ニール・ハロラン氏が作成した動画「第二次世界大戦の戦没者」だ(動画は冒頭に掲載)。犠牲者がどこの国の出身なのか、どのようにして亡くなったのか、「何千万人」という数字が視覚化され、私たちに改めて第二次世界大戦の犠牲の大きさを伝える。
このように、歴史的事実として数字を習ってはいるものの、「実感としてそれがどれくらいインプットされているか」というのは非常に大切だな、と思うのです。
動画を見ていると、国ごとに犠牲者の数が表示されていきます。また、同じ国でも、「どういった状況で犠牲者となったのか」も表示されます。例えば、日本軍の犠牲者のところでは、「中国方面でどれだけ、太平洋戦線でどれだけ」というのがわかるように説明されます。
歴史上のさまざまな戦争と比較しても、第二次世界大戦の犠牲者が圧倒的に多いということがわかるようになっています。
数字をデータとして出すだけでなく、実感として見えるようにする、インフォグラフィックスとしてもとてもわかり易いと思いますし、何より説明としてわかりやすくアニメーションにされています。
日本のアジアでの戦争については、各国の犠牲者と日本の関係がどのようなものなのか、改めてつきつけられる感じがしました…。
英語ですが、ぜひ意味を追いながら(そんなに難しい英語ではありません)、見ていただければと思います。
社会科や英語の反転授業の教材にどうでしょう?
動画は18分ちょっとあります。最初から最後まで教室で見せる、というのはちょっと現実的ではないかな、と思います。それこそ、反転授業で見てきてもらってもいいかもしれません。英語も全然難しくないので、理解できると思います。
歴史、現代社会、英語などの科目で、もしかしたら使えるのではないかな、と思います。
プロジェクトとして、作家のニール・ハロランさんは作成しているとのことで、サイト「fallen.io - Home of The Fallen of World War II and The Shadow Peace, by Neil Halloran」もチェックしてもらえればと思います。
こうした良質な映像コンテンツを無料で見られるということは、教室にICTが来ることの大きな利点です。あとは、これを「こんな授業で使ってみたいです/使ってみました」という声がどんどん出てくればいいな、と思います。
(研究員・為田)