8月末になりますが、「オックスフォード大学出版局/大津市のICTを活用した英語の指導方法開発事業に採択」というニュースを見ました。
ict-enews.net
どんな教材、どんな授業を想定しているのかと思ったので、オックスフォード大学出版局のリリースを見てみました。
滋賀県大津市は、国際理解教育推進事業の一環として、2014 年度より英語教育強化のための事業を拡充し、外国語指導助手(ALT)の増員や ICT(情報通信技術)を利用した英語指導の探究、小学校低学年からの早期外国語活動の推進などに取り組んできました。同年10月には「ICTを活用した外国語教育ティーチングメソッド開発業務」受託業者の選定を開始し、書類審査と 9 週間にわたるパイロット授業、効果測定、研修プログラムを経て、このほど、オックスフォード大学出版局の事業案を採用しました。事業期間は 2017 年度までの約 3 年間、総予算は 1 億 6,161 万 1,200 円です。
実際にパイロット授業もやってみているのですね。
オックスフォード大学出版局の事業案は、児童の英語力を向上させるだけでなく、コミュニケーション能力やコラボレーション能力、創造力、批判的思考力といった小学校学習指導要領にも記載のある「生きる力」を総合的に育むことを目的としたシラバス、カリキュラム、レッスンプランで構成されています。また、小学校の教員一人ひとりが、統一されたメソッドに則り自信をもって英語の指導にあたれるよう、指導力養成のための研修プログラムも盛り込んでいます。2015 年 2 学期より同市内のモデル校 5 校において指導案、教材、教員研修の提供を開始し、効果や課題を検証しながら開発を進め、2016 年度より 2 年間、同市内の市立小学校全 37 校にてプログラムを全面提供していく予定です。また、2018 年度以降の継続受託に向けた協議も進めています。
「Let's Go」シリーズの学び
資料として、主な使用教材がリリースに載っていました。僕は、最初に出ている「Let's Go」シリーズを使って、小学生に英語を教えていたことがあります。
うちの教室で使っていたのは、DynEd社により提供されていたLet's Goでした。
web2.dyned.com
現在も同じかどうかはわからないですが、歌(Chants)・語彙(Vocabulary)・文法(Grammer)・フォニックス(Phonics)・ゲーム(Games)の5種類のコンテンツがあって、それを自由に選んで学習する、という完全1to1の形での学習をしていました。
音声認識機能がついていたので、耳から聴こえる通りに発音して、それをコンピュータが児童で認識して、上手ならばその単語の発音は機会が減っていき、あまり上手でなければ、さりげなくまた時間をおいてその単語が出題される、というふうに、アダプティブに問題が出ていたのに非常に感心しました。
実際、目でスペリングを見なくても発音はできるようになります(母語を覚えるのと同じ要領で)。また、りんごを「an apple」と普通に発音するようになったのにもびっくりしました。中学校英語で「an apple」からスタートする先生にはあまり出会ったことがなかったですが、表現の中で出会った単語をそのまま覚えていくので、そう発音するようになるのでしょう。
先生の役割
先生は、子どもたちの進捗をすべて見ることができていました。5種類のコンテンツのどれを何分くらいやっているか、どれくらいの正答率で進捗はどれくらいか、というのを一覧でみることができました。したがって、先生の主な役割は、英語を教えるというよりは、モチベーションをコントロールする役割でした。よかったら褒める、集中が切れていたら声をかける、というような形でした。