教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

新聞記事をどう(教育)コンテンツ化するか?

朝日新聞が「天声人語」×萌えキャラの公式アプリ

 先日、朝日新聞が「天声人語」を萌えキャラが読み上げる公式アプリ「聞かせて天声人語」をリリース、というニュースが出ました。どんなものだろうと思って、インストールしてやってみました。ストーリーとシステムは、Impress Watchのニュースから引用です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151014-00000058-impress-sciheadlines.yahoo.co.jp

女子高の放送部員3人が朗読コンテストの優勝と放送部の存続を目指し、天声人語の読み上げに挑戦するという設定。プレイヤーがストーリー各話に収録された天声人語を聞いた後、計600問の中からランダムで出題される5問の時事クイズに解答することで物語が進行していくシステム。クイズに全問正解することでもらえる“ご褒美ボイス”も用意。一度聞いた天声人語や出てきた用語は図鑑機能に登録され、後からでも参照可能。「受験・就活にも役立つ時事問題を楽しく学べる」とのこと。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151014-00000058-impress-sci

 画面はこんな感じです。RPG系なのですね。ソーシャルゲームをやっている感じです。
f:id:ict_in_education:20151016055820p:plain
 そして、「天声人語」を読むようになっています。読むごとにポイントが貯まっていくようになっているのも、ソーシャルゲームっぽいですね。(課金コンテンツもあります)
f:id:ict_in_education:20151016055842p:plain

 新聞を読む読者層が高齢化しているのもあって、そこをどうにかすべく…という目的なのかと思います。どれくらいの人が読むようになるのかなあ…。若者を取り込みたい、のかな。具体的に、どんなKPIを設定しているのか、知りたいと思いました。ユーザー数やデイリーアクティブユーザ数はどれくらいを目指しているのだろうか、継続率とかどういった数字を見ていくのかが気になります。

 僕は、新しい層に入ってきてもらうためにエンターテイメント性を活用するのは、いいことだと思っています。「楽しそう!」と思わせて、まずはやってもらわなければ話にならないから。
 ただし、「ゲーム部分がただ楽しければいい」から、「ゲーム部分はけっこうどうでもよくなってきて、勉強そのものがおもしろい」というところにどう離陸させるか、というところが大事だと思うのです。そうでないと、新聞の読者は増えないわけですから。そのあたりの設計もどうなっているのかな、と思いました。

授業で使えるコンテンツにできないだろうか?

 「天声人語」は、大学受験のときに通っていた学習塾で教材として、「英文対照天声人語」を使っていました。季刊なので、年間4冊が刊行されていました(今も、刊行されています)。

 がっつり骨太な方向ですけど、この本をアプリにするとか、Kindle版にするとかして、学校で使えるようにしたらいいんではないかな、と思いました。例えば、国語の先生が日本語部分だけをちょっとしたネタとして授業で使えるようにするとか、英語の先生が長文読解の課題として使ったり、小論文の課題として使ったり、というところを、サポートして教室で使えるようにしたらいいのにな、と思いました。特に天声人語は大学入試でも使われることが多いと思うので、いいと思います。

 学校で使っている教材の中に、「天声人語」があって、朝日新聞のコンテンツに親しんで…というふうにつながることも可能性があるのではないかと思います。
 ここまで振り切ったものを作れるのであれば、ぜひ学校で教えられそうなコンテンツを企画してほしいな、と思いました。
 日経新聞の「私の履歴書」を使った教育コンテンツを提供している、教育と探求社の「クエストエデュケーション」など、新聞記事が魅力的なコンテンツになりうる例の一つだと思います。
http://www.eduq.jp/quest/www.eduq.jp

 選挙権を持つ年齢が18歳以上になるということは、新聞に限らず、世の中の動きを広く知って、考える層がもっと増えないといけないということです。そのために、新聞が果たすことができる役割は、まだまだ大きいと思います。

(為田)