フューチャーインスティテュートの前田です。美大卒の教育コンサルタントです。この連載では、ICTを使ってこんな授業ができるのではないかというアイデアを紹介していきます。
今回は、写真を使って、描き始めの段階でどのようにモチーフを観察するかを疑似体験して、感覚をつかむ方法を紹介します。
PowerPoint2010もしくは2013を使用することを想定しています。PowerPoint2010の場合は、「図形の合成」機能が使えるようにするために、以下の設定をする必要があります。
- クイックアクセスツールバー右端にある[クイックアクセスツールバーのユーザー設定]ボタンで、[その他のコマンド]をクリック
- [PowerPointのオプション]ダイアログにて、[クイックアクセスツールバー]をクリックして、[コマンドの選択]で「リボンにないコマンド」を選択
- コマンド一覧から[図形の合成]を選択後[追加]ボタンをクリック
これで、クイックアクセスツールバーに、「図形の合成」ボタンが表示されます。詳しくは、以下のサイトを参考にしてください。
http://www.relief.jp/itnote/archives/powerpoint-2010-merge-shapes.phpwww.relief.jp
授業前準備
構図を考える疑似体験をするために、写真の周りに四角形で枠を作ります。
- 必要な写真は、授業前にデジカメやiPadなどで撮影しておきます。構図を考える疑似体験をしやすいように、写真は大きめの構図で撮影しましょう。
- PowerPointを起動して、スライドマスターの表示に切り替えて、白紙のレイアウトに写真を挿入します。(「表示」タブ→「マスター表示」グループの「スライドマスタ―」で切り替え)
- スライド内に収まる大きさで写真を調整します。(縦横比は変えずにサイズ調整してください)
- スライドマスター表示を閉じます。
- スライドのレイアウトを白紙に変更します。(「ホーム」タブ→「スライド」グループの「レイアウト」で「白紙」を選択)
- 図形の正方形/長方形を選んで、写真よりも大きい四角を挿入します。(A)
- もう一度図形の正方形/長方形を選んで、Aの四角より小さい四角を作ります。(B)
- Bの四角をクリックして選択し、作品の画面の縦横比に合わせて、四角の縦横比を調整します。
- Aの四角の中央に、Bの四角がくるように配置を調整します。
- Aの四角と、Bの四角を選んだ状態で、「書式」タブにある[図形の結合]で「型抜き/合成」を選ぶと、Bの四角が型抜きされた図形ができあがります。(PowerPoint2010は、クイックアクセスツールバーにある「図形の合成」で作成)
- 色を黒にして、構図を見やすくします。
授業中操作
上記10の図形を拡大縮小させることで、写真のどのあたりまでを描くのか、どれくらいの余白を残すのか、など構図を試し、どんなふうに見え方が違うのかを考えることができます。
構図を決めたら、以下のような見方をすることを、実際に画面上に線などを引くことで、説明をわかりやすくすることができます。
- 画面の中心に何がくるか確認
- さらに画面を区切って、それぞれの要素がどの辺にくるのか確認
- ポイントとなる要素が、中心からどのくらいの角度の方にあるのか確認
- 中心のリンゴの縦の長さを基準にして、他の要素の長さと比較する
上記のような説明をしつつ、画面にどのように描いていくかを実演で見せていくと、実際に先生がどのようにモチーフを見て、画面に描いていっているのかがわかりやすくなるかと思います。
実演だけだと、描いている人の様子や描いている画面だけしか見ることができませんが、写真を使うことで、どういったところを観察しているのかを見ながら説明ができるので、生徒からしたら、描いている人の観点を疑似体験できるのではないかと思います。
PowerPoint2010もしくは2013がない場合は、構図を試す工程は別で説明するようにして、構図が決まってからの説明だけをするようにすれば、上記内容を活用することは可能だと思います。
(前田)