11月19日に千葉県立袖ヶ浦高等学校 情報コミュニケーション科の課題研究発表会に行ってきました。
1年ぶりの袖ヶ浦高校へ
去年、授業のお手伝いでおじゃましてからちょうど1年ぶりです。昨年は、この課題研究発表会は予定が重なっていて見ることができなかったので、課題研究発表会は初めてです。
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JR袖ヶ浦駅から歩いて行くにはいい天気でした。周りには、「あ、袖ヶ浦高校へ行くのかな…?」という方がたくさん。
坂の上から見る袖ヶ浦高校です。どんな課題発表会になるのか楽しみにしつつ、向かいます。
開会式・校長挨拶
会場に向かうと永野先生が笑顔で迎えてくれました。永野先生の司会から、日髙校長先生のお話で課題研究発表会が始まりました。
校長先生がたまたま廊下で会ったときに「これからプレゼン」と言ったら、「見たい」とついてきたそうで、会場の後ろで3年生が立っていました(笑)こうした雰囲気、いいなと思います。情報発信を大事にしている、袖ヶ浦高校っぽいな、と覆います。
以下、日髙校長先生の挨拶のメモを公開します。最初に、学校経営の視点と、ICTを使う目的がどのような関係にあるのかの説明をしていただきました。
- 3年生の集大成、課題研究発表会。
- ポスターセッションなので、iPadを常に使うわけではないが、学習活動の様子は見ていただけると思います。
- 学校経営のピラミッドがある。
- いちばん上に、「どんな学校を作りたいか」=生徒が光り輝いている学校
- 次に、「具体的にどういうことか?」=達成感、成就感、自己有用感、自己肯定感に満ちた毎日を送っている
- いちばん土台に、「そのために必要なもの」=学力の向上、特色ある取り組み、キャリア教育の充実
- 最も土台の3つ「学力の向上」「特色ある取り組み」「キャリア教育の充実」に働きかけるために、ICTを有効活用した教育の推進に努める。
- ICTは教育効果を増幅させるもの。
袖ヶ浦高校生の活躍を報じる、千葉日報の記事を紹介してもらいました。反射材入りの糸で製作した交通安全ドレス披露の記事でした。こうした活動によって、生徒たちは、「自分たちの活動が社会の役に立っている」「社会に認められている」と感じられます。自己有用感を得られます。こうして、生徒たちは、外に、地域に出ていきます。
こうした自己有用感について、ICT、タブレット端末の活用友、コンセプトで考えると同じことが言えるそうです。
- 授業のなかで、生徒たちが光り輝いているタイミングを作るために、ICTを使っている。
- StudyingからLearningへ。それは、Creative Learningへ進んでいる。
- 有形でも無形でも、「作り上げたな」「みんなと一緒にやったな」という感覚がある。
- 夢中になって情熱を燃やした感覚がある。
- そこに遊び、楽しさがある。
- Creative Learning:→これこそ、袖ヶ浦高校のICTに通じているものだと思う。
- Projects=具体的に物をつくること
- Peers=仲間と一緒にやる
- Passion=情熱が沸くことをやる
- Play=遊び・楽しさ・喜び
Creative Learningは、TED ジョン・ハンター氏のプレゼンテーションに対する伊藤穰一(Joi)氏の解説からの引用だそうです。
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/141119.htmlwww.nhk.or.jp
元のジョン・ハンター氏のプレゼンテーションは以下のものです。
www.ted.com
ICTがどのように学びを変えていくのか、について説明をしていただきました。ICTが学びを増幅、拡張していくのだ、というのを日高校長はおっしゃいました。そして、その基盤にはまずチョーク&トークの授業が土台としてあるのだな、と。このあたり、非常に共感する部分です。
- チョーク&トークの授業の中では、埋もれてしまいそうな活動をクラウドの中に入れている。
- 表現する、認識する、つくる、調べる、評価する、比較する、共有する、記録するなど、さまざまな学びの要素を、ICTが増幅・拡張している。
- なかでも、認識する、評価する、比較する…などは、現状の授業の中で実感できることは少ない。「授業の中で、そうした感覚をもったことがありますか?」と訊かれても、あまり思い当たらないでしょう?
- これらができれば、チョーク&トークの授業でも、非常にアクティブになる。
- 生徒をアクティブにする
- 共有、比較、評価、認識の営みのなかで、「彼と僕は違うんだ」ということを認識できる。
- 議論を重ね、協働で、ある結論を導き出す
- そのプロセスで自己を変容させることの経験。
- こうした学びができるようになれば、駅員さんに「どこまでの切符を買えばいいですか?」と訊く子は少なくなるだろう(=どんな人生を送りたいのか決まっていないのに、どんな勉強をすればいいですか?と訊く子の比喩ですよね?)。
共有、比較、評価、認識については、たしかに授業の中で活動に持ち込むのが難しいものだと思います。そこをICTが補完するというのは、非常に理にかなった使い方だと思いますし、校長先生が、「共有、比較、評価、認識について、ICTで増幅・拡張して、さらに授業の質を上げるぞ!」と言い続けることは、チーム学校として非常に大切なことなのではないかな、とプレゼンを聴きながら思いました。
日高校長は、タブレットを、活用の場、活用の形態、活用する機能の3軸で区切っての説明をしました。
- チョーク&トークは必要なもの。あれで学べるものもある。
- 情コミの職員、普通教科の職員は、それを意識せずに、「何を学ばせるか」「どのように学ばせるか」という目的を忘れずに進めている。そこが袖ヶ浦高校のいいところ。
- 1時間の授業の反転授業をすると、見ていない生徒も多い。しかし、5分くらいの要点動画にすれば、9割の生徒が見てくる(なかには、授業の5分前に見ている生徒もいる)。
- さまざまな活動が行われている。
- KITTEでプレゼンテーション
- PingPongで協働で意見を出しているところ。
- 古典の授業で、弓争いを自分たちなりに映像化する。絵コンテを作って…ということが含まれる。古典の学びがしっかりできていないと、絵コンテが作れない。
- 教員の授業デザインとしては…
- 視聴覚機器的な使い方
- 思考を論理的に組み立て表現するツール
- Generic skillの涵養を大事にして進めている。
- コミュニケーションスキル
- 数量的スキル
- 情報リテラシー
- 論理的思考力
- 課題解決能力
最後に、日髙校長は、「3年間で身につけたgeneric skillの集大成を見てください」としめくくりました。
3年生によるポスターセッションPR
最後に、3年生たちの各グループが、自分たちのポスターセッションのPRプレゼンをしてくれました。
- 案内ロボとWebページを使用した施設案内の形
- 実際にロボットを展示
- 画像類似検索で新しい友達作りの提案
- SNSで名前や顔を知らない人とも知り合う。まずは学校内で知り合う仕組みを。
- 遊び心満載!ICTを使った高校生向け募金箱
- 遊び心満載な募金箱。思わず足を止める。
- Evernoteを用いた野球部強化プロジェクト
- どのように野球部を強化したか。
- 久留里線活性化のためのICTを駆使した現代の広報
- 広報について。Twitter、Preziなどさまざまなコンテンツを用意。
- ゲームニクス理論を活用した情報モラルの改善
- タッチパネル機能を使ったゲーム。現在の教材ではできない体験。
- Swayで魅せる!袖高生のリアルストーリー
どれを見ようか悩みます…。続きは#2でレポートします。
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(為田)