6時間目の高校1年の物理の授業を見学しました。この授業は物理教室で実施されていまました。教室の前にスクリーンがあり、そこに投影しながら説明を行なっていきます。授業を担当される清水先生は、手元のマウス機能つきのレーザーポインタを使ってPCを操作し、ポインタで指し示しながら説明をしていきます。
ICTで視線をコントロールする
物理の問題はどうしても内容が細かいので、教室の後ろからだと少し見難くなってしまいますね。PPTだと拡大表示ができないので、いっそPDFにして拡大表示したり、ロイロノートのようにピンチアウトして拡大表示できるアプリを使うといいかもしれないと思います。プリント全体を最初に表示しておいて、説明に入るときに拡大表示にして、見てほしい箇所をスクリーンの中央に持ってくる、という動作をすればいいと思います。こうすることで、「プリントのどこに書いてあることを見ればいいのか」を指し示す効果があるからです。ICTを使って教材を提示するときにいいなと思うのは、視線をある程度コントロール出来ることだと思います。こうした操作ができるアプリを使うと、今回のような大きな教室にスクリーン1つという環境では、説明しやすいのではないかと思いました。
教材をどんどん拡充する
清水先生は、前回の授業で、よく書けていた生徒のノートを写真にとり込み、説明に使っていた。これ、とてもいいと思います。よくできている人のノートを見せるのってとても大事。タグ付けして、どういうポイントで良かったのかとか、どの単元だったのかとかで検索できるようにすると、年を重ねるにつれて使える教材が増えていくかも。
モーターシミュレーションのサイトを使って、アニメーションを見せて解説もしていました。
また、前回やった実験の様子を、動画で見せることもしていました。先生がiPhoneで撮影した動画だそうです。こうして手軽に動画が作れるようになってきますね。
アクティブラーニングへの挑戦
生徒3~4人でグループを作って、ホワイトボードをグループごとに配布し、ディスカッション結果を共有することをしていました。ホワイトボードだと文字で書くことになるので、思考のスピードと出力のスピードの差が大きくないので、非常にいいと思いましたが、この教室だと、全グループのものが見られないのが残念です。先生からは全グループが見えると思いますが、おそらく清水先生が目指しているのは、グループ同士で書いていることが見える、という状況なのではないかな、と思います。
こうした部分も、ICTでアプリを使うことで解決できる教室の問題ですね。いまやっている以上に、お互いのグループの意見を見やすくなるし、書いている途中で、他のグループが書いていることを参考にもできるようになります。また、お互いにコメントを付け合うこともできます。こうした、ピア・ラーニングができるようにICTを導入する、というのはおもしろいかもしれないと思いました。
ICTがなくてもできることは多く、先生方の工夫でどんどんチャレンジしている現状だと思いますが、ICT導入を検討するのであれば、今回授業を見せていただいた、中須賀先生や清水先生のように「こんなふうな授業をしたい」「もうちょっとこういうのができたらいい」というのを、どんどん学校内で共有していけばいいと思います。その結果として、どのようなICT導入をすべきなのか、というディスカッションにつながっていくと思いました。
後日談
後日、この原稿の確認を清水先生とやりとりしているときに、清水先生から、その後さっそく授業を変えてみているんです、というメールをもらいました。
- ホワイトボードについては、後ろにマグネットがついていたので、書いたものを黒板に貼るようにしました。
- 確かに、後ろから見てみると、スクリーンもそうですが、教員の表情や声も届きにくいなと感じました。レーザーポインタを持っているので、うろうろしながら話すことにしました。
- また、PDFのアドバイスもいただいたので、プロジェクターを無線が飛ぶものに変えて、AppleTVを使う方向に切り替えようと思います。
この、早速変えてみる、というスタンスが素晴らしいな、と思います。こうした実践をしていくことで、それをサポートするICTを入れるということもできます。また授業を見学させていただきに行こうと思います。
(為田)