3月12日に多摩市立愛和小学校のi和design Final Presentationに参加してきました。午前中に公開されていた授業と、午後に行なわれた研究発表会の様子をレポートしたいと思います。
教育放談 パネルディスカッション
寺嶋先生の指導講評の後、教育放談と題したパネルディスカッションに登壇させていただきました。登壇したのは、神谷加代さん、野本竜哉さん、為田の3人でした。神谷さんも野本さんも、たくさんの学校を訪問し、授業の様子や授業を後ろで支えるアプリやシステムなどについてWebを中心にレポートしています。
45分間のパネルディスカッションで、松田校長から、「可能であれば…」として、以下のようなリクエストをもらっていました。
- 野本さんには、全国の特徴ある取り組みなどとの比較から野本さんのICT教育推進における持論
- 為田さんには、本校教員の変化。i和designの教員などセミナーに関わってきて感じたことや全国の取り組みを推進している方々の紹介や為田さんの持論
- 神谷さんには、プログラミング教育をめぐる動向と持論
松田先生からのリクエストを見ながら、神谷さんと野本さんとで大枠として考えたトピックは以下のようなものでした。
- 自己紹介
- いろんな学校を見ています。そうした事例も含めて、愛和小学校のご紹介
- 愛和のICT教育推進の特徴
- マルチOS環境、「コンテンツを愛和小学校がたくさん使ってます」の話。(野本さん)
- プログラミング以外のツールについて
- プログラミング(神谷さん)
- プログラミングを教科課程にしているのがすごい
- 対立軸の設定
- トップダウンであること、現場の先生が関わっていること
- 課題:どう評価するの?
- 課題:誰でも教えられるようになるの?
- 課題:先生の授業力でもっとプログラミングの授業は良くなる?
- 先生がチームとなるためには?
- 愛和の先生たち、すごい。
- ICT教育が進むべき方向
- 横方向への展開の話
- 愛和だからできるのか?他でもできるのか?
- 企業の協力の話
- 企業はうまく利用しよう、でも使うだけではだめ。
- ROI
神谷さんと野本さんと、みんなそれぞれに強みとしている部分が少しずつ違っているので、いろいろな方面から愛和小学校を語ることができたのではないかと思いました。
参加者の皆さんがどんな方々なのかを伺うために、会場の皆さんに挙手をしてもらったのですが、小学校・中学校・高校の先生で半分弱くらい、あとは大学の研究者の方々、企業の方々もいらっしゃっていました。先生方が多いということがわかったので、できるだけ自分の学校と比較して考えられたり、自分の学校にノウハウを持ち帰ったりできるように、という視点で話を進めていきました。
神谷さんからは、「プログラミング教育が2019年小学校で必修化か?」という話をしてもらいました。
野本さんからは、マルチOS環境、「総務省クラウド(先導的教育システム)に接続し、マルチデバイスを活かしたコンテンツをたくさん使っている」という話をしてもらいました。これがあるのでマルチデバイス環境が成立しているのが愛和小のキモだと思います、と野本さん。パッと見ていると「タブレットPC」で同じように見えたりもしますが、iPad(iOS)があり、Chromebookがあり、Windowsタブレットがあり、と複数のOS(マルチOS)を組み合わせて使っていたんですよ、という話をしてもらいました。
最終的に話題になったのは、「では、これが愛和小学校以外ではできないことなのか?」ということだと思います。横に広げていくために、どんなことを考えていけばいいのか、どんな実践事例があるのか、愛和小学校での事例で真似られるところはないか、企業をどのように巻き込んでいくか、というようなことを話せたかな、と思っています。
パネルディスカッションの様子を記録していなかったので、後日Facebookで「どんなことが心に残りましたか?」と訊いてみたら、以下のようなコメントをいただきました(ご協力をいただいた皆さん、ありがとうございます!)。
- 「教師の教え方としてICTを使わないという判断をするのはありだが、子どもの学び方として、それを使うことを教師がNGとすることはできない。 」という言葉が非常に印象的というか、なんかハッとさせられました。
- 学校教育現場で(子どもたちに対して)「1年間だけ」とか「その子たちだけ」とかに対する実験はダメ。ICT教育バブルじゃなくて、持続可能なスキームが大事。
- そろそろ「PC(タブレット)使って楽しそう」という次元から脱したい。授業がどう良くなるのか? 子どもたちの学びがどう深まるのか? そういう本質的なところを目指したい。
- 今は教育の大きな変革期にあるのに、公立学校の変化がゆっくりすぎるのではないか。
後日、松田先生からは、以下のようなコメントをもらいました。
学校現場を外から好意をもって見てくださる皆さんの発言は、その一つ一つに説得力があり、私自身大変な刺激を受けました。他の方々も同様な思いを抱いていたと思います。皆さんはじめ多くの方々のご支援で新たなスタートにたつことができました。
「学校現場を外から好意をもって見る」というのは大事だな、と思いました。こうした視点で、愛和小学校での実践を横に広げていけるように、これからも活動していきたいな、と思いました。
No.7に続きます。
blog.ict-in-education.jp
(為田)