ジョン・ハンター『小学4年生の世界平和』を読みました。著者のジョン・ハンター先生は、公立学校の授業でWorld Peace Gameというゲームを実施しています。
4層のアクリルボードを使って、世界を表し、そこに4つの国と国連などアクターを設定し、首相や財務大臣など役割を子どもたちに割り振り、50を超える危機リストを解決させる、という授業だそうです。
学校の授業において、児童生徒を没頭させるにはさまざまな手法があると思うのですが、こうしてゲームを使って疑似体験をさせる、というのも非常におもしろいと思っています。
本の中で、何人かの子どもたちが、どんなふうに授業中にふるまったか、教室の中での性格はゲームの中にもちろん持ち込まれるけれど、ゲームの中で擬似的に失敗をすることで、日常生活の方にフィードバックがかかる、というような事例が詳しく紹介されています。
ジョン・ハンター先生の目の届く範囲で、擬似的に失敗をすることができる、というのは教育的に安全な手法で、いきなりリアルな社会で失敗するかもしれないリスクを考えれば、クラスメイトと協力しながら「世界を救う」という目標に向けてがんばって失敗するリスクを一度体験させておくことは有効だな、と思いました。
僕は先に本を読みましたが、TEDでジョン・ハンター先生のプレゼンテーションを見ることができます。
www.ted.com
さまざまなサイトなどでも紹介をされていました。
ddnavi.com
「どんな授業なのか見てみたい」とFacebookに書いたら、「日本でも実施している人がいますよ」と教えていただきました。2016年3月に、日本でもこのWorld Peace Gameを実施しているそうです。残念、見たかった!
readyfor.jp
また、「World Peace and other 4th-Grade Achievements」というタイトルで映画にもなっているそうです。
デジタルにしたら、アクリルボードがなくて学校でも実施しやすいだろうか…などとも考えたのですが、おそらくこうして映像などを見ていると、物理的にこうして目に見える形で、みんなで世界を見ながら考えたり、交渉したりするのが大事なのかな、と思いました。誰かのミスで起きた油田大火災をVRでリアルに見られるようになったからといって、学習効果が高まるかといえば、そうした話ではないように思いました。
こうした事例を見ると、先生“だからこそ”できる授業って、まだまだたくさんあって、ICTを活用することで業務を効率化して、できた時間でこうした先生にしかできない授業ができるようになると、「まだまだ学校って捨てたもんじゃない」と思ってもらえるのではないかな、と思うわけです。
すぐに実現、というのは難しいと思いますが、こうした実践があるということを知っておくことはすごく意味があるな、と思って紹介します。
(為田)