東北学院大学の稲垣忠准教授にご紹介いただいて、2016年7月31日に開催された日本教育工学会SIG-04 教育の情報化の第5回ワークショップ「アクティブ・ラーニングと学習環境デザイン ~主体的・協働的な学びを誘発する空間とICT」に参加してきました。
トークセッション「アクティブ・ラーニングを支える学習環境とは?」
3つめのプログラムは、トークセッション「アクティブ・ラーニングを支える学習環境とは?」でした。プログラムによると、「Get Activeの感想と関連する話題提供を,アカデミック,教育現場,企業それぞれの立場から語っていただきます。登壇者は小柳和喜雄氏(奈良教育大学),佐藤喜信氏(内田洋行),米田謙三氏(羽衣学園),司会進行は藤川大祐氏(千葉大学)です。 」とのことでした。さまざまな視点からの意見を聴くことができました。
以下、トークセッション中にメモをした内容を公開したいと思います。あくまでも自分用のメモだったので、断片的な部分もありますが、ご参考になればと思います。
トークセッションの最初は、小柳先生によるプレゼンテーションでした。
小柳先生
- 子ども中心の授業をするときに、どんなふうに空間をデザインしていく必要があるのか。
- 学校でのICT機器の活用に関する2つの動き
- 学力向上と今後育成すべき資質・能力、の2つの動きがある。
- Get Activeでは、教科を超えて、ある力をつけていく。クリエイティブ、コラボラティブ、コミュニカティブ、そういった力を培っていく、そのために環境をデザインすることが提案されていた。
- 積み上げていく発想ではなく、上の方から、そういう視点を持つ学習活動をイメージして、これまで培ってきたスキルを想起していくように考えようとしている?
- 積み上げでなく、掘り下げ?
- 下の図のように、今までなかったF(図中の右上の領域)を作り、そこから習得へ行ったり、探究へ行ったり、もできる。
- 浅い学びと深い学び
- Get Activeは、授業方法だけでなく、学習空間そのものを見てみる必要があり、それが教室だけでなく、学校全体、地域にまで拡げる必要がある、というもの。
- Get Activeは、いろんな人と力を合わせて…というほうを考えている。
- 学校全体が変わらないと、学校全体がかわらない。
- Get Activeが語りかけるもの
深い学びと浅い学びなど、図や表などでわかりやすく説明をしていただき、勉強になりました。午前中から続く「Get Active」の読み込みでも、「学びをどうデザインするか」というのはメインテーマであり、どんな学びを目指せばいいのかということをしっかりこうして持って授業を設計することは大切だと改めて認識しました。
続いて、内田洋行の佐藤さんによるプレゼンテーションです。
佐藤さん@内田洋行 「日本の学習施設・学習環境事情」
- アクティブ・ラーニングに適合した学習空間
- アクティブ・ラーニングスタジオ(学校内で使う)
- ラーニングコモンズ
- コミュニケーションスペース
- ほとんどの大学がこうした施設を用意している。
- 小樽商科大学のスタジオ
- もともとあった施設をリノベして貸し出している。
- 学生の画面を共有して話し合う、ということもできる。
- ラーニングコモンズ(同志社大学の今出川キャンパス)
- 講義棟にラーニングコモンズを作っている。
- また、施設だけでなくサポーターを厚く配備。
あまり仕事で大学に行くことがないので、こうして大学のラーニングコモンズを紹介していただけるのは非常に参考になりました。中高一貫校などではこうした設備も増えてきているように思います。実際にどんなふうに授業や放課後活動に使っているのか、一度密着してみたいなと思いました。ずーっとラーニングコモンズに張り付いて、学生さんにインタビューしてみたいですね。
次に、大阪・羽衣学園中学校・高等学校の米田先生のプレゼンテーションでした。
米田先生@大阪・羽衣学園中学校・高等学校
ブログでの情報発信量に驚きました。「コンフリクトも大事。コンストラクティブ・アグリーメントができるように」というのは、ときに衝突しても、そこから建設的な合意に導けるような議論の仕方を身につけようということであり、とても大切なことだと思いました。
最後に、質疑応答がありました。
- 社会とつながっていく、そのなかでの負の側面もあるなかで、カリキュラムマネジメントの視点を組ませないとだめなのでは?
- 最後に一言
最後にコーディネーターをつとめた藤川先生のまとめは、「古きよき学校がいいというノスタルジー。これとGet Activeは真っ向から対立するのではないか?」ということでした。「学校で新たな教育を展開する時に、こうしたノスタルジーが壁になるかもしれない。それを乗り越える作戦を議論する必要があるのではないか。」という言葉でクロストークセッションは結ばれました。
まったくそのとおりだと思います。学校がいつまでも「古きよき」という場であってはいけないと思います。これから未来に向けて学ぶ子どもたちのための場なのですから、最先端でなくとも、少なくとも「変わることに後ろ向き」であってはいけないと思います。そうした気持ちを新たにしたクロストークセッションでした。
No.4に続きます。
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(為田)