11月1日に、ポプラ社より、知育ドリル ぜんぶできちゃうシリーズ「なんじかな?とけい」が発売されました。弊社では、このドリルの教育監修で開発に関わらせていただいています。
この連載では、このドリルの教育監修およびデザイン視点での開発秘話をご紹介させていただきます。
ドリル=お勉強というイメージを払拭したい
よくある時計のドリルといえば、時計のイラストがあって、それが何時かを書き込む問題が複数ページに渡ってあるものがほとんどです。時計を正しく読めるかどうか、時刻に合った針の位置が書けるかどうかを学習目標としたものが多いと思います。こういったドリルを観て感じたのが、「お勉強っぽくて楽しくない」「時計のイラストと時刻を書く欄が永遠と続いていて、まるで修行のよう…」と感じました。時計のイラストの見た目を華やかにしたり、キャラクターを用いたりして、見た目から楽しそうな雰囲気を出そうとしているものもありますが、実際にお子様が取り組む内容自体は変わりません。
ドリルは、親御さんと一緒にやる場面もあるかと思いますが、家庭によっては、お子様1人だけで取り組むこともあるでしょう。そういったときに、特に時計に対してあまり興味を持っていないお子様にとっては、単調なコンテンツは飽きてしまい長く続きません。特に、ポプラ社の、知育ドリル ぜんぶできちゃうシリーズは、学習をはじめたばかりのお子様に向けたドリルなので、「楽しい」「おもしろい」「もっとやりたい」と思ってもらうことが重要となります。そこで、既存である時計のドリルとは違うものを作りたい!と思いました。
そもそも時計の役割って何なの!?
既存の時計ドリルのほとんどが、時計を正しく読むことを学習目標としている中で、「そもそも時計を正しく読むことを目標にしているのがおかしいのではないか?」と考えました。普段、時計を見るときは、今の時間を確認したり、予定の時間までを確認したり、約束をするときに時間を確認したりします。時計を正しく読むことは「何か」をするために必要な手段であって、その「何か」を意識させることが大事だと考えました。
そもそも時計ってどんなものなのかを考えさせる、家の中にはどんな時計があるのか考えさせる、生活の中でどんなときに使うものなのかを考えさせるようなドリル。「〇時だ!アニメがやる時間だ!」「〇時だから、そろそろおやつの時間かな?」といった感じで生活の中の出来事・やるべきことと、時計を結びつけて考えることができたらと思いました。時計の時刻が読めるだけでなく、こういった考え方ができるようになれば、自分で時間管理ができるようになったり、計画を立てたりする力にも影響してくるのではないかと思います。
絵本を読むような感覚で時計について学ぶ
今回の「なんじかな?とけい」では、上記の通り「生活の中での時計の役割を学ぶ」ことを学習目標にしようと思い、どうやって表現しようかと悩み、本屋でさまざまなドリルを参考に観て回りました。なかなか、いいアイデアが出てこなく、ドリルではなく絵本もいくつか観ていったときに、タイトルは忘れてしまいましたが…ある絵本の構成が時計の役割を教えるのに使えると思いました。その絵本は、一日の空と町の様子のイラストが描かれただけの文字のない絵本でした。1時間ごとに変わっている空と町の様子が細かく描かれていて、時間の経過と変化が感じられるものでした。
そこで、一日の生活の流れを絵本のように大きくイラストで見れるようにし、その中で時計が示す時刻が何時か読むような形にしようと考えました。他にも、迷路、時計とそうでない物を見分けるクイズ、時計の数字や針を書き込むものなど、時計に関する問題をさまざまな形で掲載しました。ドリルで勉強というよりも、ドリルで遊びながら学ぶという感覚を大事にしました。
(前田)