2018年9月19日に、山形市教育研究会 メディア教育部会の研修講師にお招きいただきました。「初心者でも使える教育ICT!!」というテーマでしたので、教育ICTリサーチブログの「授業で使えるかも?」「教材で使えるかも?」シリーズで取り上げたものをダイジェストで紹介しました。また、山形市内の小学校の環境でもなるべくできるように、アプリのインストールが必要なく、ブラウザ上でできるものを選んで紹介しました。
研修の後半では、表現手段としてICTを活用するようになることで、どのように授業を変えていくことができるのか、ということを中心テーマに進めていきました。
ednity
生徒が一人1台のICT機器を持っているという授業事例として、奈良女子大学附属中等教育学校の二田貴広先生の国語の授業の実践を紹介しました。教育用SNSであるednityを使って、先生の発問にSNS上で答えていく授業について考えました。
僕から参加者に「こうして先生からの発問にSNS上で答えてもらうことは、プリントに書いてもらうのと何が違うのか?」と質問しました。SNSはただの道具であり、それを使うことによって学びがどう変わるのか、授業がどう変わるのか、ということを考えてほしいと思いました。
「全員が書いたことを見ることができる」という答えが参加者から返ってきました。まさしくそのとおりで、全員の書いた文章が見られるというのは、ednityを使う大きな利点だと思います。これを「公開カンニングではないか?」という声も聞くことがありますが、それでもまったく何を書いていいのかわからずに時間が過ぎていくだけになってしまうよりは、クラスメイトが書いた文章を読むことで、何かのきっかけになることのほうがメリットがずっと大きいのではないかと僕は思っています。
また、児童生徒がednity上に書いた文章に、先生が個別にコメントを入れたり、児童同士でコメントを入れられることも伝えました。
Googleドキュメント
SNSでの意見の練り上げに続いて、1つの文書をみんなで書いていくという体験をしてもらうために、Googleドキュメントを「URLを知っている人が編集可能」な状態にして、SKYMENUで全PCに配信し、全員で文章を書いてみました。
書いた文章に対してコメントをつけられることも伝えると、先生方がどんどんコメントをつけてくれます。こうして実際に触ってみることで、ICTを授業の中にどう使うかということを考えるきっかけになればいいと思います。
ちょっと見ないうちに、芋煮の写真が挿入されていたり、基本的なICTスキルを持っていれば簡単に使えるということがわかっていただけたのではないかと思います。
今回は小学校の先生方が対象だったので、ローマ字を習っていない学年もありますし、キーボード入力はまだ大変、ということもあるかと思います。ですが、「タイピングができないから、こうしたタイプの授業をしない」と考えるのではなく、逆に「こうしたタイプの授業をしたいから、タイピングを練習する機会を作る」というふうに考えてほしい、と言いました。
音声入力
Googleドキュメントで文章を書いたついでに、音声入力についても挑戦してもらいました。[ツール]→[音声入力]を選んで、マイクボタンを押して話せば、それがどんどん文字入力されていく様子をデモンストレーションしました。
音声入力は、言葉としては知っているけれど、自分で試してみたことはない、という人がほとんどだったので、実際にやってみて精度の高さに驚いている先生が多かったです。
また、「これで、字を書くのが嫌いな子が、作文に取り組めるのではないか」ということをおっしゃっている先生もいました。文字を書くことと文章を作ること(表現をすること)を切り離せる可能性は大いにあるのではないかと思います。
そのときに、表現方法は変わっていくのか、子どもたちの文章の書き方は変わるのか、そうしたことを先生方は問題意識として持たれたようでした。
No.3に続きます。
(為田)