ナンシー・アトウェル『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読んでいます。じっくりひとり読書会ということで、ハッシュタグ「#イン・ザ・ミドル中」を使ってTwitterでメモを書いています。こちらをブログには章ごとにまとめていこうと思います。
今回は、第3章「ワークショップ開始」です。第2章「ワークショップの準備」で書かれていた準備を経て、どのようにワークショップをスタートするのかが書かれています。
「読むことアンケート」と「書くことアンケート」
生徒たちが、読み手として、書き手として、どのような状態にいるのかを知るためのアンケートを実施しているそうです。「読む」ことと「書く」ことについて、それまでの学校体験から「そんなにきらいじゃないのに、きらいと思いこんでいる」=「それまで、いい体験をしてこなかった」という生徒もいそうだし、教室でやってみたらおもしろそうだと思いました。
『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』、第3章「ワークショップ開始」に入りました。ワークショップでの年度最初の宿題は、「読むことアンケート」と「書くことアンケート」に答えること。質問項目は、読み手・書き手としての生徒を知るために作られている。(p.121) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
書くことアンケートからわかること。「生徒は自分自身を書き手として見ているのか否か?」…「綴りの正しさや字のきれいさ以上のことも自己評価できるか否か?」「書くこと全般についての意識は、肯定的、否定的、それともどちらでもない?」(p.125)→こういう項目おもしろい。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
読むことアンケートからは、「自宅に本があるか?」、どれくらい1年で本を読んだか?ジャンルの幅、読書習慣、「読み手としてどんなサポートを得たいと思っているのか」「読むこと全般についての意識」(p.126)→一人ひとりの傾向がわかったうえでのワークショップなのだな。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
「生徒のアンケートの回答と私がメモしたその概要が、これから1年間の生徒の書き手、読み手としての自己評価、私の評価、私が教える計画の土台となります。」(p.126)→一人ひとりのこうした傾向を理解したうえでないと、ワークショップの中でのカンファランスなどできない。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
「まず気になるのは、自宅に本がない、あるいは自宅で読まない生徒、お気に入りの本がない生徒、読むことは退屈だと考える生徒、自分を書き手だとは思えない生徒、書くプロセスについて最低限の知識しかない生徒、書き手としての自分の強みを挙げられない生徒」(p.126) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
学年の終わりにもう一度、書くことと読むことのアンケートをとり、結果を比較して年間の自己評価を生徒たちに書いてもらうそうです。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
読むことについて興味を持ってもらうために、アトウェルの教室は読み手のコミュニティとして機能していくようになると思います。コミュニティが一度できれば、ICTを使ってこれを強めることができるように思います。どんなことができるかな…と考えてみます。
SNSを使って、プロフィールに書いたり、読んだ本を共有したり、Amazonのレコメンドと連動させたりできるけど、あんまり効果ないか。読みたい本を、Googleスプレッドシートで社内共有している企業もあるけど、それより前段階だろうな。企業だと「読むインセンティブ」があるから。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月22日
ただ、「読み手の共同体を作る」ということになると、ICTではなかなか難しいとも思います。「もともとある読者共同体を助ける」ということと、読者共同体を作る」のとは大きく違います。学びのスタート地点を作るのは、いつだって難しいものです。ここは先生が作る授業に大きく依存するかと思います。学校/教室だからこそ、できることなのかな、と思います。
ライティング・ワークショップをスタートする
ワークショップの最初の日、100ページのワークショップ・ノートを作るところからスタートします。
100ページのワークショップ・ノートには、書くアイディアを集めたり、読みたい本のリストを作ったり、ミニ・レッスンで教わったことを書きとめたり、渡されたプリントを貼ったり、文学用語リストを作ったりする。最初の3ページは目次のページ。(p.127)→デジタルで代替可能か? #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
僕はいまOneNoteにすべての情報をまとめている。キーボードで議事録を書き、文章の下書きもする。プリントは撮影して取り込み、iPad+Apple Pencilで手書きメモも残す。クラウドで繋げて、あとで推敲や編集もする。一人1台、1アカウントが実現すれば可能?それとも、紙とは違う? #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
ワークショップ・ノートの最初のページは題材リスト。「この題材リストは、新しい作品に取り組むまえに、戻ってくる場所。書くためのアイディアをためておく銀行のようなものです。これを見ていると、書き手としてやってみたいことも思い出します。」(p.128) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
この題材リストは非常におもしろいと思いました。
まさに、このブログのネタ帳が、アトウェルのワークショップ・ノートの題材リストと同じだな、と思った。思いついたこと、いつか書きたいこと、全部を書いている。書き出しだけのメモも、結論だけのメモもある。「戻ってくる場所」「アイディアをためておく銀行」、わかる。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
アトウェルは、最初の授業で自分の題材リストを生徒たちに見せ、説明する。その後で、「次はあなたたちの番。10分間で、題材の候補をできるだけ書いて見ましょう。(略)たくさん書くことをめざして、これはよくない、と自分で選別しないでおきましょう。」(p.129)と言う。 #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
題材リストが掲載されています(p.130-131)→英語では、題材リスト=「writing territories」。英語で検索をかけてみると、たくさんのサイトや画像が出てきておもしろい。 普通のワープロもあるけど、色とりどりのイラストやホワイトボードなどもあって、おもしろい。 #イン・ザ・ミドル中 pic.twitter.com/i5gi9SXsc0
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
こんなふうに書くのが楽しくなるような題材リストだったらいいな、と思います。なかなかこうした題材リストを使って作文をしている授業はないように思います。
ライティング・ワークショップは3日目からサイクルを回す。「それは、「今日の詩」、ミニ・レッスン、それぞれの今日の予定の確認、書く時間、そしてその時間中に行われる私との個別カンファランス。」(p.134) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
リーディング・ワークショップをスタートする
アトウェルの教室での「読むことを通して、読むことを学ぶ」というのは徹底していると思います。たくさんの文章に触れるなかで、用法から語彙を学び、用法から文法を学び、読解力が上がっていくと思っているので、最近、「読むことを学ぶ」ということに非常に興味をもっています。
リーディング・ワークショップ開始:「子どもたちは読むことを通して、読むことを学ぶ。読むことを学べるようにするには」→「読むことに取り組みやすくする」(フランク・スミス)+「読むことに招き入れる」(ナンシー・アトウェル)ということ。(p.142) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
「最初の数日の最大の目標は、すべての生徒が、純粋に自分が楽しめる本をみつけ、その話に浸れるようにするのを助けること。必要なのは多くのよい本、引きこまれるようなブックトーク、本を探す時間と読む時間です。」(p.142) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
「読むことの研究成果も生徒たちと共有します。読むことが読み手をつくりだすこと、頻繁で継続的な多くの読む経験、それだけが優れた読む力につながることを、伝えていきます。昨年の生徒たちが読んだ平均の冊数を伝え、今年も同じことを期待しているといいます。」(p.142-143) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
ただ読んだ冊数の競争にならず、ただ読んだページ数の競争にならないように、「読むことに招き入れる」というところは、学校教育で可能なのだろうか。
日本にも、見た目は同じようなことをしている学校はあるように思う。問題は、「ただ読めばいい」ということではないということだろうな。朝読書をしている学校は、ブックトーク的なものはセットでやっていないのかな、と疑問に思った。(なかなか朝読書とかは見学しないからな…) #イン・ザ・ミドル中
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2018年9月24日
まとめ
いよいよワークショップの開始時についての記述に入ってきました。第2章で詳細に書かれていた準備を、実際の教室でどのように伝えるのか、ということがわかる章でした。
次は第4章「書き手を育てるミニ・レッスン」です。
blog.ict-in-education.jp
(為田)