井庭崇『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』をじっくり読んで、Twitterのハッシュタグ「 #クリエイティブ・ラーニング 」を使って、ひとり読書会を実施したのをまとめておこうと思います。
まずはプロローグから、気になった部分をレビューしていきたいと思います。まず、井庭先生が、これからの社会をどのように捉えているのか、というところが書かれています。
井庭先生はここ100年の変化を、3つのCで捉えている。Consumption(消費)→Communication(コミュニケーション)→Creation(創造)であり、それぞれ「消費社会」「情報社会」「創造社会」を作ってきたと言える。(p.6-7) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
「いま始まりつつあり、これから本格化していくと思われるのが、「創造社会」と呼んでいる時代である。(略)「創造」「つくる」ということが人々の関心や生活における中心的な関心となる時代である。」(p.8) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
「創造社会においては、人々は、自分(たち)がつくりたいと思うものを自分(たち)でつくることができるようになり、どれだけ自分がつくりたいものをつくれているかが、生活・人生における「豊かさ」を象徴することになるだろう。」(p.8) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
井庭先生は、「消費やコミュニケーションは、「つくる」という文脈に取り込まれて価値を発揮するようになるのである」(p.8)とも書いていて、この文脈でプログラミング教育を考えると、いま行われようとしているプログラミング教育の見え方はずいぶん違ってくるように思います。自分で何かをつくっていうのに、プログラミングはすごい力になる。プログラミングでコードを書けないにしても、さまざまな知的生産活動において、デジタル/ICTを活用できることは、「つくる」という活動のための大きな武器になります。
「創造社会において「つくる」とは、「ものづくり」のことだけではない。それは、仕組みづくりやコミュニティづくりも含まれている。例えば、自分らしい働き方・生き方をつくるということ、(略)非物質的なものをつくることも」(p.10)ますます行われるようになる。 #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
「情報社会において、対人関係、生活、仕事、ビジネス、行政、経営、教育など、あらゆることが「情報化」されてきたように、社会の「創造化」も、ありとあらゆる分野・領域に及ぶことになる。」(p.11) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
では、こうした新しい社会がやってくるなか、教育はどんな形であるべきなのか、と話が進んでいきます。ここで、本のタイトルにもなっている「クリエイティブ・ラーニング」という言葉が登場してきます。
「「クリエイティブ・ラーニング」は、つくるなかで学びを深める学び方である。(略)何かを「つくる」という創造的な活動のなかでの学びである面が強調される。(略)自分が「つくったもの」から学ぶとともに、「つくる活動」そのものからも学ぶ」(p.12-13) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
「学び方が、クリエイティブ・ラーニングへと変化することで、学校の役割もその重点がシフトしていく。これからは、学校は生徒・学生が創造の「経験」を重ねることができる場となっていくのである。」(p.15) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
学校が創造の「経験」を重ねる場になるということは、さまざまな創造にチャレンジできる、いわば冒険できる場であるということだし、さらに、冒険に何度も挑める場でなければなりません。井庭先生は、学校の役割を「創造が冒険であることに変わりはないが、その大枠として安全・安心な領域であり、その冒険に専念できる環境が提供される」(p.15)と書いています。
学校が創造の場になるために、教師の役割はどのようなものになるのか、が続けて書かれます。
「クリエイティブ・ラーニングを実現する教育においては、教師の役割も変わってくる。教師は、生徒・学生がつくることを支援するとともに、それだけでなく、一緒に問題に挑戦し、一緒につくることに取り組む仲間となる」(p.16)
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
=「ジェネレーター」になる。 #クリエイティブ・ラーニング
「ジェネレーターは、創造における発見も、そのためのコミュニケーションも、どんどん促し、動かしていく。それは、もはや、教える/教わる、(成果を外部から)評価する/評価される、という非対称な関係性が崩れることを意味している」(p.17) #クリエイティブ・ラーニング
— 為田裕行 (@Hiroyuki_Tameda) 2019年3月3日
教える/教わるの関係から、一緒につくっていく関係に変わっていく学校というのは、実際に実践している学校も存在していると思っています。PBLやプログラミング教育、探究学習もそうだと思いますし、経済産業省が「未来の教室」実証事業のなかで挙げているSTEAM教育も、共有している物が多いと思いました。
ほぼほぼプロローグだけで、目指すべき方向が力強く示されていて、自分的には大満足です*1。
No.2へ続きます。
blog.ict-in-education.jp
(為田)
*1:が、ここまででページ数は640ページ中30ページくらいです 笑