スマートに学べる問題集リブリー(Libry)を提供する株式会社Libryの代表取締役CEO 後藤匠さんのインタビューをお届けします。
最後に、後藤さんに今後の展望について伺いました。
リブリーのビジョンは「一人ひとりが自分の可能性を最大限に発揮できる社会をつくる」というものです。それを実現するために、一人ひとりの興味や能力、状況に合わせて、適切に指導や情報を適切なタイミングでマッチングできるエコシステムをつくる、ということをリブリーのミッションとしています。そのために、より生徒が使いやすいように、より良く学習ができるように進化させていきます。まだまだ「興味」に合わせたコンテンツの提供や指導のサポートも、十分に取り組めているわけではありませんが、今やるべきことを見極めてしっかりとリブリーを進化させていきます。
今年1年は、「よりウェット」になるようにアップデートをしてきました。スタンプの機能を追加したり、提携出版社の拡大やスマホ対応などにより対象ユーザーの裾野を広げた、というところが重要なアップデートでした。
去年数十校だった正式導入校が、100を超えました。トライアルを含めると500校ほどの学校がリブリーを使ってくれています。全国で高校は5000校なので、10校に1校くらいがリブリーに興味を持ってくれているという規模になってきています。それはありがたいし、受け入れられているという自信にもなっています。
「教育をなんとかしないと…」という責任感のもとでやってきましたが、学校や出版社など、ステークホルダーが増えるにつれて責任感も増してきています。これまでそうした責任を背負ってきた、学校や出版社をコンペティター(競争者)として見るのではなく、テクノロジーを使って学校や出版社、他のEdTechサービスとも一緒に教育を良くしていくという立ち位置のEdTechサービスとなりたいと思っています。
教育は「過去の賢人へのリスペクト」を元に成り立っています。そのため教育サービスこそ、これまでの教育を支えてきた人たちへのリスペクトを失ってしまってはいけないと思っています。これまでの教育に対する敬意を最大限にもったうえで、良いことは残す、変えるべきことは変えながら、未来を創るというのが望ましい形だと思います。「Standing on the shoulders of Giants」という言葉が好きだし、そうした会社でありたいと思っています。
学習者や先生が「使いやすい」サービスであることは最優先事項なので、妥協せずに「めちゃめちゃ使いやすいデジタル問題集」+「先生にとっての便利な宿題管理ツール」というスタンスというのでリブリーを作っていきますが、さらに教材や対応科目の拡大を進めて、より多くの学習者にリブリーを届けるようにしていきたいと考えています。また、学習履歴の積極的な活用にも力を入れていきたいですね。
蓄積された学習履歴を、どう教育に還元できるのかというところに取り組んで、来年のインタビューでは、そのあたりの話をしたいです。構想はいろいろとあるので、来年が楽しみです。
後藤さんは、「リブリーが目指しているのは、0.5歩先のイノベーション」と言います。1歩前に踏み出せない先生にも、まずは使ってもらうことで、先生方がその先に自身で「 ICT を使ってこんなふうに授業が変わっていく」という世界観を描けるようになっていくと思います。これは先生方にとって、挑戦しやすい道ではないかなと思います。 特に、たくさんの参考書を使っている高校にとっては、今回の第一学習社・東京書籍との連携によるコンテンツの拡充と、生徒がほぼ持っているスマホでの利用が可能、この2点をうまく組み合わせて、スタートをしてみるいい機会ではないかと思います。
教科書・参考書への完全準拠と、ノート連携があることで、授業のなかでも活用しやすいリブリーは、簡単にトライをしてみられる教材だと思いますので、ぜひ0.5歩、踏み出してもらいたいと思います。
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後藤さん、どうもありがとうございました。次はまた来年、学習履歴の分析や教科書会社との連携など、また一歩前に進んだ話を聴かせてもらいに来たいと思います。
(為田)