教育ICTリサーチ ブログ

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神奈川大学附属中・高等学校 授業レポート No.3(2020年3月18日)

 2020年3月18日に、神奈川大学附属中・高等学校を訪問し、佐藤克行 先生(物理担当)と福家匠人 先生(英語担当)がコラボレーションする特別授業を見学させていただきました。この授業のテーマは「宇宙エレベーター」で、遠隔授業で自宅から高校1年生(32名)が参加をしていました。
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 授業終了後には、Classiを使って授業アンケートを行っていました。佐藤先生にアンケートの結果を教えていただきました。

【設問1】
授業を受けた率直な感想を教えて下さい。今までの授業と比べてのコメントをもらえる と嬉しいです。

  • とても楽しかったです。友達とペアになって参加できるのが面白くて、またやりたいと思いました。
  • 佐藤先生と福家先生の掛け合いが面白くて、授業にひきつけられました!
  • とても面白かったです。自分の手元で実験するといつもより物理の感覚を理解しやすいと思いました。また、グループワークで友達と意見交換出来て楽しかったです。
  • 楽しかったです!
  • コラボ授業という形で他教科のことをリンクさせて学ぶのがとても興味深かった。それだけでなく、先生どうしの掛け合いもすごく面白くて、授業が楽しかった。
  • おなかの底から笑いました。久しぶりに先生の流暢な英語を聞けたこと、一生忘れません。
  • 画面にうつってない先生たちもいたからかいつもより雰囲気が明るくて楽しかったです!
  • 2人一組で考えられる課題があって、楽しかった。
  • 他教科とのコラボで、普段の授業よりも楽しく受けられた。 他分野と結びつけて考えられて、理解がいつもよりしやすかった。
  • 最初は、2コマもあるので授業を受けるか迷いましたが、受けてみたらとてもためになるし面白くて楽しい授業で、あっという間の2時間でした。 今回の授業のように、英語を英語の問題を解くためだけでなく、他の学問で知識を得たりするために使う機会があると、普段の勉強のモチベーションにもなると思いました。 佐藤先生と福家先生の和気あいあいとしたやりとりもとても面白かったです。
  • 実際に実験したりして普段の授業とは違う感覚で受けられた
  • とても楽しく、いつもの授業を受けてる感じがしました。
  • 英語で授業を受けることに慣れていなかったので、英語力のなさを痛感しました。
  • 二人一組で作業するのが面白かった 先生たちも楽しそうでよかった。
  • 宇宙エレベーターという普段学ばない分野を知れてよかった。
  • 英語で物理の説明を受けるのは割と難しかった

 物理+英語で、2人の先生が行う授業ということについての、生徒たちの素直な感想が非常におもしろいです。
 例えば、宇宙エレベーターについて説明をするところで、「geostationary satellite」という単語が出てきますが、そこから福家先生は「“geo”は“地球の”という意味の接頭辞ですね」と説明していきます。佐藤先生は「後ろの“stationary”は文房具じゃないんですか?」と質問し、福家先生が「それは“stationery”ですね、スペルが違って、別の単語です」と答えます。授業後のアンケートを見ると、こうした先生方のやりとりを「佐藤先生と福家先生の和気あいあいとしたやりとりもとても面白かったです」と評価している生徒もいました。佐藤先生は英語分野について、福家先生は物理分野について、生徒の目線での質問を投げ込んでいたのが理解を助ける部分もあるのではないかと思いました。

 もう一つ、「もっと遠隔授業が良くなるためにどうすればいいか」という質問については、特に技術的な部分のコメントが多く、動画に慣れている生徒たちの様子がうかがえます。

【設問2】
どうしたら、もっと遠隔授業がよくなると思いますか。アイディアがあったら教えて下さい。

  • 黒板全体を映して、いつもの授業のようにが画面配信をするのはどうでしょうか。
  • 特にありません。
  • 音声を吹き込むとなると家族もいるので恥ずかしいです
  • 授業内でもコメントされていたが、実験の様子をロイロノートを閉じて大きく見せてもらえるとより分かりやすかった。
  • よりおもろい実験をしてみたい
  • たこ糸のついた50円玉をリビングに放置していたら何かマジックでも練習したの?と親に言われ悲しい気持ちになったので、実験のことを保護者に伝えていただけていたらよりよかったです
  • 実験をどのようにしてるか見えなかったので、先生方が映る画面を大きくして欲しかった。
  • 音声のホワイトノイズがかなり多くて少し聞き取りづらいところもあったので、そこを改善してもらいたいです。
  • とくになし
  • みんなの顔がみたいです。
  • 資料箱に日本語版を入れておいてわからなくなったら見れるようにするといいと思います。
  • YouTubeにコメントするのか、ロイロにコメントするのか統一する

 これらに関しては、遠隔授業を行うたびにアンケートをとってブラッシュアップしているそうです。「YouTubeライブでやったらいい」というのも、アンケートでもらった意見だそうです。その他にも、「カメラが下すぎる」「ホワイトボードの字が細い」などのコメントもあり、それらを受けながら授業をどんどんブラッシュアップしてきているそうです。

 今回の遠隔授業は、新型コロナウイルスによる休校がきっかけで実験的に実施しているものですが、これまでに英語・数学・社会科・物理でライブ授業がスタート。全部で10回前後くらいやっているそうです。
 「他の先生方の参加、見学もOK」で始めているそうで、この授業にもたくさんの先生方が見学にいらっしゃっていました。ICTを使った遠隔授業で、どんなことができるのか、どんなところに限界があるのか、ということを先生方に知ってもらうことは、学校としての大きな財産になるのではないかと思います。
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(為田)