教育ICTリサーチ ブログ

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ドルトン東京学園中等部「STEAM Fes 2020」イベントレポート(2021年3月22日)

 2021年3月22日にドルトン東京学園中等部が開催した、生徒研究発表イベント「STEAM Fes 2020」をオンラインで参観させていただきました。今回のSTEAM Fesのテーマは、“LIFE WITH CORONA”で、生徒がそれぞれのアイデアで作った・描いた・演奏した・研究したプロジェクトをリアルタイムで発表していくものです。
 インタラクティブに会話が可能なヴァーチャル空間「oVice」を使って開催されました。ログインしてみると、参加者のアイコンがズラリと並んでいました。当日の参加者数は、生徒240名、保護者・外部教育関係者が40名だったそうです。
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 先生方と生徒たちは、アイコンの下に名前が表示されているので、誰が近い場所にいるのかということもわかるようになっています(一部、ニックネームの人たちもいましたが)。また、先生方のアイコンには「STAFF」と書かれていて、サポートやファシリテーションをしてくれていました。
 oVice上のマップに参加者のアイコンが表示されていて、そのアイコンを使って会場を移動し、近くの人と会話をしたりできます。オンラインですが、物理的に移動する感じもありました。また、全体のチャットも並行してあるので、全体進行は全体のチャットで行われていました。
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 オープニングセレモニーでは、ドルトン東京学園の校内を駆け巡る聖火リレーのムービーが流れました。走る生徒たちに合わせて、CGの炎が映像にのっていました。
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 STEAM Fesは、来場者との質疑応答を行うオンラインイベントでした。事前に校内限定でWeb公開された生徒全員の発表動画から、投票もしくは立候補や推薦により選出されたプレゼンター43名が、バーチャル空間でリアルタイムのプレゼンテーションを行いました。

 僕は、3人のプレゼンテーションを見ることができました。いずれのプレゼンテーションも、テーマである“LIFE WITH CORONA”にあったものだと感じました。

カメラで温度を測ってみよう!

 1人目は、「カメラで温度を測ってみよう!」というテーマで、Raspberry Piにカメラモジュールと画像認識ライブラリー「OpenCV」と温度センサーを用いて、体温を計測して自動でGoogleスプレッドシートに記録させる、というプロジェクトでした。実際に使ってみると、温度センサーがなかなかうまく機能せず、すごく低い体温が計測されたりもしたようですが、こうして実際にやってみないとわからないこともたくさんあるように思います。
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 参考文献として、Raspberry Piと各種モジュールを接続するウェブサイトなども挙げられていました。こうして、自分の問題意識に近い実践を参考にしながら、手を動かして実践できるのが素晴らしいと思います。
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Pythonを使ってコロナ予測

 2人目は、「Pythonを使ってコロナ予測」というプロジェクトでした。ブラウザから Python を記述、実行できるサービス「Google Colablatory」を使って、東京都福祉保健局が出しているCSVファイルを使っての予測をしていました。
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 予測ができるように作ってみたものの、精度などはまだまだだった、と自身でふりかえりをしていましたが、「あまりやったことのなかったPythonを使えてよかった」というコメントもあり、どんどん自身で前に進んでいっている様子を感じました。
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自分にあった趣味を見つけられるアプリ

 3人目は、「自分にあった趣味を見つけられるアプリ」でした。こちらは、自粛期間中に充実した時間を送れなかったから、自分にあう趣味を見つけられるアプリを「トイダス」( https://toidas.net/ )というサービスを使って作ろう、というプロジェクトでした。
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 趣味のカテゴリーを考えて、それをトイダスに入れて、診断ができるようにしたもので、おもしろかったです。プレゼンテーションのなかでQRコードを配信して、参加者がそれを試せるようになっているのもいいと思いました。最後の感想として、次はサービスを使うのではなく、プログラムを自分で最初から組みたい、と言っていました。
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まとめ

 プレゼンテーションを見ることができたのは3人だけでしたが、それぞれがインターネット上に公開されている情報を見つけて、それを自分のプロジェクトに落とし込んでいる様子が見えました。インターネットを検索していけば、さまざまなノウハウを見つけることができる、新しい学びの形が垣間見えたように思います。
 一人ひとりが違う問題意識でプロジェクトに取り組んでいけば、解決策もそれぞれに違うものになっていくので、情報収集や実装などはどんどん個別化していくと思います。こうした新しい学びを、「どんどん自分で探して、どんどん試してみたらいいよ」と背中を押してくれる先生方がいてこそ、こうした学びが実現できるのではないかな、と思いました。

(為田)