関西学院初等部の宗實直樹先生の著書、『宗實直樹の社会科授業デザイン』を読みました。宗實先生は、「社会科は人生を豊かにできる教科」と書いています。
本書では、私が理想としている「豊かな社会科授業」をできるだけ言語化しようと試みました。社会科授業においてどのように「豊かさ」をつくることができるのか、そのためにどのような社会科授業デザインが必要なのか、これらを念頭に置きながら著しました。(p.2)
社会の授業のデザインが中心ではありますが、そのなかでも「あ、これは他のところでも活用できそうだ」と感じたところがたくさんありましたので、そうした部分をメモとして共有したいと思います。
特におもしろいと思ったのは、「ノートでつながる」と書かれていたページ(p.93)です。ここでは、「教師にとっての社会科ノート」と「子どもにとっての社会科ノート」が書かれていました。
教師にとっての社会科ノート
- 学習状況把握のためのツール
- 本時、単元での学習把握
- 評価するためのツール
- 継続して得た概念、比較等の視点
- 学習内容と学習方法の獲得
- 子ども同士をつなげるためのツール
- 学級経営の視点
子どもにとっての社会科ノート
- 記録のためのツール
- 思考を深めるためのツール
- 学びをふり返るためのツール
- 書く力を伸ばすためのツール
- 想いや願いを綴るためのツール
- 友だちと交流するためのツール
「ノートでつながる」ということは、以下のようなメリットがあると宗實先生は書いています。人のノートを見られるようになることで、「それじゃ、写してしまうんじゃ…?」「公開カンニングじゃないか?!」と不安を言う先生もいらっしゃいますが、それよりもずっと多くのメリットがあると思います。
自分の意見を聴いてもらえている充足感や安心感、自分の発言が人に影響を与えているという自己効力感を感じることができます。仲間づくりのツールとしても大きな威力を発揮します。(p.92)
Google Classroomでも、スクールタクトでも、ロイロノート・スクールでも、MetaMoji ClassRoomでも、多少の違いはあっても、「ノートでつながる」という場面を簡単に作ることができます。ただ「つなげる」ことが重要なのではなく、ノートでつながって、子どもたちが「豊かな」学びができるように、どんなふうに授業をデザインしているのか、ということを読むことができました。社会科授業のデザインだけでなく、他の教科の授業デザインでも応用できることは多いと思います。
(為田)