教育ICTリサーチ ブログ

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プログラミング教育において何を大事に思っているのか

 先日、プログラミング教育についてのインタビューを受ける機会があって、記者の方からの質問に答えていく過程で、自分がプログラミング教育において何を大事に思っているのか、ということがはっきりしてくるという経験をしました。

 僕は、プログラミング教育を特に小学校でやることに賛成です。どんどんやったらいいと思っています。その理由は、「コーディングができた方が仕事に就ける」とか「プログラミングはこれから絶対に必要なリテラシー」というふうなものではありません。
 僕は、プログラミングの授業を受ける過程で、子どもたちが「試行錯誤してみよう」とか「プログラムを組んで実行してみて、とりあえず違ったら直したらいいや」とか「自分と全然考え方とか違うけど、こいつすげえおもしろいな」とか思うような場面が増えればいいな、と思っているんだと思います。また、そうしたことを思うような体験を教室でできるだけ何度もしてもらいたいんだと思います。

 そういう体験は、子どもたちの「どんどんやってみよう」「失敗したら直せばいいや」「自分と違うやつがいるからおもしろい」というマインドセットを作ってくれると思います。
 この「どんどんやってみよう」「失敗したら直せばいいや」「自分と違うやつがいるからおもしろい」というマインドセットを育てるのに、学校という場、先生という存在が果たす役割はすごく大きいと思っています。「どんどんやってみよう」と思えるには、いつも共に学んでいるクラスメイトの存在が大事だと思うからです。「失敗したら直せばいいや」と思えるには、励ましたり勇気づけたり慰めたりしてくれる先生の言葉が大事だと思うからです。「自分と違うやつがいるからおもしろい」も、いろんな考え方をする子と一緒に学ぶ場があってこそのものです。

 逆に言えば、この「どんどんやってみよう」「失敗したら直せばいいや」「自分と違うやつがいるからおもしろい」というマインドセットが育つのであれば、別にプログラミング教育でなくてもいいと思っています。
 この「どんどんやってみよう」「失敗したら直せばいいや」「自分と違うやつがいるからおもしろい」というマインドセットは、算数の計算問題を解いていて身につけられる子もいるだろうし、ミニバスをやっていてシュート練習をするうちに身につけられる子もいるだろうと思います。絵を描いたり、ピアノを弾いたりしていて身につけられる子もいると思います。どれでもいいのです。
 でも、これらに並べてみたらプログラミングって、用意しなければいけない教材も少なくてすぐにでも始められるから敷居が低いし、才能や体格なども関係ないし、この「どんどんやってみよう」「失敗したら直せばいいや」「自分と違うやつがいるからおもしろい」というマインドセットを身につけるのにとてもやりやすい方法ではないかと思うのです。
 このマインドセットは、プログラミングでだけ役立つわけではありません。勉強のなかでも役立つと思うし、誰かと協働したり、プロジェクトに取り組んだり、いろいろなときに役立つと思うのです。

 そうしたことを考えれば考えるほど、「先生が言うとおりにブロックを置いてください」とか、「そのブロックは使ってはいけません」とか先生が言うようなプログラミングの授業ではダメで、むしろ逆に、先生も「どんどんやってみよう」「失敗したら直せばいいや」「自分と違うやつがいるからおもしろい」というマインドセットの見本を見せる感じで、「いいんじゃない?やってみようよ!だめなら直せばいいし!」と笑顔で子どもたちに言ってあげてほしいな、と思いました。

 一方で、「じゃあ、自分はそういう授業ができているか?」と反省したりもします。今日から、できるところから、直していきたいと思います。

(為田)