新型コロナウイルスの感染状況は刻々と変わってきていて、さまざまなニュースを見て、先生方も対応などでお忙しくされているかと思います。
学校は、子どもたちのために、最悪の状況も考えて準備をしておくことが大切だと思っています。学校で感染者が出た場合、休校措置になった場合などを考えて、どんな準備をしておくといいでしょうか。学校でできる準備のアイデアを共有するためのアンケートをとっています。
2021年8月29日5:00現在までにいただいた回答を以下にまとめています。赤字になっている部分が今回追記した部分です。
今後、追加されたアイデアは、8月下旬まで毎週末に更新し、9月に最終版を出す予定です。
新型コロナ対策で学校が準備しておくといいと思うこと、その理由
「新型コロナ対策で学校が準備しておくといいと思うこと」と「その理由」をお答えいただきました。ご記入いただいた職業も参考に入れました。
- 【埼玉県公立小学校の教頭】短期的(8月いっぱい)と中期的(9月いっぱい)の学びの保障の準備。その際の子供と保護者の心身の状態をどう見とるか。
ピンチをチャンスと捉え、学校と、家庭とのシームレスな学びを進めたい。一方で、各家庭の状況が心配だから。- 【私立小学校教員】そもそも、準備しなくてはと思わないといけないと思います。まだまだ、私の学校は…地域はそのような雰囲気ではないです。
地域によっては、楽観視しているところもあります。特に、地方。下っ端の先生がいくら声をあげてもトップの声で進まないのが現実です。- 【私立小学校教員】何にお金をかけるのか、逆にかけてはいけないのかを考えること。
学校も一つの会社なので、お金のかけ方で教育も変わると思います。現場の教員と事務とでギャップがありうまくいっていないので、はじめから考えていてほしいです。- 【教育ICTリサーチ(為田)】休校になる、クラス(学校)に感染者に近い人が出ることを想定して、情報端末を家に持ち帰らせて、ネット接続をテスト。
本当はもっとはやい時期にやってほしかったけど、「うちはできないんです」と言われないようにする、言われても対応できるようにしておくことが大事なので。- 【教育ICTリサーチ(為田)】Googleクラスルームを使っての情報の発信、共有を一人でできるようにする。
家庭でずっと親がついていないとできない、というのは大変なので、児童生徒が「一人でできる」状態を作るのが大事だと思います。- 【教育ICTリサーチ(為田)】保護者むけの説明会(または体験会)を開く。
保護者が、「どんなふうに端末を使って勉強するのかわからない」というのがまず壁としてあると思うので。- 【教育ICTリサーチ(為田)】PTAと協働すればICTに詳しい人もいるだろうから、何かあったときのためのサポートデスクを先生以外の窓口として作る。
全部を先生方が対応するのは時間的にもリソース的にも難しいと思うので。連絡網で使っているメール配信サービスなども活用すればサポート体制を作れるのではないか?- 【公立小学校管理職】①家庭のWi-Fi環境調べ。②オンラインの宿題を出すこと。③子どもたちにミートを使った授業を体験させておくこと。④コロナ差別を扱った全校道徳の授業
休校や個々の停止欠席に対応し、オンラインで学びを保障するため。家庭のWi-Fi普及率を上げるため、保護者の意識向上に向けた情報発信をすることも必要です。- 【私立中高教員】保護者用のアカウント
生徒と教員を結ぶSNSや支援サービスの導入が進みつつあるとは思います。実際に運用する際に生徒だけ、保護者だけに伝えたいという情報もあります。また生徒の端末からしか連絡が見られないと情報が行き届かないこともあり、保護者が自分の端末から情報を得られるようにしておくと便利です。教職員・生徒・保護者にそれぞれアカウントを用意してこそ本領が発揮されます。- 【私立中高教員】zoom以外のオンライン授業手段
たぶんまたオンライン授業が必要になると思います。オンライン授業の一つの方法としてzoomを使ったものがありますが、zoomで出来るようになればOKではありません。zoomで繋いで普段のような授業を50分x6コマは現実的ではありません。ロイロやMetamojiでもいいですし、Googleドライブでも構わないので、「複数」の教材配信ややりとりができる手段を用意して使い慣れておくことが必要だと思います。- 【公立小学校校長】子供が一人でもオンラインで学習ができるようになる準備
保護者は子供だけではオンラインで学習ができないと思っている。一人でもできるように学校でも練習する- 【都内小学校教員】・zoomやmeet、teamsなどのビデオチャットの練習。・GIGA端末で使える機能(自治体ごとに違うと思われ)を学校で3回くらいは使っておく。
文字入力は低学年ではまだまだ難しく、ビデオチャットがコミュニケーション手段のメインになると思います。それでも、使い方がわからなければ参加もできないので、授業で練習しておくとよいと思います。- 【都内小学校教員】家庭へのお願いプリント。こんな風に使いますよ、これはやめてくださいね、困ったときはこうしてね、とかいうお願い事項などなど。
「家庭へのお願い」は長期休業中に配った(と思われる)ものをさらにカスタマイズすればいいのですが、授業なので、きちんと顔を出すこと、家族が邪魔をしないことなど、ある程度ルールが必要かと思います。- 【公立中学校・教務主任・情報担当】各教科の学びを支援する情報をまとめたサイトを立ち上げる
各教科の情報をサイトにまとめておけば,日常・非日常において使用することができる。- 【公立中学校・教務主任・情報担当】双方向でのオンライン授業のやり方研修を実施する
現状でオンライン授業を実施すると,単一方向での授業となってしまう。(日常の授業形態の変容が起きてない)- 【公立中学校・教務主任・情報担当】教職員の緊急連絡手段の準備、生徒や家庭との連絡手段の準備
いまだに電話での連絡が行われていたり,メールでの単一方向での連絡だったりするため,双方向での連絡やPDF等のファイルの送受信が必要となってきているため。- 【FIC教育コンサルタント】オンタイムのビデオ会議システムの接続練習。
若干手遅れ感もないわけではありませんが、先生は配信側を、子供たちは受信側を体験しておく必要があると思います。- 【FIC教育コンサルタント】教材の配布(もしくは在りか)・回収の手立て確保と練習。
オンタイムで教材配布回収できなくても「ここに教材があるからコピーしてやってね」のような「同じ空間で紙教材、でなくても出来ること」はあるので、それぞれの環境とスキルに合った方法を擬似体験しておくことは必須と思います。- 【FIC教育コンサルタント】オンタイム授業を想定した時間割の作成。
「いつ、だれが、何を」するのかと「子どもたちの負荷はどの程度か」「保護者の関与はどの程度か」などを考慮して、ざっくりでもタイムスケジュールがあると、ある程度の長期でも耐えうるかと思います。- 【FIC教育コンサルタント】児童生徒が購入しているドリルやワークのPDFもしくは画像化。
離れた場所での子どもたちの学習成果を離れたままで短時間に受け取るにはデジタルしかないと思います。著作権に抵触しない(最近フローが出ましたね)ものをデジタル化しておくことは、休校を前提にしなくても考えておくべきことかなと思います。- 【ICT支援員】まずはシンプルに、先生や子どもたちのICT関連「アカウント」と「パスワード」をすぐに確認できるようにすること。
いざタブレットやパソコンを使って、オンラインだ接続テストだとなっても、その前段階で停止することが多いです。先生方は「以前発行されて紙もらったけど、さて」「パスワード変えろって言われて変えた気がするが、さて」などで立ち止まっておられます。
IDとパスワードを思い出す。まずはこれが第一歩。忘れがちだけど一番最初でつまづくところです。
いただいたコメント
フリーコメントもご記入いただいたものを抜粋して紹介します。コメントの方にも、学ぶ点はたくさんあります。ありがとうございます。
- 家庭、地域の状況把握とともに、先生がたのメンタルも心配。できるだけ、ポジティブに捉えられるように、配慮していきたい。
- 共有されたものを参考に準備していきたいと思います。
- One to oneの端末は生徒が使うものであって、ご家庭にOne to oneではありません。生徒が端末持っているから保護者への連絡や情報提供もそれでいいやというのは得策ではないと思います。もちろんご家庭で使える端末がそれしかないのであれば仕方ないですが、多くの保護者がスマホを持っていたり、仕事でパソコンも使っていたりという環境にあります。それぞれにアカウントを提供するという前提で考えてほしいと思います。
- 大手の支援システムがアクセス不良でにっちもさっちも行かなくなったことを忘れてはいけません。「複数」用意して備えておくことが大事です。「これ」がないとどうにもならないというのは危険です。
- 学校休業を想定しながらいろいろな方法を模索していきたいです
- 自治体ごとに機能が違うことがかなりしんどいですね。独占禁止と自由競争とはいえ、ICT推進メンバーの意欲と時間の余裕の差がここに出てきていると感じます。
- 公立は,いまだに保守的でアナログであったり,前例踏襲の面が色濃く残っています。感染状況が刻一刻と変化してきていることから,思い切ったかじ取りが必要と考えます。そのため,教務として時数確保のためではなく,授業形態の変容であったり,情報共有の在り方が双方向で瞬時に行われる必要性を感じています。
- ここで出される先生方のアイディアは、もう現実にしていくフェーズになっているように感じます。たとえ近々でなくても、です。後手に回ればどういうことになるのか、学校現場や政治の場のこの18ヶ月の経験から想像がつきます。そこから感じたり学んだりしたことを、機器導入から4ヶ月の現場だけで具現化するには無理があります。教育委員会の本当の力量を発揮するステージがやってきたと感じます。百歩譲って地域差は出るかも知れませんが、地域内学校差は出来るだけ無くしたいところです。政治の次は教育行政が、マネジメントの力量を問われることになるかも知れません。