NHK総合で土曜日午後10時から放送されているドラマ『17才の帝国』をとても楽しく、いろいろと考えさせられながら見ています。
舞台は202X年の日本。G7からも転落していて、「サンセット・ジャパン」と揶揄されている。そんななか、独立特別行政特区UA(ウーア)を作り、そこでAIを活用して政治を行うというドラマです。総理大臣が17歳の高校生で、彼らと大人との対立が…というストーリーです。
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「ソロン」という名のAIを活用した特別行政特区UAの暮らしでは、一人1台のスマートグラスとスマートリングを使った支持率や幸福度などの調査、住民投票など、「こういうことができるのか」ということを見ることができます。第1話のうちに、市議会を廃止し、市職員の大幅削減などを実施していきます。演説には街中からコメントがつき、毎日支持率が出ます。死んだ人をAIで蘇らせる描写もあるのですが、それについても賛否両論あるでしょう。
エンターテイメントが、こうして未来像を見せてくれるのは、とてもいいと思います。映像で見せてくれることで、より多くの人が未来を想像できるようになります。
我が家では、中学3年生の息子が、毎週リビングで僕と一緒にこのドラマを見ています。すでにこうした状況はもう稀です…。一緒に見ている彼は、たぶん僕と同じことは考えていないと思います。中学生は中学生なりに、思うところがあるはずです。「小さい自治体でもこんなに難しい、でも生徒会ならできないか?」と思うのでもいいし、「世代間のギャップって超えられんのかよ…」と思うのでもいいと思うのです。一緒にエンターテイメントを見て、考えるきっかけになる、というのがいいと思います。
ストーリーの中で描かれるテクノロジーの使い方は、緒方壽人さんの著書『コンヴィヴィアル・テクノロジー』で紹介されていた、2つの分水嶺の話を思い起こさせてくれます。テクノロジーによって、「便利になるなー」というのと「これは行き過ぎなんじゃ…?」という、2つの分水嶺を行ったり来たりする話だと思います。
僕は、東浩紀さんの『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』をもう一度読み返したくなりました。
リアルタイムの放送では、明日6月4日が第5回で最終回になりますが、NHKオンデマンドで見ることもできます。みんなで見て、感想を語り合いたくなるドラマだと思います。
(為田)