教育ICTリサーチ ブログ

学校/教育をFuture Readyにするお手伝いをするために、授業(授業者+学習者)を価値の中心に置いた情報発信をしていきます。

コンピュータを使った授業では、Undoを使えるようになってほしい

 コンピュータを使った授業を自分でするときに、いちばん子どもたちに使えるようになってほしい機能は、「Undo(取り消し)」です。
 絵を描くアプリケーションの説明をするときには、意図的にUndo機能を使う場面を作って見せて、「やってみて、“あ、違うな”と思ったら、いつでも取り消せるからね。またやり直してみてね」と伝えています。
 授業支援ツールでテキストボックスを使って文章を書くときも、クラウドでワードプロセッシングツールを使って文章を書くときも、「もっとわかりやすくなるように、言いたいことがちゃんと伝わるように、何回でも書き直して」と伝えます。
 プログラミングの授業をするときも、「1回でできなくても全然いいから、まずは自分で思った通りに作ってみて、ダメだってわかったら作り直して」と何度も言います。

 全員がすぐに「Undo」を使いこなすようにはなかなかなりません。完成まで一直線で行きたい子どもが多いように思います。一回の間違いもなく、最後まで完成させたい子が多いというか、「間違い=失敗」だと思っている子が多いように思うのです。
 この「間違い=失敗」という思い込みを、子どものうちに取り除いてあげたいと思っています。たしかに、間違いを一度もせずに成功できればいいと思いますが、間違いを一度もせずに成功できる場面は、大人になるにつれてだんだん少なくなっていくからです。
 「間違い=失敗」だと思わずに、「間違えたぶん、次はどうすればいいかわかる」とか「間違えたぶん、1歩前に進んだ」とか、そんなふうに思う子どもが世の中に増えたらいいな、と思っています。
 家庭での時間のなかでそうした経験をできる子もいますし、習い事のなかでそうした経験をできる子もいます。でも、そうした環境がない子にとっては、学校という場がその経験をする場になればいいと思います。

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 子どもの話だけではなく、大人の社会でも状況はまったく同じだと思います。「間違い=失敗」と考えているから、間違えたことを認めないで誤魔化したりしていても、問題はまったく解決しません。
 正解が一つ簡単に見つかる時代ではなくなってきているからこそ、間違いを認めて、「Undo」をして、次に進めることができる人が増えることが大切だと思っています。

 ただし、大人になれば関わる人たちも増えるし、影響も大きいので、ほいほいと「Undo」をすればいいということでもありません(お金がかかることも多いはずですし)。
 だから、最初から何かをするときに「きちんと論理を組み立ててそれを共有」して、「みんなで承認してやってみて」、「間違っていたら原因を特定して」、「速やかにやり直す」ということが良いことだ、ということを社会全体の合意として持っておくことが大事だと思います。
 こうした考え方ができる人を社会にいかに増やすか、が大事だと思いますし、そのために学校が果たせる役割は本当に大きいと思っています。そんなメッセージを込めながら、子どもたちに「やってみなよ、違うと思ったら、やり直してみなよ」と教室で伝えていきたいな、と思っています。

(為田)