教育ICTリサーチ ブログ

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淑徳小学校 淑徳アルファ カズトロジー 授業レポート No.1(2022年9月6日)

 弊社フューチャーインスティテュートは、淑徳小学校放課後クラブ 淑徳アルファで、コンピュータを使ってさまざまな活動を行う授業「カズトロジー」を行っています。

 2022年9月6日に、3年生のクラスでSTEAMライブラリーで公開されている「GIGAスクール時代のテクノロジーとメディア」「ネットでのやりとり どうすれば相手にうまく伝わる」を実践してみました。STEAMライブラリーのサイトで公開されている、スライドや動画、ワークシートを使って授業を行いました。

 授業の最初で、「ネットでのやりとり(=オンラインコミュニケーション)」について考える時間をとりました。子どもたちに「オンラインってどういうこと?」と質問すると、「どこにいてもいろんなことができる」「遠くの人とやりとりができる」など、オンラインでのやりとりの良さについての意見が子どもたちから出てきました。

 そのうえで、STEAMライブラリーのサイトで1分ちょっとの教材動画を見せました。動画は、チャット上でのコメントのやりとりのなかである子が書いた「なんでやるの」という言葉が、「何を使ってやるの?」と「なんでそんなことしなきゃいけないの?」の2通りに解釈ができて、それによって捉え方が人それぞれ違ってきてしまう、というストーリーです。熱心にみんな見ていて、ストーリーもきちんと理解していました。
 「なんでやるの」という言葉が、「何を使ってやるの?」と「なんでそんなことしなきゃいけないの?」の2通りに解釈できることについて、教室で「このチャットを読んだら、みんなはどっちだと思っちゃう?」と質問してみると、半分半分くらいでした。
 ここで、「書いた人の子のことを知っていたら、勘違いはしなくなるよね。たとえば、いつも一生懸命に学級新聞を作っている子だったら、やる気なんだなと思うよね。いつも掃除とかさぼっていたりする子だと、やりたくないのかなと思うよね」だから、その人がどんな人なのか知っていることも大事だよ、と伝えました。

 そのうえで、スクールタクトで「いままでのネットでのやりとりをふりかえろう」というワークシートを配布して、ネットでやりとりをしていて「うれしい気持ちになったこと・楽しい気持ちになったこと」と「いやな気持ち・悲しい気持ちになったこと」を書いてもらいました。
 小学校3年生で、オンラインでのコミュニケーションの経験がまだあまり多くないので、最初は書きにくかったようでしたが、僕が先生用メモに「僕はこういうことがあったな」とサンプルを書いていくと、「あ、そういう感じね」と言って書き始める子が増えていきました。

 ふだんから授業でスクールタクトを使っているので、「うれしい気持ちになったこと・楽しい気持ちになったこと」のところには、「友達はいつもいいね送ってくれる」とか「いいねをたくさんもらった」「作った作品にいいねをたくさんもらった」などを書いてくれている子がいました。
 「いやな気持ち・悲しい気持ちになったこと」には、「コメントに書く言い方」「ゲームで他のプレイヤーにやられるのがいや」などが書かれていました。ゲームもオンラインで他の人と一緒にプレイすることもできるので、オンラインのやり取りとして認識されているのだ、と感じました。

 この後、「いやな気持ち・悲しい気持ちになったこと」のところの横に、「そうなったらどうする?」と対処法をワークシートに書いていきます。
 「コメントに書く言い方(がいやだった)」と書いた子は、「その人に聞いてかいけつする」と対処法を書いていました。
 「ゲームで他のプレイヤーにやられるのがいや」と書いた子は、「ゲームを再起動する」と書いていました。自分なりの対処方法を、自分の言葉で書けていたのがよかったな、と思います。

 ワークシート全体を通して、「先生、別にないんだけど…」という子が多かったのも事実でした。そういう子たちには、「“ない”って書いておいてくれたらいいよ」と伝えました。「うれしい・楽しい体験」も、「いやな・悲しい体験」も未体験の人には、他の人がどんなことを書いているのかを見てもらうようにしました。
 この教材は、中学年・高学年向けなので、3年生と6年生ではオンラインコミュニケーションの体験量が違うと思いますので、ワークシートの内容も全然違うものになるかもしれません。

 No.2に続きます。
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(為田)