教育ICTリサーチ ブログ

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日本女子大学附属豊明小学校 授業レポート No.4(2022年9月15日)

 2022年9月15日に日本女子大学附属豊明小学校を訪問し、田中栄太郎 先生の担当する5年わかば組の理科の授業を参観させていただきました。3時間目と4時間目の2コマ連続の授業でした。

 4時間目は「天候 雲」が授業テーマでした。最初に、「雲とは?」をロイロノート・スクールを使って説明した後、2007年に田中先生が自分で撮影した空の動画を見せて、「雲の動き」について考えてもらいました。この動画は16時間にわたって空の様子を1分に1枚ずつ撮影した写真をつなげたもので、これを見て気づいたことをノートに書いてもらいます。

 動画を見終わったら、少し時間をとって気づいたことをまとめてもらい、その後で挙手してもらってクラス全体で共有していきます。子どもたちから出てきた、「雲が消えた」「暗い雲が集まっている」などの声を、田中先生は板書の代わりに自分のiPadでロイロノート・スクールにまとめていきます。この内容は、モニターにリアルタイムに表示されるようになっています。

 田中先生が見せた空の動画で雲がいろいろと形を変えていくことがわかりました。子どもたちも一人1台のiPadを活用すれば、自分たちで雲を撮影することができます。「自分のロイロで“雲”と名前をつけたノートを作って、いろいろな雲の写真を撮りためていきましょう」と田中先生は言います。実際に理科室から外に出て、1枚目の雲の写真をみんなで撮影してみました。

 「次回から理科室に来たときに、“こういう雲は見たことないな”という雲が空にあったら、理科室に置いてあるiPadを使って撮影してください」と田中先生は言います。

 日本女子大学附属豊明小学校の5年生と6年生は、附属中学校に進学するタイミングで自分のiPadを購入することになるので、2022年度現在、学校の共有iPadで自分のIDとPWでログインして使うようにしています。
 2022年現在の日本女子大学附属豊明小学校でのiPadをはじめとするICTの運用と、今後の方針について田中先生にコメントをいただきました。

 本校では一人1台の端末にiPadを用いており、1年生は学校の共用端末を使い、2年生からはCYOD(Choose Your Own Device )でご家庭にiPadを用意していただいております。(しかし、先に挙げましたように、附属中学校に進学する際にiPadを改めて購入することになるので、GIGAスクール構想が始動したタイミングで4年生以上であった学年は使用期間が短いので購入は見送り、学校共有のiPadで授業をしております。)
 本校には情報科の教科研究部があり、1年生から時間割に情報の授業があります。iPadの基本操作から学び、2年生で端末を所持する際にスムーズに移行できます。その後、3年生ではタイピングやネット検索の仕方も扱います。中高学年では道徳の時間で情報モラルのコマを設けていますが、近年はデジタル・シティズンシップ教育を取り入れ、より適切に行動できる児童を育てることを考えております。
 また、プログラミング学習は情報科でカリキュラムを組み、アンプラグドプログラミングからビジュアルプログラミングを経て、フィジカルプログラミングまで数年間で段階的に学習していきます。一つの教科でプログラミングを系統的に学べるのは情報科のある強みだと思います。
 話はiPadに戻りますが、本校ではMDMなどによる端末の管理はせず、導入時にご家庭向けにiPadの使用目的や本校の運用方針の解説、iPadのスクリーンタイムの使用方法などの説明会を開催し、保護者に管理していただくよう、ご協力をお願いしております。これからの社会でICTは生活に不可欠なものになっていきます。学校だけでなく、ご家庭で使用する機会も増えるものですので、保護者の知識を増やし、意識を持っていただくことが不可欠になっていくでしょう。そして最終的には、「規制されて使えないから使わない」のではなく、子ども自身の判断で「学習に必要ないものは使わない」ようにできる、自律する力を養いたいと考えております。

 学校のiPadや家にあるタブレットやPC、スマートフォンなどを使って子どもたちが撮りためた雲の写真がたくさんになることで、それを教室でみんなで見ながら授業で使うこともできます。こうして自分たちで撮影したものなどを教材として簡単に使うことができるのも、ICTを活用する良さだと思います。

 No.5に続きます。
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(為田)