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川口市立前川小学校 授業&研修レポート No.1(2022年10月7日)

 2022年10月7日に、川口市立前川小学校を訪問させていただき、仲條達也 先生が担当する5年3組の算数「分数と小数、整数の関係を調べよう」の授業を参観させていただきました。
 最初に一人1台のタブレットを使ってQubenaを起動し、数直線を読んで分数を書く問題2問に取り組みました。Qubenaで自動採点がされるので、間違えた子は自分で解説を読んで復習をしていました。

 今回は授業の最初でQubenaを使って全員同時に同じ問題に取り組む形でしたが、タブレットの持ち帰りをさせることで事前に宿題として小数と分数のふりかえりをする形をとることもできます。
 持ち帰って宿題にすることで、自動出題・自動採点がされるので、自分で「ちゃんとわかった」と思うところまで何題でも問題に取り組むことができますし、間違えてしまった子は前の学年までさかのぼって分数あるいは小数のつまずいているところまで戻って復習することもできます。
 また、先生は宿題の正答率を授業前にあらかじめ確認することができ、それに応じて授業を設計することができるようになります。こうした形の授業も一人1台タブレットの持ち帰り学習+Qubenaのようなデジタルドリルの活用が進むことで実現していくと思います。

 Qubenaで分数と小数の関係についてふりかえった後で、仲條先生は「2Lのジュースを3人で等分すると、1人分は何Lになりますか」と黒板に問いを書きます。子どもたちは「全部の数÷人数が1人分になるから…」と言いながら、ノートに式を書いていきます。
 「2÷3」という式が書けたものの、わり算をしてみると「2÷3は、0.6666…になって、わりきれない」と子どもたちは言います。
 ここで仲條先生から「商の表し方を考えよう」という課題が提示されました。どうやって考えたらいいかを一人ひとりに考えてもらうために、オクリンクを使って仲條先生から子どもたちに図が送られました。

 子どもたちは自分のタブレットを使ってどのように考えればいいのかを書いていきます。手書きで説明の文章を書く子も、キーボードを使って文字を入力する子もいます。

 文字だけではなく、図の上に線を描き足したり、図形を描き足したりして、「どのように考えるのか」をわかりやすく表そうとしている子も多くいました。書いて書き直して…というふうに、さまざまな考え方を簡単に試してみることができるのは、デジタルを使う長所です。
 しばらく時間が経ってから、仲條先生は「どう考えたらいいか思いつかない人は、ヒントカードがカードボックスにあるよ」と言います。ヒントカードは、ヒント1とヒント2の2種類が用意されていたので、どこまでヒントを見るかを子どもたちが自分で決められるようになっていました。
 授業で全体の思考を止めて先生が説明するのではなく、必要な子だけがヒントカードを読むようにすることも、一人1台のタブレットに教材を用意しておくからこそ簡単にできることです。

 こうして授業支援ツールを使って考え方を一人ひとりが書いていく授業だと、ヒントカードを読む以外にもいろいろな学びの場面を作れます。
 例えば、授業の途中で、子どもたち同士でタブレットを使って説明し合う時間を作ったり、お互いのカードを自由に読む時間を作ったりすることで、友達が書いた説明を読むことができます。それによって、「あ、こんな感じで書けばいいのか…」という気づきの場面を作ることもできると思います。

 子どもたちの習熟状況に合わせて、一人1台のタブレットを活用してどのような学びの場を作っていけるのかを考えるヒントが多くあった授業でした。

 No.2に続きます。
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(為田)