教育ICTリサーチ ブログ

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愛媛大学附属高等学校 授業レポート No.3(2023年1月26日)

 2023年1月26日に愛媛大学附属高等学校を訪問し、上床孝樹 先生が担当する1年3組の数学Aの授業を参観させていただきました。
 授業の最初に上床先生は「1月14日・15日に実施された大学入学共通テスト、解いてみましたか?」と訊いて、プロジェクタでは、問題の解説をしているサイトを投映しながら、共通テストの数学Ⅰでバスケットボールのシュートの軌道を二次関数を使って求める問題が出たことを伝えました。
 このときにどこで情報が見られるかを伝えていました。こうして教室でタイムリーな教材を見せて、どこのサイトで情報を得られるのかを伝え、「自分でも解いてみてください」と言うことができるのも、ICTを活用する良さだと思います。

 その後で、上床先生はこれから行われる予定の「データ分析」についてのテスト対策として、デジタル教材プラットフォーム「Libry(リブリー)」で練習問題を4問、出題していることを伝えました。
 愛媛大学附属高等学校の1年生は、ノートPCが必携となっていますので、こうしてデジタル教材プラットフォームを活用して課題をタイムリーに出題することができます。先生はクラス全体の正答率を簡単に見ることができますし、Libryでは問題を解いたノートを撮影して送ることができるので、間違えた生徒がどのようなミスをしているのかもすぐに確認することができます。

 今回の授業は、「等式、不等式の証明」でした。上床先生がプロジェクタで「次の等式を証明せよ」という問題を投映して解説していきます。途中からは、「わかる人はどんどんやってみよう」と言うと、生徒たちはどんどん解き進めていきます。
 教室の後ろの方に座っていたある男子生徒は、「上床先生の授業は、どんどん自分のペースで進めていけて、蓋をされる感じがしないのが好き」と言っていました。

 上床先生は、プロジェクタで自分のiPadの画面を投映して、Apple Pencilを使って板書をしていきます。生徒たちが配布されたプリントで問題に取り組み、証明を書いているのと同時に、上床先生がiPadApple Pencilで証明を書いていきます。
 生徒たちからすると、自分がプリントで取り組んでいる証明を、上床先生が証明している様子をリアルタイムで見られるようになっています。自分以外の人(=上床先生)がやっているのをいつでも簡単に見られる状態になっているのは、どう証明をすればいいのかがわからない生徒にとっては、「どこから取りかかればいいのか」「どんなふうに証明し始めればいいのか」という最初の部分のはしご掛けとして見ることができるかもしれません。

 授業の中では、「どうやって証明したか」を近くの生徒同士で話し合って共有する場面も多くありました。
 ある問題では、証明のために条件式からa, b, c のどの文字を消すかによって式の展開が変わります(もちろん、結果は同じになります)。上床先生は「いろいろなやり方があるのは、数学の良いところですね」と言って、教室の横の列ごとにどの文字を消すかを指定して、それぞれのやり方でやってもらい、どの方法で解いても同じになることをクラス全体で確認しました。

 自分でできる部分はどんどん解き進めながら、それと並行して「先生がどう解いているか」をいつでも見られるようになっている授業でした。自分自身でどのくらいまで解けるのか、どういった問題は解けるのかがわかれば、Libryなどを使ってどんどん学び進めていくこともできそうだと思いました。

(為田)