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NEST LAB.(ネスト・ラボ) オンライン授業レポート No.2(2023年4月16日)

 2023年4月16日に、小学校3年生~中学校3年生の異学年構成で学ぶオンライン研究スクール「NEST LAB. (ネスト・ラボ)」のアントレプレナーシップ専攻のアドバンスコースの授業をオンラインで参観させていただきました。

 90分のオンライン授業の前半で、「私の好き」なことを、「社会の課題」とつなげることをしてきました。
 後半になって、株式会社NEST EdLABの藤田大悟 先生は「私の好きなこと、ワクワクすること、気になること、興味があることを社会の課題とつなげるために、情報を手に入れる必要があります。情報は、どうやって手に入れますか?チャットに書いてください」と言います。
 チャットには参加者のみんなが「Google」「インターネット」「YouTube」「辞書」「専門の人に聞く」「Google Scholar」などと書き込んでいきました。

 参加者がチャットに書き込んださまざまな情報を手に入れる方法を紹介しながら、藤田先生は「情報にはレベルがある」と説明します。

情報のレベル

  • 1次情報 自分で見聞きしたりためしてみた情報
  • 2次情報 明確な人や組織から聞いたり報告された情報
  • 3次情報 誰かが言っている、あいまいな情報

 情報のレベルについて説明をしたあとで、いくつかの情報を見せて、それぞれ「正しい」と判断できるかを参加者のみんなに手を挙げてもらいます。
 「文部科学省が出している統計データ」「高校の国語の先生からきいた栄養ドリンクの効果の話」「人気YouTuberが紹介している科学実験の結果」「自分が老人ホームに訪問して調べたごはんの種類」などを考えてもらいました。
 情報のレベルについての説明を終えたあとで、「エビデンス(しょうこ)があると正しい」ということを藤田先生が伝えます。

 情報をどうやって手に入れるかについてチャットに書いてもらったときに、何人かが「ChatGPT」と書いていました。藤田先生は、「ChatGPTは、AIのなかでも賢いAIです。ちょっと使ってみましょう」と言い、共有している画面上でbingのチャット検索とChatGPTを実際に使ってみんなに見せました。
 ChatGPTで、「電気料金の日本のこれまでの変化を3年間、1年ずつ教えてください」というふうに質問してみて、どんなふうに返ってくるかをみんなで見てみます。ChatGPTでは、それが正しいかどうかのエビデンスは表示されないが、bingを使えば出典も表示されるのでエビデンスを探しやすい、ということを伝えます。

 こうして、新しい技術を搭載したサービスをみんなで使ってみることも本当に大事だと思います。少子高齢化を課題テーマにする人は、「老人ホームの課題を教えてください」と検索したらどうなるかなど、どんどん試していくことができます。Zoom以外にもウィンドウを開いて、自分で検索をしている参加者もいて、検索結果を教えてくれていました。
 一人ひとりが見つけた社会の困りごとについて調べていくときに、正しくない情報を見抜くために、「エビデンスを調べましょう」と藤田先生は言います。ChatGPTにしてもbingのチャット検索にしても、自分たちで使ってみるからこそ「エビデンスはあるだろうか?」と疑ったり、「本当にこれは正しい情報だろうか?」と情報のファクトチェックをしたり、そうした活動につながっていくので、こうした活動を授業のなかでみんなで行うのは重要だと思いました。

 NEST LAB. の4月のオリエンテーションはこれで終了しました。次回以降、講師が来てさまざまな話をすることで、「私の好き」と「社会の課題」を結びつける活動を一人ひとりがしていくのだろうな、と感じさせるオンライン授業でした。

(為田)