2024年6月21日、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の改定が閣議決定されました。デジタル庁のサイトで、閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の要約を読むことができます。
サイトの最初に書かれている、「デジタルの活用で一人ひとりの幸せを実現するために」という言葉、とてもいいと思います。人口が減ってくるこれから、今まで人がやっていた部分がどうしてもできなくなってくるところも出てくると思います。そこをデジタルの活用でどう埋めていくのか、というのが大事だと僕は思っています。
そこで大事になるのは、「はじめに」で書かれている「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」という言葉だと思います。デジタル庁の役割と共に読み直してみたいです。
誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を
2021年9月1日、日本のデジタル社会実現の司令塔としてデジタル庁が発足しました。
デジタル庁は、この国で暮らす一人ひとりの幸福を何よりも優先に考え、国や地方公共団体、民間事業者など関係者の方々と連携して、社会全体のデジタル化を推進する取組を牽引していきます。
この資料では、これからの日本が目指すデジタル社会の姿と、それを実現するために必要な考え方や取組について紹介します。
僕はここに書かれていることについて全然異論はありません。あとは、「誰一人取り残されない」「一人ひとりの幸せを実現するために」という方向に進んでいくために、「なぜ、◯◯をデジタル化するのか」というメッセージをどんどん社会に広げていきたいと思います。
デジタル化することで、「これはたしかに便利になる」「これで今までより社会が良くなる」という「あるべき姿」があまり伝わってこないのが、デジタル化の加速を妨げているように思っています。
アナログからデジタルに変えるのに苦労を伴う人が多いのは事実で、その苦労を乗り越えようかなと思わせられるのは、「これはたしかに便利になるかも」という実感である、感情だと思うのです。
身近な例で言うと、うちの近所に、おじいちゃん・おばあちゃんが待合室で長時間待たなければいけないような受付体制な整形外科があります。でも、こないだオンライン予約システムが導入されて、だんだんオンライン予約をして待合室であまり待たずに診察を受けるおじいちゃん・おばあちゃんが増えてきました。
「オンライン予約をすれば、長いこと待たなくてすむ」という便利さがわかれば、「オンライン予約ってどうやればいいの?」と周りの人に助けを求めやすくなるし、周りの人も助けやすくなると思います。
こういう「便利になった!」という具体例をもっともっと積み上げていって、これをどんどん社会に広げていってデジタルの活用によって便利になる社会への期待値を上げる必要があると思います。
教育に関わるところでも同じことが言えると思います。今回の重点計画では、「4. デジタル・ガバメントの強化(システムの最適化)」のなかの「2. 準公共分野等の取組」で、「教育分野」での取組が書かれています。
- 教育分野
- 校務DXの推進
- オンライン教育・民間人材活用の促進
- デジタル教材の活用促進
- 教育データの効果的な利活用の推進と環境整備
これも別にどれも反対する理由はないですが、学校現場から見ると、「それで、何がどう変わるの?」「どうなれば、校務DXの推進ができたことになるの?」というのがわかりにくいので、そこにデジタル化することで、「これで今までより学校が良くなる」という「あるべき姿」が見えるといいな、と思います。
教員研修で先生方と話してみたいです。国の大きな目標として、「デジタルの活用で一人ひとりの幸せを実現するために」というのが出ているのを、学校でどのように落とし込んでいくのか一緒に考えてみたいです。
このあたり、こないだこのブログで書いた「教育DXの定義を調べてみて、広い意味で使いたいと思った」と重なってきます。「あるべき姿」を学校現場に届けるところは、もう少し言語化して、先生方とわかり合える言葉を僕自身探していきたいなと思います。
blog.ict-in-education.jp
「あるべき姿」の共有については、ずっと使えるんじゃないかなと思っているパターン・ランゲージのノウハウと組み合わせたいと思います。「デジタルを活用する未来に向けて」のカードを使ったワークショップもやっていきたいなと思っています。
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自分にできること、もっと必死に探したいと思います。
(為田)