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山形市立みはらしの丘小学校 授業レポート No.1(2024年6月7日)

 2024年6月7日に山形市立みはらしの丘小学校を訪問し、武田俊紀 先生の担当する6年3組の社会の授業を参観させていただきました。この日の授業では、これまで子どもたちが調べてまとめてきた「日本にどんな人物がいたのか」「日本にどんな建物があったのか」を、歴史の流れのなかに位置づけていく活動をしました。
 歴史の流れに注目するために、子どもたちに「いつ」ということを意識してもらいます。電子黒板に年表を映しながら教科書の「年表の見方を知ろう」のページを開いて、西暦と和暦があることや、世紀という呼び方と、安土桃山時代のように「時代」という呼び方もあることを説明します。

 子どもたちはSKYMENU Cloudの「発表ノート」を起動して、自分で人や物を調べてまとめた発表ノートを開きます。SKYMENU Cloudの「グループワーク」ボタンを押して自分たちの班番号を選ぶと、同じ班のメンバーの発表ノートが全部つながったグループワーク用の発表ノートができます。例えば4人の班だと、一人ひとりの書いた発表ノートが1ページずつ並んで、全部で4ページのグループワーク用の発表ノートが表示されるようになります。
 班ごとに机を合わせてグループワーク用の発表ノートを見て話し合いながら、班の一人ひとりの作った発表ノートを、時代の古い順に並べてもらいます。
 武田先生は、「他の人の発表ノートも編集できるようになるので、気をつけてね」と注意を促します。ファイルを共有して作業をするときに、うっかり他の人の書いた内容を消してしまうのはよくあることなので、こうした声かけは重要です。

 古い順に発表ノートを並べたら、班ごとに前に出てきて、電子黒板に班長のタブレットPCを接続して、自分たちの発表ノートを順に発表していきます。
 各班、それぞれに調べている内容がおもしろかったです。ある班では、武田信玄・今川義元・チンギスハンが並んでいました。日本の人物だけでなく外国から日本の歴史に関わっている人物もいて、時代順に並べるのにすごく悩んでいたようでした。
 別の班では、人物だけでなく、妖刀村正や富嶽三十六景、山形市に接する上山市(かみのやまし)にある上山城などを調べている子もいました。人物だけでなく、工芸品や美術品や建築物なども調べる対象になっていたのはおもしろいと思いました。

 子どもたちが自分たちで好きなことを調べるのはとてもいいのですが、どうしてもわかりやすい情報を探しにくいものもあり、そうすると説明文の意味がわからないまま発表してしまっていることもありました。このあたりは、授業のゴールを「興味ある人や物を調べる」ところに設定するのか、「興味ある人や物を他者に伝える」ところに設定するのかによって、授業内での時間のかけ方は変わっていくのだろうと感じました。

 全部の班の発表を聞き終わった後で、同じ人物を調べていた人もいたし、同じ時代の人や物もあったことを子どもたちと確認をして、「それでは、クラス全員の調べたことを同じ年表にまとめてみましょう」と武田先生は言います。
 SKYMENU Cloudのポジショニングの機能を使って、子どもたちに自分の調べたことが「縄文時代」から「令和」までの歴史の流れのどのあたりにあるのかをポジショニングしてもらいます。年表での時代区分を見ながらポジショニングができるように、武田先生は画面の下の方に年表を重ねて表示して見やすくなるようにしていました。

 こうしてポジショニングすることで、クラス全体の回答が重ねて表示されるので、クラスのみんながどのあたりの時代の人物や建物を多く調べたのかがひと目でわかるようになります。

 クラス全員が、自分の調べた人や物を「縄文時代」から「令和」までの歴史の流れのどのあたりにあるのかをポジショニングし終わったら、電子黒板を見ながら武田先生は子どもたちに「何も置かれていない時代に何もなかったわけじゃないですよね」と伝えていました。

 今回は、自分が調べたことを「点」として見るだけでなく、それを年表としてポジショニングすることで歴史の「流れ」として見てもらえるようにすることが武田先生のねらいだったと思います。歴史の流れを感じてもらうために、「何も置かれていない時代に何もなかったわけじゃない」という最後の言葉は、これから歴史を本格的に学んでいく子どもたちに伝わるといいなと思う言葉でした。

 No.2に続きます。
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(為田)