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戸田市立美笹中学校 授業レポート No.2(2024年7月12日)

 2024年7月12日に戸田市立美笹中学校を訪問し、矢作浩章 先生が担当する3年1組の数学の授業を参観させていただきました。授業の終盤に教室へ行くと、生徒たちは「(2次式)=0」を解く解説動画を作成していました。

 「自分で解ける」ことと「他者に説明する」ことは同じではありません。わかりやすい解説動画を作成するために、まず生徒たちは自分で問題を解かなくてはいけません。その後で問題を解く過程を説明する準備をしていきます。

 問題を解く過程で生徒からキーワードが出たときは、「“展開”っていうキーワードは入れたいね」というふうに矢作先生がクラス全体に共有していました。こうして解説に使えるキーワードを共有することで、解説動画のなかで使ってほしい語彙を生徒たちに伝えていくことができます。
 「僕はここでミスってしまいがちなので、みんなも気をつけてください」というように、間違いがちなところも解説動画のなかで触れるといい、という生徒からのアイデアもクラス全体に共有していました。間違いがちなところを解説動画で紹介するというのは、先生と生徒の関係でなく生徒同士で見合う解説動画を作るからこそ出てくる視点だろうと感じました。

 「(2次式)=0」の解き方に自信がない生徒に、矢作先生は「数学は積み重ねの教科だから、前に戻ってみるのも大事です」と言って、どの単元や問題を参照したらいいのかについて紹介していました。

 それぞれが自分のChromebookを使って解説動画を作っていきますが、個別に作るだけではなくて、お互いに質問し合ったり、解説の方向性を見せ合ったり、という場面も見られました。

 一人ひとりが解説動画を作るという活動を行うことで、授業で先生から聴いた説明を自分のなかで再構築して確認することができているのではないかと思いました。
 授業の最後に矢作先生が投げかけた、「黙々と問題を解くよりも、解説動画を作る方が好き、という人もいるんじゃない?」という言葉に頷いている生徒たちが多かったのが印象的でした。

(為田)